夏、蟻と蝉と

 

 蟻。蟻って夏へ差し掛かると目にし始めるよなあ、という印象があり、逆に冬の時期はどうなんだろう? と思って調べてみたんですが、そんなことをするまでもなく『アリとキリギリス』の流れを思い出せば十分でしたね。すべての蟻が食糧を貯えるというわけでもないらしいですけれど、とはいえ、冬になるとあまり目にしなくなる(逆に、夏へ差し掛かると途端に目にするようになる)、という印象は概ね正しかったようです。へえ~。

 

 ここしばらく考えていた諸々について書こうと思います。

 

 先日の午前中、だいたい九時くらいの事ですけれど、諸々の所用があり最寄りの駅から電車に乗り込みました。自宅から駅までの、その道中での話です。自分の移動手段は主に徒歩でして、というのも自転車を持っていない(厳密にはどこかへ消えた)からなんですが、それはさておき、炎天下のアスファルト上を「あっつ~~~~」と思いながら歩いていたわけです(これは自分が未だに春服用のパーカーを着ているから、という説もある)。炎天下と言っても、先日までの梅雨と夏のタッグ攻撃に比べたら頗る快適で、外に出るのが苦だとは特に思いませんけれど……。からっとしてる感じで良いですよね、この季節(だから無意味に着込みたくなる)。こういう暑さ、何て表現するんですかね? それもさておき、まあ歩いていたわけです、道を、歩道を、西の方向へ。歩道と車道とを隔てている白線、といってもその白線に従っているとめちゃくちゃに狭い歩道の幅を進む羽目になるんですが、だから自分はその若干外側を歩いており、そのとき白線の上に見つけたんですね。何をかと言えば、蝉の死体を、です。八月ともなれば蝉の死体なんて然程珍しくもありませんけれど、そこに大量の蟻が群がっておりですね、白線の上ということもあってその様子がそこそこはっきりと見えたんです、普通に歩いていても気がつく程度には(気にならない人は気にならないと思うけど)。文章の流れ的には、この後では自分がその光景に対して抱いた何らかの感情について記述する、というのがお約束っぽいですけれど、特に何とも思わずに通り過ぎたので書くことは何もありません。強いて言えば「ああ、これが理科の教科書の。サイクル的な、分解的な」くらいのことは考えましたけれど、駅の階段を降りる頃には蝉の死体のことなんてすっかり忘れていました。ちなみに電車は自分が改札前に着いたくらいで出発していきました(目的の電車はその一〇分後のやつだったんですが、それに乗れていれば早めに着けた)。

 

 用事は午前中で終わりだったので、午後二時半になったかどうかというくらいの頃には最寄り駅まで戻っていました。それでまあ、当たり前と言えば当たり前なんですが、行きに通った道と同じ道を通って帰ろうとしました。いや、来た道と全然違う道を通って帰ることも普通にありますし、当たり前ということは全くないですけれど……。でも、最寄り駅から帰る道ってそんなに数がなくて、いや、道自体は幾らでもあるんですが、歩いていて楽しい道となるとそれほどなくて、それに帰宅途中に諸々(昼ご飯など)を済ませてしまおうとなるとほとんど一通りに定まってしまうのです、残念ながら。それが行きに通った道そのものだということですね。まあ、特段楽しくもない道を歩こうとはまず思わないので、普段から使っている道はほとんどイコールで歩いていて楽しい道ということにもなりますが。閑話休題。多くの人はここまでの流れで想像がついていると思うんですが、だからつまり『なるほど。帰り道、同じ道を通ったとき、朝にみつけた蝉の死体のことを思い出して、そのときに何らかの何かがあったということだな?』ということですが、残念ながらその推理はハズレです。実際に起きたことはこうで、まず最寄り駅に到達した先日の自分は、行きと同じ道で帰宅を試み、その道中では何も思い出さず、そして帰路にあるチェーンの飲食店で呑気に昼ご飯を食べていました。繋がらねえ~。

 

 どうして気がつかなかったのか、分かりますか? こう訊いてみると何だか軽い日常系ミステリっぽいですよね(偏見)(読んだことない)(怒らないで)。自分の注意力が散漫だったから、ではありません。自分の記憶力は超ド級ポンコツでしたが、通れば必ず思い出したはず……というか行きと同様に嫌でも気がついたはずです。行きと帰りで同じ道を通ったはずなのに、じゃあどうして気がつかなかったんでしょう? こういうの、出題者である自分は答えを知っているので簡単な謎とおもえるわけですけれど、何も知らない側からしたら割と理不尽だったりしますよね。当てさせる気あんのかよ、みたいな。まあ十分に推理可能だとは思うんですが、だからって別に謎解きがしたいわけではないので答えを言ってしまうと、それは行きと帰りで同じ道を使ったものの、歩いている場所が行きと帰りで異なっていたからです。車線のない少し広めの車道の両側に白線があって、行きも帰りも自分はその左側を歩いていました。行きは西へ向かって、帰りは東へ向かって、それぞれ左側です。蝉の死体があったのは西へ向かっての左側だったので、帰りに通った東へ向かっての左側、つまり西へ向かっての右側を歩いているときには蝉の死体に気がつかなかった……というのが事実ですね。腑に落ちましたか?

 

 蝉の死体に気がつかなかったんなら、じゃあ今までの話はいったい何だったんだよ、ということになりますけれど、呑気に昼ご飯を食べ終えた後、自分はつい先ほど通り過ぎたばかりの道を、もう一度通ることになるわけです、所用で。このときには初めの行きと同じように西へ向かっての左側を歩いていたので、なので帰りと違って気がつくことができたというわけですね(上の『通れば嫌でも気づいたはず』という記述は、実際に気がついたのでそう断じることができる)。そして、ここでやっと何らかの何かが起こりました。蝉の死体、朝に見つけたときから五時間余りが経過していました(電車の時刻などがあるので、おおよその経過時間も分かる)。朝には蟻が群がっていたという話をしましたけれど、では五時間後に再発見したときはどうなっていたかと言いますと、そこには蝉の死体の跡だけが残っていました。的確な例が思いつかないんですが、人間で喩えたほうが幾分か分かりやすいと思います。というか、その蝉の死体の跡をみつけたときに自分で思ったのが「これ、アニメでみるやつだ」でした。言って伝わるかは微妙ですけれど、まあ何でもいいです。浴びた人間を液体に変えてしまう光線銃みたいなものがあったとして、それを浴びてしまった人間がいたとして、その誰かがいたはずのところに液体と衣服とだけが落ちているような、そんな感じです。伝わりました? まあ液体はなかったんですが、衣服にあたる殻だったり羽だったりがそこに落ちているばかりで、中身はすっかり蟻に運ばれてしまったんだなあ、という風の。二十何年も生きていたら、そういうものは一度や二度じゃない回数目にしていると思うんですが、まじまじと観察したことはなかったかもしれません。いや、まじまじとは見ていませんし、しゃがみこんだりもしていませんが。その様子から特別な何かを受け取った、ということもあったりなかったりという気がしたりしなかったりという感じでした。それで何ていうか、そういえば去年の今頃も同じようなことがあったなあ、ということを思い出していました(ブログに書くと、こういうときに自然と浮かび上がってくるのがいい)。そのときは抜け殻でしたが、ともあれ、蝉にまつわる諸々について考える時期が来ると「いよいよ夏だなあ」って感じがしてきますね。夏ですよ、夏。院試のせいで楽しくない!(これは嘘)

 

 蟻。蟻をみるたびに頭の片隅で何となしに思い出す話があって、それは『自分たちは無意識のうちに多くの命を殺めている』ということです。突然何の話だよ、と思われるかもしれませんけれど、別にこの主張自体には何の意味もなくて、「そういう話を思い出すなあ」というだけのことです。いや、本当に。先の主張自体はまあ、そりゃそうだろう、って感じですし。この事実が果たしてどれほどの知名度があるのか分からないんですが、学部一回生の頃に仏教を齧っていた時期がわずかながらにあって、さっきのはそこで聞いた話です。『私たちは気がつけないけれど、外を歩いていたら蟻の一匹くらいは踏んでいるはずだよね』という感じの。一寸の虫にも五分の魂と言いますけれど、でもまあ当時から思っていたこととして、万人にとってもそうなのかと言えばそれはどうなんだろうという感じでして。全生命は等価値であるとする人がいれば、イルカが好きなので人間の次に価値があるのはイルカという人もいるでしょうし、イルカではなくて犬や猫の人、あるいは人間中心主義的な人も。全生命が等しく等価値であるという思想そのものは素晴らしいと本心からそう思うんですが、でもその考えに共鳴できない人に対してその主張は通らないんじゃないかなあ……っていう。反発を持っていたわけではなく、「それもそうだなあ」と思う一方でそんな感じのことも思うわけで。ほんの小さなことでも全員の思想を統一するということができないことを思えば、『命の価値』の定義を統一するなんてことは土台無理な話でして、だから『全生命は等価値である』という思想を強要することにも大した意味はなくて、じゃあ「多くの命を殺めている」ことはいったい何に繋がるんだろうっていう。『これは悪いことですよね? 私たちは無意識のうちにこのような罪悪をはたらいているのです』じゃなくって、もう少し別の結論を導くことももしかしたらできるんじゃないかなあと、当時からそういうことを漠然と考えていました。考えていただけですが。

