作ったもの(音楽以外)

another parrhesia

某に勧められた『少女妄想中』を読み終えてから書こうと思っていたのだけれど、しばらく外出できなさそうなので、このタイミングで書いておくことにした。 『やがて君になる』の微妙なネタバレが存在するので、読んでいない人かつネタバレを気にする人は、以…

星降のパレーシア

佐々木はいつものように、私と手を繋ごうとした。 河沿いの涼しさに紛れて、右手のすぐ近くに彼女の体温があった。見慣れたワンピースの袖が、返事を待つみたいに視界の隅で小さく揺れていた。「八月も、今日で終わりだね」 あと五時間くらいかな。そう言い…

未来予知

硝子張り気怠く見遣る営みを攫う轟音いつもぶつける 目を閉じて海底列車の一人旅今朝は運休雲があるから それはそれとして短歌って何なんだ 雰囲気エアプ怒らないでね 「久しぶり」飾られた木はまだこごえ春一番をだから待ってる ひと月前送るはずだったメッ…

2021

〇 1 月 早速だけれど、何も覚えていない。……というのは半分だけ正しく、残りの半分は間違っている。なにがどうあれ、自分の生活の中心には何かしらの創作活動があるので、「このとき何してたんだろう?」と思ったときは、何よりもまずその辺りのことについ…

相対

そろそろ寝ようかなと思ってベッドへ入った後、なんだか胸が苦しくなるってことが割と頻繁にあって。物理的に、じゃなくて、感覚的にそうっていうか。苦しいというより、締め付けられるような? そんな感じの、ほんの一瞬のことなのですけれど。これについて…

夜を

『何も知らないだけだった』と気づかされる瞬間が、それほど多くはないもの、けれど決して少ないとは言えない程度には転がっているなって、そう思うことがあります。……ついさっきまで知人の家にいて、これを書き始めたのが 23:30 で日付変更までに更新しなき…

マジで何もない

マジで何も書くことがないです。びっくりする。本当に何もない。今日ゼミの発表があったんですけど、一昨日昨日今朝とずっとその準備をしていて、今日はもうそれで電池が切れてしまった感じがしているというか。散歩にも行けてませんし。これを書き終わった…

九月ライブに出た話

今日(もう昨日)、帰ったらすぐにブログを更新しようと思ってたんですが、バイト上がりで眠気が凄まじく、仮眠から醒めたタイミングで BUMP の新曲が公開され、ポケモンとのコラボによる相乗効果でありとあらゆる感情が爆発し、メロを覚えたり歌詞を読んだ…

20200906

最近考えていた諸々について書きます。 そういえばちょっと前に絵を描いたんですが、割と上手くやれた気がするので貼ってもいいですか? いいよ。ありがとう。 描いた。 pic.twitter.com/MY73m1SxfR — 一葉 (@1TSU8) 2020年8月29日 自画自賛ポイントは中央左…

空模様

SS を公開したので全人類読んでください(先制攻撃)(初手絶対零度)(確一)(命中率三割)。 www.pixiv.net アイマスのアの字も出てこないので、タグに書いてある主人公の名前さえ知っていれば、他の前提知識がなくても読めます、親切設計(二次創作とし…

最後に空を見たのはいつですか?

今更になって考えることといえば、以前の僕はもしかしたらミサトを嫌っていたのかもしれない、ということだった。こんなのは本当に今更すぎる話で、とっくの昔に思い出になってしまった過去で、ともすればわざわざ拾い上げるほどのものでもないのかもしれな…

白紙の空へ火を投げろ

「ミサトはサンタクロースがいったい何のためにあるんだと思う?」 真冬の川沿いを二人で歩いていた。空一面をどこか不機嫌そうな色を滲ませた雲が覆っていた。鋭く尖った冬の冷たさに乗せられて、草の匂いが微かに鼻をついた。星も月もない夜道でひっそりと…

空っぽでなにも無い。

こと想像力という能力一つを取り出してみたときに、神海隣空無よりもそれが抜きん出ているように思われる人間と僕は未だかつて出会ったことがないし、また今後出会うことも決してないだろう。そうはっきりと断言できてしまうほどに彼女は異常で、異様で、異…

ルールはいつだって絶対的に正しい。

「たとえば先輩は、指定最高速度が何のために存在するのかということを考えたことがありますか? ん……、ああ、ほら。あれですよ、あれ。赤い円の中に青色の数字が書かれている標識で指定されている速度のことです――常日頃から見ているでしょう? そこら中に…

私たちは同じ空を見ているわけじゃない

「生き急いでいる、と言われたことなら何度もありますね」 そう言ってから彼女は、ちょうどいま買ったばかりのジュースを口元に近づけて、そのままぐいと大きく傾けた。結構な速さで消費されてゆく薄緑色の液体をペットボトルの容器越しに観察していると、不…

僕の話?

「僕のことなんてわざわざ取り立てて話さなくとも、先輩ならばよくご存知でしょう? いやいや、そんなご謙遜をなさらないでくださいよ。傷つくなあ。これはいつもの揶揄なんかではなく、本心からの言葉です。僕がいったいどういう存在で、どういう人間で、ど…

完璧とは何か、ですか?

「頭脳明晰博学多識、天上天下唯我独尊、才色兼備の八方美人として校内で名の通っている先輩でも、そういったいかにも凡人が頭を悩ませていそうなことをお考えになるのですね――ああ、なるほど、よくあるあれですか? 世間知らずのお嬢様が何らかの手違いで庶…

延命治療について話しましょう

「――ああっと、すみません。挨拶を忘れていました、おはようございます。朝起きて通学路を歩き学校まで向かうという世界一つまらないルーチンを前にして気分が沈んでいましたが、まさか先輩に会えるなんて――あまりの嬉しさに思わずいきなり話し始めてしまい…

とある世界の海の話

僕が生まれてすぐの頃の話だ。世界はまるで平和だった。当時の僕はまだ幼かったから、その時にどこかで起きていた争いに気づいていなかっただけなのかもしれない。それでも、少なくとも僕の視界に映しこまれた世界だけは間違いなく平和だった。そんな世界に…