 

 彼と少しだけ話す機会が最近あって、そのときに「自分たちの命の価値って普遍的に定義できるのかな」みたいなことを若干考え、「他人の命についてどうこう言うこと自体が烏滸がましいよなあ」という結論に落ち着きました。それは『生きている意味のない人間』という言葉に(ある意味で)端を発した会話だったんですが、「そこで言われる『意味』は誰にとっての意味なんだろう?」という。自分たちは全員違ったフィールドの上で生きているはずで、子どもは学校、主婦は家庭、芸能人はテレビの中、政治家は議会、個人個人で自己を見出す場所は異なっているはずなのに、誰かの言っていた『意味』という表現は、果たして正しく機能しているのかなあと思ったり思わなかったり。たとえばの話、通り魔的な犯行に及んだ人が『自分は価値のある人間だ』と声高に主張していたとしたら、それに対して反感を覚えるのは至極真っ当なことだと思うんですが、だからってその人の主張が否定できるのかと言えばそんなこともないだろうと、少なくとも自分はそう思います。なんていうか、個人個人が勝手に定義したらいいと思うんですよね、命の価値なんて、別に。本人が『自分は価値のある人間だ』と思っているならそれはそれでいいし、『自分は無価値な人間だ』と思っているならそれもそれでいいんじゃないかなって。前者に対して「いや、お前は何の役にも立ってないだろ」と思うことは勿論あるし、後者に対して「いや、お前は十分すぎるくらい役に立ってるだろ」と思うこともありますけれど、それは自分が勝手に思っているだけで、結局のところを決めるのは本人なわけですし、だからって手を差し伸べる行為が全くの無駄だとも思いませんし思えませんけれど、『命の意味』について本人以外が口出しするのってどうなのかなあ、って思ったり思わなかったりしました。まあ、他者の言葉によって肯定的に変化できた自分のような例もあるので、これもまた一概には言えないことだと思いますけれど。ともかく自分はそのような考えに基づいているので、人間中心主義だろうが動物愛護団体だろうが博愛主義者だろうが、その存在自体は許容されて然るべきという立場です。自己を定義するためだけに宿った思想は、それがどのような内容であれ気高く立派なものであると、自分はそのように思うので。

 

 なんか、久しぶりにこの手の記事で長文書いちゃいましたね。お疲れさまでした。

 

 

 

Recommend_3

 

 突然ですが、以下の URL にある共用プレイリストに曲を追加することで、僕に楽曲のダイマをすることができます。入れてくれたものは全部聴くので「これ良い曲なんだよな~」ってやつがあれば随時追加していってください(順でも斜でも構いません)(僕の好みとかは考慮しなくてよいです)(考慮してくれても当然よいです)(最初の五曲は自分で入れたものなので、好みを推測する際はその辺りを参考にしてください)。

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 オタクサークル、作曲サークルに加えて、両者のいずれにも属さない Twitter 上の知り合いまで参戦してきて「待ってた~~~~」って感じです、いま。

 

 

〇彗星のパラソル / Endorfin.

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 僕がはじめにプレイリストへ入れた五曲のうちの一つ、『彗星のパラソル / Endorfin.』です。作曲が sky_delta(敬称略)、ボーカルが藍月なくる(敬称略)の二人ユニット。実は自分がずっと追いかけている数少ない同人アーティストグループの一つでもあります。というか数少ないも何も、今も昔も追いかけている同人作家って彼らのほかだと Neru や cosMo@暴走P くらいのものだと思いますが……(あとはじん(自然の敵P)とか kemu とか)。たしか高三の夏ですけど、『Luminous Rage / Endorfin.』を初めて聴いたときの衝撃をいまもまだ覚えてるんですよね。

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 Endorfin.、めちゃくちゃ表現の幅が広くて(凄い)、カッコいい系以外にもカワイイ系の曲、バラード調、はてはポエトリーリーディングみたいなのまであるんですが、『彗星のパラソル / Endorfin.』は若干カッコいい系へステを振った綺麗系という感じの曲調ですね。この楽曲の収録されている『Horizon Claire』は 1st アルバムへの原点回帰的な側面もあるという話を作曲者・ボーカリストの二人がしていたようなしていなかったような気がして、その点で言えば『彗星のパラソル / Endorfin.』は『Spica / Endorfin.』の系譜なのかなあという気がします。どちらかを気に入ってくれたかたはもう一方もきっと好きになるはずなので是非。

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 Endorfin.、曲が頗る良いんですが、歌詞もとても好きです。「歌詞が良くない(=好みでない)と聴けない」みたいな中二病期はとうの昔に過ぎ去ったものの、やっぱり歌詞が良い(=好みの)曲はついつい何度も聴いてしまうといいますか、たった一つのフレーズを聴くためだけに再生ボタンに指が触れたり、なんてことが結構数あります。前回紹介した『Aurora / BUMP OF CHICKEN』がそうですし、今回の『彗星のパラソル / Endorfin.』がそうですし、次回紹介するであろう『14歳のサマーソーダ / サンボンリボン』もそうですね。

 

 

〇bath room_ / Maison book girl

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 めっちゃ良い!!!!!!!!!!!

 Maison book girl、だいたい六年前に結成された女性アイドルユニット。作曲はサウンドプロデューサーでもあるサクライケンタ(敬称略)。現代音楽にルーツのある人らしいという紹介が Wikipedia ではなされていましたが、曲を聴いてみると、たしかにその片鱗があるような気がします。

 七拍子! 四拍目の頭にあまり音が置かれないので 3+1+3 拍子って感じに聴こえますね。開幕からずっとリズムがめちゃくちゃにノリやすくて、変拍子特有の躓きをまるで感じさせないのが凄い。サビ、ボーカルとエレキと木琴(?)とベース(多分)が小節頭に同じ上昇形で動くのがマジでツボ。あと、前半と後半とでエレキの聴かせ方が変わってますよね。たとえばサビ、一度目は左右同じタイミングで鳴らしつつ、最後の一振りだけパンが中央に寄る(空間も消える)んですが、それが二度目と三度目は左右でタイミングが八分ズレる(右が八分音符ひとつ分遅れる)。A メロも何度か繰り返されますが、そこでも同じようなことをやっていますね。また B メロだと一度目は左右両方でエレキが鳴っていて、一方の二度目では左でしか鳴っていません。そういう聴き手を飽きさせない遊びが随所に感じられて、「そういうのもあるのか~」という気持ちになりました。

 めちゃくちゃ良い曲! 同アーティスト Maison book girl の曲だと、これのほかには『闇色の朝 / Maison book girl』を以前勧められて聴いたことがあります(言うまでもないけれど、勧めてきたのはこの曲を Recommend に入れたのと同一人物)。

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 これもめちゃくちゃに良かったので是非。曲単体でも十分に評価できるんですが、MV 込みで鑑賞するとより一層良いです(この作品については総合芸術という感じがする)(個人の感想)。

 それと変拍子っていうか、これはもしかしたらポリリズムなのかもしれませんけど、その区別もつかないくらい何をやっているのか分からないのにめちゃくちゃ良い曲の例として『ribbon / sora tob sakana』があります。「 spotify ねえよ!」って人は Youtube へ飛んでください。

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 それとついでに、僕の好きな変拍子曲についても載せておくと、たとえば『三ツ星カルテット / BUMP OF CHICKEN』があります。

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 BUMP、実は変拍子をたまにやるんですよね(最近はそうでもないんですが)。この曲は間奏①(イントロ)→ A メロ→間奏①→ A メロ→サビ→間奏②→ A メロ→間奏①→ A メロ→サビ→間奏②(アウトロ)という構成で、そのうち『間奏①』だけが 6/4 拍子で、それ以外の『 A メロ』、『サビ』、『間奏②』は 5/4 拍子、それでいて『間奏②』は 5/4 拍子の中にしれっと 6/4 拍子が紛れていたりと、作曲センスの溢れる一曲だなと個人的には思っています。なのでオススメ! 演奏時間も 2:30 と短めでサッと聴けます。

 あとは『量子の海のリントヴルム / 黒猫ダンジョン』も絶対に推しておきたい。音楽ゲームjubeat』初出の楽曲です。

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 上の『三ツ星カルテット / BUMP OF CHICKEN』と比べると、さらに高度な作曲例ですね。上の動画をみればどんな拍子推移をしているかは分かるので説明は割愛させていただきますが……。音ゲー曲って基本的に原曲を聴く方法が購入かプレイ動画かしかなくて、他人に勧めづらいのがちょっと難点ですよね(まさか無断転載動画を勧めるわけにもいきませんし)。

 自分も全然知らないんですが、音ゲー曲、ゲームの性質上、簡単な変拍子から難しい変拍子まで色々とあってオススメです。個人的には『STAGE 0.ac11 / 増渕裕二』や『Innocent Tempest / Diceros Bicornis』も好きですね。

 

 

〇COMETIC SILHOUETTE / メルティックスター

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 めっちゃくちゃに良い!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 アニメ『キラッとプリ☆チャン』の楽曲、ということで『My Secret heArtbeats / さら(cv.若井友希)』を入れたのと同一人物ですね(誰にでもできる推理)。作曲は矢鴇つかさ(敬称略)。アイマスでもよく目にする名前で『PRETTY DREAMER』の作曲者であり、音楽ゲーム『Cytus』なんかにも楽曲提供をされているみたいです(『Total Sphere / TSUKASA』の作曲者と同一人物であることを、僕はいまこの瞬間に初めて知りました)。

 A メロの『Longing For, … Chu Chu La』( 6→5→5# の半音移動を繰り返す)のとこも好きなんですが、それより B メロ! 曲名通りにマジの宇宙ですよ、これ。誇張とかじゃなくて、無重力空間みたいな浮遊感があるっていう話。

 B メロは(多分)IIIm7 始まりのメロディが 2(『今ラッと 空に踊る』)。頭から和音に対する第七音をぶつけて、そもそも浮遊感ありがちな 2 が際立っててめちゃくちゃ良い! その後は IV(M7?) を挟んで IIm が来るんですが、メロディは 5(『今キラッと 空(そ)に踊る』)。和音に対する第四音ですね。IIm の上の 5 って IVadd9 の上の 5 の強化版みたいなイメージを持ってるんですが、主音からの跳躍ということもあって割とイメージ通りに空を裂いて消えていく流れ星みたいな、どこか切ない尖った響きですね。良い!!!!! 『(星みたいに)』ではメロディが 4→3→4→3→4→3 の半音移動をします。これが好きだって話も前回しましたね。最後、『(星みたい)』のタイミングで(多分)IIIm/V に着地しています。安直に I へ行かないのが本当に良い! B メロでは I の和音が(多分)一度も出てきません。それと、所謂ビルドっぽい役割を担っている『(Up And Shooting Song,…)』の部分は IVM7 に対して 3 の音をぶつけていて(ベースとの半音衝突)、加えて臨時で入ってくる 2# を使ってメロが半音移動をするので、「いまからサビに行きますよ~」感が凄くてそれもまためちゃくちゃに良い! サビ直前、ボーカルが切れたところで入ってくるシンセが 2→2→1→3→2→1 で動くんですが、他に比べて 3 がロング(四分音符)になってるのも超良い。コードが V なので 6th shell っぽい感じの響きをしつつ、このシンセは 2 へ順次下降で解決するんですが、直後にボーカルが 3→4→5(『COMETIC SILHOUETTE』)と駆け上がる形で割り込んできて、一瞬の緊張と直後の解決感の全部を裏切ってサビへなだれ込むんですね。ここがマジで良すぎる。しかも、サビの頭のコードは IV(add9) なんですよ~~~~。IV の上の 5 から始まるサビ。これまで圧し掛かっていた重力を一気に振り切って大気圏外へ飛び出す感じ? 良い~~~~。

 B メロに文字数を割きすぎてサビや後半の間奏パートに触れるだけの余力がない。いやでもこの B メロはマジで良い! マジで良いです。是非聴いてください。

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 今日はここまで。一曲あたりに文字数書きすぎちゃいました。良い曲ばかりで本当に頭があがらない。

 

 

 

Recommend_2

 

 突然ですが、以下の URL にある共用プレイリストに曲を追加することで、僕に楽曲のダイマをすることができます。入れてくれたものは全部聴くので「これ良い曲なんだよな~」ってやつがあれば随時追加していってください(順でも斜でも構いません)(僕の好みとかは考慮しなくてよいです)(考慮してくれても当然よいです)(最初の五曲は自分で入れたものなので、好みを推測する際はその辺りを参考にしてください)。

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  曲数制限とかは特に設けていないので、入れたいときに入れたいだけ入れてください。

 

 

〇Aurora / BUMP OF CHICKEN

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 僕が最初にプレイリストへ入れた五曲のうちの一つ、BUMP OF CHICKEN の楽曲です。Recommend に入れてもらった曲、毎回五、六曲くらいのペースで感想を書いていくとなると、現時点で既に八回分は書くことになりそうなので、それなら自分が入れたのも紹介していくかという気持ちです。今回はこの曲。

 曲が良い! シンセパッドがずっと(二番 A メロは鳴ってるかどうか分からない)敷かれており、ギターやピアノのリフもずっと同じような感じで動き続け、途中で別の音が入ってきたりもしない(ボーカル、ギター、ベース、ドラムス、シンセパッド、ピアノだけ)ので、一曲を通して聴いたときの安定感が本当に凄い。サビの IV – V/IV – [ V - #Vdim ] – [ VIm – #IVm7-5 ] – IVadd9 – [ IIIm – VIm ] – IIm – V – IVadd9 が超好き(ルート継続の IV – V/IV )(遅れて入ってくる V – #Vdim )( IIIm からの連続強進行 )( IVadd9 終止)。

 この曲、歌詞が一、二を争うレベル(?)で気に入っているんですが、歌詞を読むのが趣味の人はぜひとも曲を聴きながら読んでみてください。

 

 

〇進捗WARS feat. ビートまりお / ARM

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 作曲は ARM(敬称略)。主に東方アレンジや音ゲー界隈で有名な IOSYS の人ですね。アイマスだと『LET’S GO HAPPY!!』とか、あの辺り。ちなみに、この人の手掛けた曲で僕が初めて知ったのは(多分)『チルノのパーフェクトさんすう教室』です。

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 直球歌モノハードコア! カッコいい! 最近こういうの聴いてなかったので一周回って新鮮です。編曲うまお。この手の曲で入ってくるアルペジオ( A メロに入ってる)、定番ですけど疾走感が出ていいですよね。以下はアルペジオを鬼のように使っている曲の例。

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 サビ、八小節目、『間に合わない』の 3→4→3→4→3 いいですよね。自分の好きな半音の使い方。この曲みたいにサビの八小節目に入れたり、あとは B メロからサビへの橋渡しとして使うパターンが特に好きです。これとか。

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 これにも B メロからサビへの繋ぎでも 34343 のメロが入ってるんですが、別の例だとポケモンの OP で使われていた『スパート! / 松本梨香』がありますね。

 

 

〇君の瞳を巡る冒険 / Aqours

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 めっちゃ良い!!!!

 ゲームかアニメかどこへ分類すればいいのか分かりませんけど、『ラブライブ!サンシャイン‼』の楽曲です。作曲は渡辺和紀(敬称略)。wiki をざっと眺めてみたんですが、知ってる曲が一つもありませんでした……(無知)(アニソンよりは実在のアーティストよりに楽曲提供を行っている人っぽい?)。

 間奏のリフが大概この曲と同じで『なんか聞き覚えあるな~』となってしまった(勿論、パクリどうこうという話ではない)(リフなんていくらでも似るので)。

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 サビ! IV – V – VImVIm – IIm – V – I – [I – bVII] – IV – V – III7 – VIm – IIm – V – VIm – [Vm - I]、それね! 最近のアニソンに入ってる VImVm – I、全部好き。

 曲が全体的に2000年代っぽくて良い(2000年代の曲は知らないので、年代は適当。そのくらい古く感じるということ)(『Little Match Girl / ESTi』みたいな)。こういう曲(自然に身体が動く感じ、かつちょっと古めサウンドの四つ打ち曲)、実はかなり好きなのでストライクゾーンど真ん中だったな~という感じですね。

 この辺りの曲がそれです。

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〇My Secret heArtbeats / さら(cv.若井友希

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 めっちゃ良い!!!!!!!!

 アニメ『キラッとプリ☆チャン』の楽曲です。作曲は歌唱声優でもある若井友希(敬称略)本人。二物も三物も与えられた人類……。

 自分が 6415 に弱いっていうのもあるんですが、A メロと B メロの落ち着いた雰囲気からサビ頭の V(C#) (コードは VIm7 )で一気に突き抜ける感じが最高すぎる( V の力強さがこれでもかと出てる)。サビの最高音は一応 VI(D#) ですが、サビ前半は一生 V が天井になっていて、それを叩き続けるのでそりゃ盛り上がるに決まってるんよなあという感じ。

 というか、オケもかっこいいんですよね、これ。シンフォニックな感じのロック? シンフォニックとは若干違う気がしますけど、それっぽい何か。全体的にリバーブがかかってますよね。ポストロックっぽい感じの、いや、ポストロックでもないんですけど。歪みまくったギターの裏でめちゃくちゃ綺麗なリバーブの効いたシンセやピアノが響いてるのが、もう本当に良い。あと、二サビ後の間奏に入ってるアホみたいなギター好き(音ゲーだったら絶対に縦連になるやつ)。

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 この曲のサビは VI の上の VII スタートですけど、聴いたときに思い出したのでついでに貼っておきます。

 

 

〇What’s your Identity? / 大塚紗英

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 アニメ『エッグカー』の主題歌らしいです。作曲は大塚紗英(敬称略)本人(編曲はまた別の人らしい)(編曲まで自分でやってたらもう勝てませんになっていた)。「どこかで見た名前のような気がするなあ」と思ったんですが、バンドリに出演してる声優さんなんですね(シンガーソングライターでもあるらしい)(何者?)(天賦の才の者?)。

 ド王道のアニソンって感じですね。ギター、ベース、ドラムス、ピアノ、ストリングス。アニメの OP って言われたら「たしかにそれっぽいな」ってなる。歌詞も前向きだし。それはそれとして落ちサビからの四つ打ちが本当に良いし、っていうかストリングスアレンジがめちゃくちゃ良くないですか、この曲? サビの高揚感の七割くらいをストリングスが支えているような気がする。

 それはそれとして、こういう感じのアニソンが『アニソン』になったのっていつ頃からなんでしょう? 昔はそうでもなかったですよね?

 

 

〇last night / somunia

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 めっちゃ良い!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 Vsinger として活動している somunia の楽曲。作曲はパソコン音楽クラブ(敬称略)。somunia 歌唱の楽曲で知っていたのは多分『non player girl』が唯一なのですが、この曲と同じアルバム『fable in sleep』に収録されていますね。Jersey のリズムで気持ちいい曲です。

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 いや、良すぎる! イヤホンで聴きながら目を閉じると「ここどこ????」になる。幽体離脱。低域が丸っこい感じっていうか、しっかり聞こえるんだけど定位がどこにあるのか分からない感じで、いやまあ真ん中にあるんだけど、それのせいで一曲を通して謎の浮遊感があって、それがもうめちゃくちゃに良い。サビになると空間系の音が上物で入ってきてマジの宇宙が始まるし、そういう全部とウィスパーな感じのボーカルが最高に相性良くて「天才だな~~~~~」って感じ。箱で聴きたいが過ぎる、本当に。

 

 

〇ouch / ブリング・ミー・ザ・ホライズン

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 めっちゃ良い!!!!!!!!!!

 イギリスのロックバンドらしいです(ロック……?)。誰が入れたのかを一応確認できるみたいな話を前回したんですが、これを入れた奴の名前みてひっくり返りました。こういう曲を聴いてるのか~みたいな。Recommend、それなりに親しい相手の普段聴いている楽曲層の一端を垣間みれるような気がして、そういった楽しみ方もできるのがいいですね。

 自分がこの曲の何を気に入ったのかがマジでよく分かんないんですが、それはそれとしてめちゃくちゃ良い、この曲(なんで?)。さっきも別の曲のところで同じ話をしたんですけど、治安が悪い音の後ろでリバーブの効いた綺麗な音が鳴ってる曲がめちゃくちゃに好きで、「この曲もそれなのかな~」と考えてます。開幕からずっと鳴ってる謎の金管みたいな音と、途中から入ってくる細いピアノの音、それとボーカル。どれも綺麗な音で、しかもリバーブマシマシなので、そういうところかなあという感じ。

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 曲調は全然違うんですけど、治安悪い音と綺麗な音のハイブリッドだと上の曲とかが自分はめちゃくちゃに好きなので、興味のある人は聴いてみてください。上の曲はポリリズムになっていて、それもお気に入りポイントです。

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 治安悪い音と綺麗な音のハイブリッドで好きなのはこれも(『Beyond the Seven / Nhato』)。

 

 

 

〇絶対的三分間 / そこに鳴る

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 そこに鳴る、っていうのがバンド名なんですね(初見時、アルバム名と勘違いした)。

 イントロから既にカッコいい! 全体的にリズムにこだわってる感じが伝わってきて良い。ギター、ベース、ドラムスのコンビネーションとかもそうですけど、サビ終わりのパーカッションとか、微妙に入ってくる三連符とか、最後のサビ終わりのギターの隙間をベースが縫ってくるところがめちゃくちゃに良い。こういう聴かせ方ができるんだなあっていう。こういうの、シンコペーションっていうんですか?(シンコペーションのニュアンスをイマイチ分かっていない) 空白をはっきりと聴かせられる曲は本当に凄い。イントロのカッコよさを最後まで貫いてて、そこも良いですよね、この曲。なんていうか、「イントロはカッコいいんだけど、そこが特段カッコ良すぎて後ろのほうが(悪いわけでもないのに)見劣りする」みたいな感じにはなっていなくて、「すげ~」という感じ。

 それはそれとして、最後のツーバス連打、暴れまくってて流石に笑ってしまった。カッコいいのでノープロ。あと、終わり方もカッコいい!( A メロ冒頭に戻ってくる) カッコいいの化身。

 

 

 今日はここまで。この企画、本当に様々な音楽と出会うことができるので、めちゃくちゃ良いですね。

 

 

 

Recommend_1

 

 突然ですが、以下の URL にある共用プレイリストに曲を追加することで、僕に楽曲のダイマをすることができます。入れてくれたものは全部聴くので「これ良い曲なんだよな~」ってやつがあれば随時追加していってください(順でも斜でも構いません)(僕の好みとかは考慮しなくてよいです)(考慮してくれても当然よいです)(最初の五曲は自分で入れたものなので、好みを推測する際はその辺りを参考にしてください)。

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Recommend に入れてもらった曲に感想書いていくやつやります。理由? ありません。

  

 

〇舞台少女心得 / スタァライト九九組

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 めっちゃ好き!!!!!!!(先手必勝)

 誰がこの曲を入れたのか、こちらからは確認できる(多分誰でも確認できる?)んですが、ここで明言することはしません(というか、そうでなくとも誰が入れたのかは大体予想がつく)。

 アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の楽曲ですね。めちゃくちゃ良い作品なので全人類観てください。作曲は本多友紀(敬称略)。最初聴いたとき「なんか sideM っぽいな~」と思ったんですが『MOON NIGHT のせいにして』や『ARRIVE TO STAR』の作曲を手掛けた人なんですね(真っ先に思い浮かべたのは後者のほうだった)。他にも『ロケットスター☆』とか、身近なところだと今度発売されるストレイの曲もこの人らしい。なるほど。

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 細部を厳密に追いかけたわけじゃないんですが、音域がちょうど1オクターブ分くらいに(多分)なってて歌いやすく良い。大人数で歌う曲って音域の制約が余計に強くなるので、その分作りにくくなるはずなのですが、そこを上手く乗り越えてる曲に出会うと「すげ~~~~」となります。最高音は V(C#)。随所随所で V(C#) が出てきてると思うんですが、たとえば A メロの『出会いのすべに』とか、B メロの『さあ カテン開いて』とか、サビの『しく弧を描く』とか。後ろ二つは主音 (F#) からの跳躍になっててめちゃくちゃに気持ちいいし、A メロのは IV の傾性を振り切って V へ進むので力強さが補強されていて良き。

 サビ後に IV – V – IIIm – VI m のおまけフレーズがくっついてるのも『ロケットスター☆』と同じ感じですね。それまでは一小節単位で動いていたコードがここだけは半小節で変化するので、4536 の上昇感も相まってとても良い感じ。直前『揺らがないように』の F→F#→G# もいい感じですよね。なんていうか、最初の一歩を踏み切る三秒前って感じで。

 

 

〇ひよこのうた / Le☆S☆Ca

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 ゲーム『Tokyo 7th シスターズ』の楽曲ですね。作曲は Tetsushi Enami(敬称略)らしいんですが、聞いたことのない人だったので調べてみたところ江並哲志というかたと同一人物っぽい? こちらのかたは(自分に身近なところだと)『ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン』とかの作曲をされてますね。なるほど。

 いや、なるほどではない。ムズすぎ!! 何この曲? なんかコードにめちゃくちゃテンションが乗ってる(分からん)? 『ハッピー☆ラッキー(略)』と同じ作曲家がこれ作ってくるの意味が分からなくないか(あの曲もあの曲で微妙にムズいけど)? それはさておき。サビの IV – V – IIIm – VI 好き。この手の VI、絶対にメロディの頭で I# を叩いてくるから良いですよね(『殻を被ったまま』)。それとベースが遊んでて好き。全部の楽器隊がリズム隊を兼ねてる感じ?

 この曲、存在自体は結構前から知っていたんですが、曲名から可愛い系を想像していたので、歌詞の冒頭で会社辞めててひっくり返りました。

 

 

〇風の声を聴きながら / 三月のパンタシア

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 最近知りました、このアーティスト。ボーカルだけが固定で、作詞作曲は外部発注らしいですね。この曲の作曲は 40mP。自分は曲がりなりにもボカロ世代ながら、40mP の曲でフルを知っているのは『からくりピエロ』、『タイムマシン』、『恋愛裁判』だけという正真正銘のにわかです。許して。

 基本的に変な和音が出てこない上に B メロ以外は I 始まりなので、編曲も相まってゆったりした印象。その分 A メロで突如入ってくる VIIm とかが光っていていい(最初聴いたとき、ここでスタンディングオベーションだった)。B メロの『会話でったり』が好き。V の上の II ってめちゃくちゃ良くないですか?(なんで?)(分からん) サビでコードの切り替わりが半小節になるのも、サビ以外との対比があって良いですね。ノリノリ。

 三月のパンタシア、『青春なんていらないわ』(作詞作曲:n-buna)が滅茶苦茶に好みだったので、全人類聴いてください。よろしくお願いします。

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〇アルカテイル / 鈴木このみ

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 Key『Summer Pockets』の主題歌。作曲は折戸伸治(敬称略)。この瞬間まで存じ上げずの名前だったんですが、ゲーム『AIR』の『鳥の詩』を作曲された方なんですね(編曲は別の人らしい)。なるほど。

 サビの展開が頗る良い! IVM7 – IIIm – VIm – IIm7 – bVII – VIIm – IIIsus4 – III ですね。IIm7 から bVII(add9) へ飛ぶと気持ちが良いというのは周知の通りとして、そこからさらに VIIm へ進行するのが良い!! しかもその後に IIIsus4 – III(全体的に強進行をやっている)。神? 一番のサビで「ああ、これ最後のサビだとオク上に上がるんでしょ?」と思わせておいて、実際その通りになるので最高(こういうの、分かりきっててもその通りになってくれると嬉しくなってしまう)。IIm – IIIm – IV – V の上昇形からの VIsus4 – VI でピカルディ終止。神が。

 順番が前後しますけど、A メロ、後ろで鳴ってるリフもいい感じ。一番 B メロ、サビ前で若干落ちるところのミュートから開いていく感じのエレキも好き。二番 B メロのベースとドラムスが一緒のリズム刻むとこも好き(縦ノリお化け)。というかこの曲、全体的にストリングスがめちゃくちゃ良い(間奏が顕著だけど、間奏以外もずっと良い。二番サビ前とか)。

 

 

〇黒い羊 / 欅坂46

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 めっちゃ良い!!!!! 

 今更説明の必要もない有名アイドルグループの楽曲みたいですね。作曲はナスカ、バンドらしいです。僕は知らないんですが、『ノーゲーム・ノーライフ』の『オラシオン』を作曲された方々だとか(これを読んでいるオタクで知っている人がいれば「ああ、あの人なのか~」となってください)。

「欅の曲、『サイレント・マジョリティー』と『不協和音』しか知らないんだよな~」と思いながらいま spotify で欅のページを開いたんですが、全体の人気曲は先の二曲にこの『黒い羊』を加えた三曲がベスト3でした。ということは、同程度には有名な曲ということなんですね(恥ずかしながら知らなかった)。その二曲しか知らなかったせいだと思うんですが、『欅坂』=『サビでやたら早口になる(というかノーツが敷き詰められる)』、という謎の等式が脳内にあります。まるで関係のない話です、これ。

 オケが良い。アコギ、ベース、ピアノ、ストリングス、これが結論。オケで聴きたい、この曲。いや、ボーカルも良いんですけど。二サビ終わりで唐突に入ってくるカノン進行が良い。ここまでずっと IV か VIm から始まるフレーズばかりだったので、(ストリングスの重ね方とかもあると思いますけど)頭の I がめちゃくちゃな浄化感を伴って響いてますね。加えて、カノンからの III7 で若干不穏な感じにして次のループ( VIm 始まり)に飛ぶのがあまりにも良すぎる( IIm7 の時点で気持ち悪い音鳴ってません?)(気のせい?)(いや、気のせいではない)。

 この曲を勧めてくれた某人に勧め返すんですが、この曲を聴きながら真っ先に思い浮かべたのがこれでした。暇なときに聴いてください。

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 今日はここまで。今後もこんな感じで、暇なタイミングで「ちゃんと聴いたよ」アピールをしていこうと思います(オススメされた以上は当然全部聴く)。

 

 

 

 

 

『パレイド / 夏川椎菜』について。

 

 表題の通り、今回は『パレイド / 夏川椎菜』について色々書いてみたいと思います。

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 リリース当時から「めちゃくちゃに良い曲だな~」というありきたりな感想を漠然と抱いていたものの、「じゃあ、具体的には何がどう良いのか」を自分なりに理解してみたい、という辺りに何となくのモチベーションがあり、それで様々を考えてみた結果がまあこれです。音楽理論について明るくなくとも、原曲を知っているかたであれば楽しんで読めるとは思います(というか理論については僕も全く知りません)。「裏でこんな音鳴ってたんだ」的な読み方もできると思いますので、是非に。

 

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※注意 

 間奏1→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏2→Cメロの順でみていこうと思います。耳コピに不慣れなので進行とかメロディラインなんかに多少の間違いがあるかもです(許して)。なるべく具体例を挙げるようにしようという気持ちがあるにはあるのですが、自分が普段聴いている曲にどうしても偏ってしまうので、そこは許してください。

 以降、基本的に音楽の話をすることになると思いますが、途中で本楽曲に対する個人的な感想などを挟むことがあります(進行やボーカルのメロディについて話すパートで一緒に書いています)。また、音楽理論の専門的な知識を有しているというわけでは全くないので、誤ったことを言っている可能性が十二分にあります(何かあったら教えてほしい)。一から十まで個人の意見なので、解釈違いを起こしたらごめんなさい。

 この記事は全部でおよそ25,000字あります(あるらしいです)。そこで流し読みができるように『良い』という言葉(あるいはそれに類する用語)を無意味に太青字で書いています。自分が『パレイド / 夏川椎菜』の何を良いと思ったのかは、適当に流し読みしつつ太青字の部分だけ追ってくれれば大体わかると思います。

「マジで時間がねえんだわ」って人はCメロのところだけでも読んでください。

  

 以下で I,II,…,VII とかけばスケール上の和音のことで,1,2,…,7とかけばスケール上でみた各音の高さのことです。たとえば C メジャースケールの I はドミソを重ねたやつのことで、6はラのことです。また、いくつか和音の流れ(コード進行)を算用数字で表す場合があります(たとえば4536の王道進行など)。

 一応 MIDI を貼り付けてありますが、この記事を書くのに必要だった部分しか採譜していない上に、どう考えても聞き取れない音(パッドの構成音など)はかなり適当に埋めています。

 

 理論については以下のサイトを参考にしています(以下のサイトで学んでいます)。詳しくはこちらを参照してください。

soundquest.jp

 

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パレイド / 夏川椎菜

BPM:116

Key:A#maj(転調なし)

MIDIパレイド.mid - Google ドライブ

  

〇間奏1:全8小節

・進行

| D#M7(9) - F6 - | F#dim7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | F - Gm7 - |

| D#M7(9) - F6 - | F#dim7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | F --- |

・進行(degree)

| IVM7(9) - V6 - | V#dim7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | V - VIm7 - |

| IVM7(9) - V6 - | V#dim7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | V --- |

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 二番サビからCメロまでを繋ぐ部分以外の間奏です(青:コード、紫:シンセリフ)。

 進行は前半が4536(王道進行)ベースのパッシングディミニッシュを噛ませて5→5#→6の半音移動を組み込んだバージョン、後半は4156、その二つの繰り返し。ノンダイアトニックは F#dim7 だけ。4536を弄って半音構造を入れるのは、これ以外にも IIIm を III7 に置き換えてやるやつが頻出です。

 IV や V に妙な装飾がくっついています(シンセのメロディラインと聞いた感じから勝手に判断しただけなので、誤っているかもしれない)が、これについては後々説明できる部分があるので、ここではとりあえず置いておきます。

 間奏ではずっとシンセがピロピロ鳴ってます。最高音(6)は偶数拍の頭(もう少しテンボが上がれば奇数拍になりそう)。

 

 

 

〇Aメロ:全8小節

・進行

| A# - F/A - | Gm7 - Dm7/F - | D#M7(9) - A#/D - | Cm7(11) - F - |

| A# - F/A - | Gm7 - Dm7/F - | D#M7(9) - A#/D - | Cm7(11) - F - A# --- |

・進行(degree)

| I - V/VII - | VIm7 - IIIm7/V - | IVM7(9) - I/III - | IIm7(11) - V - |

| I - V/VII - | VIm7 - IIIm7/V - | IVM7(9) - I/III - | IIm7(11) - V - I --- |

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 色々な飾り付けが施されていますが、一応すべてスケールに乗った和音ではあります。これは所謂ったところのカノン進行で、ベースラインが1→7→6→5→4→3→2と下降していって、最後にツーファイブで2→5→1と一周します。Bメロへ向かうために八小節目は1で一旦解決(いつもの)。

 和音にくっついた飾りについてはメロディの部分で触れるとし、とりあえずこの段階で指摘しておきたいのは『この曲の軸には5の音がある』ということで、進行に使われているすべての和音に5の音(このスケールでは F)が組み込まれています。といってもカノン進行を使えば自然と5の音は多く入ってくるわけですが、なので注目すべきは妙なテンションのついた IVM7(9) と IIm7(11) で、それぞれ9と11が F(つまりスケール上の5)になっています。

 

・メロディ(ボーカル)

 1から7の音にはそれぞれ特性があります。詳しく知りたい人は各々調べてもらうとして(キーワード:SoundQuest、傾性、カーネル)、個人的な印象を適当に書いておくと(読み飛ばしていい)、

→1(主音):最安定。

  • フレーズの終わりはとりあえずこれにすると落ち着く(やりすぎはよくない)。
  • 連打してもロングトーンにしても違和感がない。真っすぐ。
  • 長調ではこれが主役。

→2(上主音):不安定。

  • フレーズの終わりに置くと宙づりになった感じがする(浮遊感がある)。
  • 連打されると何かに突き動かされるみたいな感じがする(例:『天体観測 / BUMP OF CHICKEN』サビ、『見えないモノをようとして』(赤字が2の音))。

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  • これを軸にメロディを組むと、何となく浮遊感が出てくるような気がする(例:『Aurora / BUMP OF CHICKEN』Cメロ。『もう一 もう一度 クレヨン 好きように もう一 さあどうぞ 好きな色で透明に』(赤字が2の音))。

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  • 1と3へ行きたがる(どちらでも行ける。1のほうがポテンシャルは低そう)。

→3(中音):安定。

  • 主音と同じくらいには安定している一方でカッコよさ(情感)もある。
  • 連打しすぎると若干暗くなる印象が(個人的に)ある。
  • 伸ばし放題。

→4(下属音):めちゃくちゃ不安定

  • 経過音的な使い方が主という印象がある。
  • 連打すると何もかも終わりそうな気がする(やったことがない)。
  • 半音下安定音の3へ進みたがる(『傾性』)。
  • 順次進行の文脈なしに傾性を破って5へ行くとエモくなりがち。

→5(属音):安定

  • センスが最も問われそうな音、という印象がある。
  • いわゆる『キメ』で使われるのはだいたいこの音、という印象もある。
  • なんていうか、不思議と力強い。

→6(下中音):不安定?

  • 短調でないなら)5のオマケという印象(5→6→5みたいに一瞬上へあがったりする)(例:『chocolate insomnia / 羽川翼』歌い出し。『ごんね』の『』が6)。

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  • 一つ上にある7がヤバいので大体は5か他の安定音へ行く。たまに7へ行く。

→7:導音:めちゃくちゃ不安定

  • 半音上安定音の1へ進みたがる(『傾性』)。
  • ずっと鳴っていると本当に気持ちが悪い。
  • 普通は1(主音)へ行くところを、あえて7を経由してから1へ進むという場合がある。

という感じ。長々と書きましたが大事なのは『スケール上のそれぞれの音に様々な役割がある』ということです(これはメロディ分析には不可欠な視点っぽい)。それとはまた別に『その音がどんな和音の上にあるか』でも1,…,7の性質は若干変わってきます。これも詳しく知りたい人は各々調べてみてください(キーワード:SoundQuest、シェル)。以下では特に何の説明もなく使います。

 

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 Aメロのボーカルラインです。

それぞれコードの変わり目のメロディが「スケール上で何音目か」と「和音上で何音目か」をみていくと、

D(3,3)→C(2,5)→A#(1,3)→D(3,1)→A#(1,5)→D(3,3)→D(3,9)→C(2,5)→

らき みつてい せびでといためのせかい

D(3,3)→C(2,5)→A#(1,3)→D(3,1)→F(5,9)→D(3,3)→A#(1.7)→C(2,5)→A#(1,1)

そにきずかな きうさをくにもとめる

となります。(*,3) になっている音は和音の長短を最も色濃く反映するので特に重要で、情緒感を演出するエース的存在です。(*,5) は真っ直ぐで力強い感じ、(*,7) は複雑なイメージ(衝突の濁りによる副産物)をそれぞれ付与するという感じですが、前の * の部分に入る数字の方がどちらかといえば本質的です。Aメロでは (*,3) の音が多用されており、全17回のうち6回が (*,3) です。Aメロ全体に漂うどこかノスタルジックな空気は、ここら辺の要素にも由来しています。

 最初の D(3,3)→C(2,5)→A#(1,3) (『らゆ 空沈む』)は下降形になっていて、カノン進行によるベースラインの下降とあわせて聴いていて心地良い感じがします。それに加えて (*,3) の音が二つ入っているので絶妙にノスタルジック(先述の通り(*,3)は情緒の演出家)。しかも歌詞(歌い出し)は『ゆらゆら 空は沈む』なので、この時点でもうスタンディングオベーションじゃないですか? 心ごと沈んでいく感じがしますよね。

 これは余談ですが、同じくカノンコードを用いた楽曲で、コードの変わり目にある音が下降形になっている曲として『いつも何度でも / 木村弓』があります(『千と千尋の神隠し』の主題歌、歌い出し。『呼んいる のどか奥 い躍る を見たい』、『』→『』→『』→『』→『』→『』と下降して『夢(め)』で一気に上昇します)。

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 上の楽曲では (*,3)→(*,5) の形がずっと繰り返されていて、パターンによる聴き心地の良さと、それでいてメロディは割と跳躍するので飽きない感じ、加えて (*,3) が何度も鳴ることによる情緒マシマシな感じがあります(一度でも聴いたことがある人は解ってくれるはず)。

 先に挙げた (*,*) の列でみてほしかったのは「((*,*) で表したときの)二番目の数字の方には割とバリエーションがある」ということでした。このことはBメロのほうでまた触れます。一方で、メロディ自体は A,A#,C,D,D#,F の六つしか使われていなかったりします。音の幅そのものは狭くても、どこに置くかによって色が変わってくる、ということですね。

 

 メロディラインについても触れておくと、前半は下降形。四小節目1→2→3の順次進行から4(D#)が出てきて、またすぐに3へ落ちていますね(『傾性』)。ここの頭にある3は IIm7(11) という和音の構成音ではありませんが、直前が順次進行であることと、直後が和音の構成音4であることから正当化されます(多分)。四小節目終わりは、二小節目終わりの3(D)より全音低い2(C)で、1からの進行ということもあって、爪先がちょっとだけ浮いたような感じ。

 続いて六小節目では1→5の跳躍があります(一番『嘘でも傷つかない』)。5へ跳躍すると気持ちがいい(IVadd9 上だとなお良い)という事実が知られており、5の持つ力強さと安定性に基づいた感覚であるような気がします。実際、多くの楽曲でいわゆる「キメ」の部分に5の音が使われており、当楽曲においても終盤で登場します(そのときにまた触れますが)。また5はAメロでの最高音でもあります。この跳躍で5をチラ見せしておいて、その後には5→5→4→4→3→3→2→1と下降していくフレーズへ自然に繋いでいます。良いですよね、ここの跳躍。たとえば5の跳躍の部分1→5→3をAメロと同じ1→2→3の順次進行にしてやると、違和感のあるフレーズというわけでは決してないものの、それでも最高音が出し抜けに現れることにはなるので若干の唐突さがあるような気がします(果汁10%と9%くらいの違い)。

 また、Aメロは四分音符と八分音符がちょうどいいバランスで組まれていて、表頭(コードの切り替わり)に四分、その間を八分で埋める、という構造が基本となっており、表拍を随分と強調しているような感じがします(七小節目までは、どの小節にも必ず四分音符が置かれています)。最後の5→5→4→…(一番『器用さを僕に求める』)に差し掛かるまではずっと同じようなリズムが繰り返されるので、結果的に相当の安定感があり、カノンコードやベースラインの下降による効果、加えてボーカルの歌い方なども相まって、Aメロは全体的にとても落ち着いた印象。逆に言えば、『器用さを僕に求める』の部分においては小節全体が八分音符で敷き詰められ、これがBメロへの良い伏線になっている気がします(後述するBメロは八分音符が主体)。といってもメロディそのものはやはり下降形になっているので、今までの型を崩したところで安定感が損なわれることはなく、聴いていてとても心地良いです。

 補足:五小節目からは一オクターブ上に全く同じフレーズでコーラスが入っています。

 

 

・その他

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 ずっと鳴っている、丸い音をした謎の楽器(これ何?)。このメロディラインをみてやれば、各和音の構成音がある程度は特定できます(たとえば二小節目の IIIm には 7th が乗っているとか)。

 実は、このAメロではこいつがずっと5の音(F)を鳴らし続けています。初めのほうに『この曲の軸には5の音がある』と言っていたのはこういうことです。この曲では、ボーカルのメロディに5がそれほど現れないことと対照的に、裏では様々な楽器が終始5の音を鳴らし続けています。この曲の全体に宿っている「あまり動かない感じ」の一因はこういうところにもあるような気がします(5は1と同じくらいに安定なので)。また、メロディ(ボーカル)の部分で「表拍を強調している」みたいなことを書きましたが、この楽器もそうですね。

 

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 ピアノ。四小節目、ボーカルのメロディと同じフレーズをなぞりつつ、ボーカルが切れるタイミングで新しいフレーズに移っていきます。五小節目から六小節目にかけて、高音域の表拍で5の音(F)を鳴らし続けており、さっきまでは上の謎楽器だけだったのがここで補強され、曲全体における5の存在感がより鮮明になります。また、表拍の強調もここでさらに補強されます。さらに五小節目からはベースとエレキギター(左側で鳴っている)も表拍の強調役として入ってくるので、もう盤石という感じです。

 この曲の好きな部分として「ボーカルのメロディラインは高音域の5(F)までは届かない」のに「ピアノやシンセなどは高音域の5を鳴らし続ける(し、それより上へは動かない)」ということがあります。ボーカルの目線からみると上から押さえつけられてる感じがするというか、透明な天井があるように思えるというか、それでいて5は安定して鳴り続ける音なので突き破れそうにもない感じがして、なので上に述べていた「あまり動かない感じ」というのはどちらかといえば、「あまり動けない感じ」と表現した方が正確という気がします。要は「響き続ける高音域の5」という一人称(歌い手)には越えることのできない壁があるということで、ここら辺が歌詞の内容とリンクしているような感じがして本当に良い!!!!

 

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 これはシンセ、上の方で鳴っている丸っこい音です。他の楽器隊が軒並み表拍を強調している中で、唯一自由に動き回って裏拍を補う陰の主役です。音が細く、かつ右側で薄ら鳴っているだけではあるものの、これがあるとないではAメロの印象が結構変わると思います。このシンセが裏を走っているおかげで表拍の立ち位置が(十分に強いですが)強くなりすぎず、結果的に全体のバランスが保たれているという感じ。

※追記(20200621):「こいつがマーチング感を強めている気がする」という指摘があり、納得したものの素養が無なので理由が分からず終わっています。何故?

 下側にボーカルのメロディラインを同時で表示しているのですが、ボーカルが下降するところ(たとえば一小節目の頭や三小節目全体)ではこのシンセは上昇しており、逆にボーカルが上昇するところ(たとえば二小節目から三小節目にかけて)ではこのシンセが下降していて、普段聴いているときには全く意識していなかったので、採譜しているときに思わず「良すぎ!!???!?!」と叫んでしまいました。編曲においてたとえば和音、ベースライン、ストリングスなんかをメインで聴かせたいフレーズの動きと逆行させるということは基本中の基本だったりするわけですが、それをここではボーカルとシンセでやっているという感じです。普通に聴いていても案外気づけなかったりするのでいい機会でした。「逆行させる」の例としては、いくらでもあると思いますけれど、自分の知っている範囲で特に分かりやすいものだと『ハンマーソングと痛みの塔 / BUMP OF CHICKEN』最後のサビ前、『同じ高さまで降りてきて!』の直後、ボーカルのフェイクとベースラインが逆行しています。 

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 ふと思い出したんですが、『ミツバチ / Le☆S☆Ca』のAメロ(一番『そこに込められた』)もそうですね。

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※参考記事

kosamega.hatenablog.com

 

 

〇Bメロ:全10小節

・進行

| D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - |

| D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | Fsus4 - F - |

| Fsus4 - F - | ---- |

・進行(degree)

| IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - |

| IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | Vsus4 - V - |

| Vsus4 - V - | ---- |

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 間奏1の後半部分と同じ4156です。実は間奏2と同じ進行です。諸々がくっついているせいで V7 以外では終始1,3,5(A#,D,F)の音が叩かれています(ここの V7 は V とみたほうがいいかも?)。最後は Vsus4 による引き延ばしでサビ頭の IVM7(9) へ。Bメロでもノンダイアトニックコードは出現しません。

 ここで話すのかよって感じですけれど、個人的に「IVM7 はカッコいい。使い方によっては若干陰鬱」(多分BPMの問題。速いとカッコいいし、遅いと暗い)、一方で「IVadd9 は透明。ずっと聴いていたい」という印象を持っており、今回大量に使われている IVM7(9) はその中間にいるような感じがします。具体的には透明感と閉塞感の両立という風な印象なのですが、このBメロは特にその傾向が強い気がします(インスト音源を聴いてみてください)。勝手な感想を言えば、青空の下を歩いている感じなんですよね、ここ。晴れてるし、気温もちょうどいいし、風が吹いていて、近くには川も流れていたりして、散歩としては何一つの不満もないものの、ふと見上げた空の色があまりに高すぎて、そうして心のどこかでは何かを諦めてしまっている感じ、……みたいな? 透明感と閉塞感の両立ということについて、この曲に対して自分が持っているイメージの一つです。

 ついでに IVadd9 の透明感について少し触れておくと、二曲ともこのブログで触れたことが何度かあるように思うのですが、『変わらないもの / 奥華子』のサビが VIm7 – IVadd9 – Vsus4 – I で、sus4 の効果もあり透明感がマシマシになっていてとても自分好みです。

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 同系統だと『(please)forgive / BUMP OF CHICKEN』は一曲を通してずっと IVadd9 – Vsus4 – I/III – VIm7 の組み込まれたループ進行で作られています。といっても、BUMPはorbital period以降 IVadd9 の申し子になっているので、BUMPの曲ではそれほど珍しくもありませんが。 

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・メロディ(ボーカル)

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 Bメロのボーカルライン。Aメロのときのもやったこと、つまりコードの切り替わりにいる音についてそれぞれ「スケール上で何音目か」と「和音上で何音目か」をみてやると、

A#(1,5)→A#(1,1)→D#(4,7)→D(3,5)→A#(1,5)→A#(1,1)→C(2,5)→A#(1,3)→

『いといえほどつくなく なしていよ だいなも

A#(1,5)→A#(1,1)→D#(4,7)→D(3,5)→D(3,7)→F(5,5)→F(5,1)→A#(1,11)→C(2,5)

『すきなもをてにれるけ えいてたぶんは もう どにもいない

となります。

 一見してすぐに分かることとして、Bメロでは (*,5) の使用頻度がめちゃくちゃに高く、上にある全17回のうちの8回が (*,5) になっています。次に多いのが (*,1) で4回。Aメロで多用されていた (*,3) はたったの1回しか出てきません。Aメロパートでも言っていたように (*,3) は情緒感の演出家みたいな側面がある一方で、(*,1) はド単調(超単純、一直線)、(*,5) は (*,1) に次いで単純で (*,1) よりは高揚感みたいなものに若干寄りがち、という性質があります。そのためBメロでは「スケール上で何音目か(カーネル)」のほうがそれなりに重要になってくる(「和音上で何音目か(シェル)」の影響が薄い)わけですけれど、これも見てすぐに分かる通り (1,*) がめちゃくちゃに多く、全部で8回使われています。(1,*)(主音)は超安定ということだったので、Bメロ全体としては一直線の (1,*) に曖昧な高揚感の (*,5) をちょくちょく混ぜ合わせたという感じになっています。

 Bメロの力強さを支えている要因は他にもあって、たとえば一小節目の頭、Aメロでの最高音を一気に突き破ってオクターブ上の1(A#)まで跳躍しています(跳躍は幅があればあるほど""強い""(本当に?))。さらに同じ小節内の三拍目では最高音をもう一度叩いています。主音がそもそも安定しているので、主音の最高音はかなり真っ直ぐに響きます。Bメロでは、そんな1の音を(途中で1(A#)よりも高い2(C)が出ていることに目を瞑れば)全部で8回も鳴らすので、それはもう”力強いが凄い”です(例:『ディアマン / BUMP OF CHICKEN』サビ、『どこにだって行け らはここにいたままで』の『だって』、『』、『』が主音かつ最高音。はじめの二つが IV の上の第5音、『』は I の上の第1音)。

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 あとは単純に、このBメロからボーカルの歌い方に少しずつ熱がこもってくるということもありますね。曲の構成単位、その全部がBメロの強さを支えているという感じです。

 

 メロディラインについても触れておきます。ぱっと見で分かることがいくつかあって、まずは音域がかなり広いこと、次に八分主体のフレーズであること、あとはやたらと階段形になっている(順次進行である)こと、この三つです。これらはいずれもAメロでは見られなかった傾向だということで、ここで少しだけ雰囲気が切り替わったような印象を受けます。Aメロ→Bメロで一気に最高音を突き破るという話を上でしましたが、こういった部分にもAメロとBメロとの差別化がなされています。また、ここでもやはり表拍が強調されています(上の1,2はすべて表拍にある。)。

 ほとんどずっと八分音符でメロディが続くので安定している感じがあり、それも順次進行ばかりで跳躍がほとんどありません。なので数少ない跳躍の力強さがかなり目立ちます。先にみたように、メロディの部分部分については十分な力が宿っているわけで、それを順次進行による安定感がいい感じに薄めているという感じがあります(力強くなりすぎない。Aメロのシンセと同じ、バランスの問題)。順次進行を鬼のようにやっている曲の例としては『新世界 / BUMP OF CHICKEN』(特にAメロ)があります。聴けば順次進行の安定感が如何ほどかということが実感できると思います(『頭良くないけれど 天才なのかもしれないよ』の『もしれ』が同音、直後の『』が全音二つ分の跳躍。それ以外はすべて順次進行)。

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 跳躍したと思ったらすぐに下がるし、そうかと思ったら1(A#)をさらに越えて2(C)を叩くし、なんだか行ったり来たりを繰り返しながらぐるぐると迷っているような感じがしますよね、このBメロ。最後の Vsus4 に差し掛かる直前(『描いてた自分は もう』)、D(3,7)((*,7) の音)に始まり、かつ前後いずれの和音の構成音でもない6(G)で折り返すせいか、不思議と印象的なフレーズな気がします。一回目の Vsus4 - V (『描いてた自分は もう』)ではハモリが A#(1,4)→A(7,3) という定番の動きをしています。その Vsus4 で引き伸ばした後には正真正銘の最高音 C(2,5) を叩いてサビへ。(2,*) の浮遊感と (*,5) の力強さがサビへの期待感を後押ししていてとても良いです(これも定番ではあるけれど)。

 

 

・その他

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 ピアノ。下の5(F)から2オクターブ上の5(F)へ駆け上がるグリッサンドから始まります。Aメロでは比較的動きがありましたがBメロだとおとなしめで、基本的には和音を鳴らしつつ、要所要所で合いの手みたいなフレーズを入れてきます。また偶数小節目の後半には必ず1→7→6→5と下降します。七小節目で最高音の5(F)から下降。八小節目ではさらにオクターブ上の5(F)から下降。途中のトリルが気持ち良すぎ。ボーカルが C(2,5) のロングトーンへ入ったところで十六分音符に変わって、さらにキメのリズムを叩き、その後は一気に駆け下りるグリッサンドでサビへ入っていきます。

 

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 これはシンセ。上の方で鳴っている丸っこい音です。Aメロにあった「5(F)の壁」をBメロで担っているのがこいつで、ずっと5(F)の音を鳴らしています(部分的に下がったりもしていますが)。ピアノが5(F)の音へ向かってグリッサンドを決めていたのは、恐らくこの音への伏線です。終盤、Vsus4 へ差し掛かったところから下降していき、最後はピアノと同じフレーズでキメのリズムに入ります。

 

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 これもシンセです。こっちは二番のBメロで新しく入ってくる音ですが、ずっと十六分でピロピロ鳴ってます。Bメロでは表拍を意識させるものとしてボーカル、キック、エレキギター、ピアノがありますが(エレキギターはカッティングで鳴っているので、裏拍も一応補っている)、それ以外を補っているのがベースだったりハイハットだったり、あるいはこのシンセだったりします。まあ、この音はほとんど聴こえてこないわけですが、聴こえないものの欠かせない音というのがあり、これはその一種です。

 このタイミングでドラムスやベースの話もついでにしておきます。ドラムスはかなり単調で、サビへ入る前以外に特別なことはしていません(この単調さが後半で活きてくる)。それとハット類ですが、一応Aメロでもずっと表拍で鳴っています(キックに合わせて金物を鳴らす、お馴染みのやつです)。それはBメロでも継続して叩かれていますが、オープンが入ってくるのはBメロからで、今度は裏拍で叩かれています。加えて五小節目の前後では明らかに叩く強さが変わっています。同じBメロの中でもサビへ向かうにつれて盛り上がりが演出されているということです。また八小節目、ボーカルが F(5,1) のロングトーンへ入ったところ、あるいはピアノが高音域の5(F)へ飛ぶところ、そこからは表拍で叩かれています。それまでは表と裏に分離していた楽器が一気に表に寄ってきて、キメのリズムへ向かうための助走をとっている感じがしますね。二番になると一番で鳴っていたアコギの弦を擦る音(シェイカーみたいな音)が引き続いて裏拍を補っています。

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 ベースは基本的に表裏の区別なしに鳴っていますが、意識して聴いてみると分かるように、表じゃないところ、特にコードの変わり目付近でぐねぐねと動いています。さらに八小節目の終わりから九小節目にかけて、ピアノが高域の5(F)をさらに突き破ってオクターブ上の5(F)を鳴らす辺りで、実はベースも1オクターブ上の5(F)へあがっています。あるメロディが上昇したときに他の楽器を下降させる、あるいはその逆もそうですが、編曲ではそういった『逆行』の構造が要求されることがある、みたいな話をAメロのシンセのところで少し書きました。それは多分、曲単体がもつ層の厚さのようなものをどれだけ多層的に保てるか、みたいな話だと個人的には思っているのですが、ここではその逆をしています。その九小節目ではベースが低域から消える(ように感じる)ので多少の浮遊感があり、十小節目までには戻ってくるので、直後にある「キメ」の重みがより鮮明に感じとれて良いですね。

 あとは多分、Aメロの謎楽器も継続して鳴っているような気がするんですが、うまく聞き取れませんでした(本当に鳴っている?)。

 

 

〇サビ:全8小節

・進行

| D#M7(9) - F - | Gm7 - F - | D#M7(9) - F - | A# --- Cm - Dm - |

| D#M7(9) - F - | Gm7 - F - | D# --- | D#m --- |

・進行(degree)

| IVM7(9) - V - | VIm7 - V - | IVM7(9) - V - | I --- IIm - IIIm - |

| IVM7(9) - V - | VIm7 - V - | IV --- | IVm --- | 

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 456形です。4565はカッコよさと安定感をいい感じに兼ね備えていていいですよね。『POSSESSION / TAG underground』とかは最初以外ずっと4565だった気がします。

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 最近あまり聴かなくなったのでこれは適当な憶測ですが、爽やか系ハードコアとかはこの進行が結構使われていそうないなさそうなイメージがあります(超憶測)。

 八小節目の IVm はノンダイアトニックコードでサブドミナントマイナーという名称があります(構成音は4,b6,1でb6がスケールに乗っていない)。初めの間奏で #Vdim7 というのが出てきていましたが、IVm のほうがノンダイアトニック感は強い気がします(#Vdim7 はどうしても橋渡し感が強いという気がしてしまう)。

 サビの最後はだいたい I で解決させるのですけれど、これをやらないのがいわゆる偽終止というやつで、それには様々な種類があります(本当に様々がある)。IV による終止は若干の余韻を残すという感じで、その例は古今東西様々があると思いますが、僕は『Aurora / BUMP OF CHICKEN』が好きなのでそれを挙げておきます(二回目)。

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 今回は IVm による終止なので絶妙な物悲しさが残るという響きになっている気がします(あとは若干の浮遊感)。これと同じことをやっているのが、たとえば『全力少年 / スキマスイッチ』一番サビ。こちらは IIm – IIIm – IV – IVm と終止しています。

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『パレイド / 夏川椎菜』においても、サビ終わりは何とも言えない空っぽだけが残っているような、そんな感じがありますね。

 IVm について少しだけ触れておくと、こいつはポップスなら IV – V – IIIm – VIm(4536)と IIm – IIIm – IV – V(2345)の派生でよく出てきます。具体的には、4536のほうだと V を IVm に置き換えたり、2345なら IV – V を IVm – Vm に置き換えたり、といった風に。例は前者が『Yes! Party Time!! / - 』のBメロ冒頭(『ネオンの中で泳ぐ 熱帯魚のように 今日こそ』)、後者が『流れ星の正体 / BUMP OF CHICKEN』のサビ(『音を立てて響く声』)(赤字が IVm の部分)。

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 こういった使い方だと、物悲しさはさておき浮遊感だけが前へ出てくるという印象があります(恐らく部分転調のせい)。

追記:サビのV、最初は V6 なのかなと思って記事を書いている途中に V へ戻したんですが、どっちなんでしょう?

 

 

〇メロディ(ボーカル)

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 恒例のあれをやってみると、

D(3,7)→D(3,6)→D(3,5)→D#(4,7)→A#(1,5)→A(7,3)→F(5,5)→

『ああ まくわえてた いのぼく こなじゃな

D(3,5)→D(3,7)→D(3,6)→D(3,5)→D#(4,7)→A#(1,5)→A#(1,5)→A#(1,5)

から のたけあわな きいごと くちずむのか

となります。(*,5) の独壇場であるというのはBメロと同じような状況ではありますが、決定的に異なっているのが (*,1) が全く出てこないという点です。そうして消えた (*,1) の代わりに V の上の (*,6) と複雑系の (*,7) が目立ち、これまでとはまた違った構成になっていることが分かります。

 八分音符による同音連打と順次進行が基本で、跳躍はほとんどありません。これもAメロBメロとは異なる構成です。何度も連打される D の音はスケール上の3で安定している一方、情緒感がとても強いです(SoundQuestでは『リライト / ASIAN KUNG-FU GENERATION』のサビが紹介されていた)。

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『パレイド / 夏川椎菜』の場合、最高音はそのさらに半音上にある4(D#)で、メロディライン的には3(D)の連打から一瞬だけ上にぶれる風に使われており、これによって3の情感による揺さぶりをかなり強く補っています(『今の僕は(いのぼくは)』。高まる感覚)。また3(D)が連打されているのは IVM7(9) の和音の上(つまり D(3,7))なので、お洒落というよりはかなり複雑さに寄った響きになっています(ルートの4に衝突する)。準最高音である (3,*) のエモーショナルな感じを (*,7) が複雑な響きにしているといった具合。そこにボーカルの歌い方も相まって、この部分(『ああ 上手く笑えてたら』)の「訴えかけてくる感じ」が相当に高まっています。良いですよね、ここ。IVM7 上の3が鍵になっている曲で好きなのは『太陽 / BUMP OF CHICKEN』のAメロです(『二度と朝は出会わない 窓のない部屋』)。

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 四小節目の5(F)からオクターブ上の4(D#)への跳躍、こういう半音なり全音なりの関係にある二つの音を使った跳躍って結構みかける気がするし自分もたまにやるんですが、理論的な話題はあったりするんでしょうか?(何も知らない)(今回は一旦メロが切れているのでまた別の話かもしれない)

 最後の IVm、ボーカルがしっかりとb6(F#)の音をなぞり、しかもその後は5(F)へ半音下降していて、そこもまた綺麗で良い流れですよね。IVm は短三度上への部分転調という見方を僕はとりあえず採用している(これは諸説あり、実はよくない)のですが、そうなると C# が1になり、コードの変わり目にいる A# は6、F#→F→D# の動きは 4→3→2の動き(『傾性』)というようにそれぞれなっています。これまでにも繰り返し使われていた主音の A# が、ここ(『くちずむのかな』)ではまた違った響き(ちょっと暗め)になっていてとても楽しい(6の音だから?)。最後の D#→A# は和音の構成音による跳躍で、IVm 終わり(部分転調終わり)にはちゃんと元の主音(A#)に戻ってくるという感じです。

 曲に関する意見を少しだけ書いておくと、サビ入りの『ああ』というフレーズがサビの起爆剤になっているような気が個人的にしています。感嘆詞は感情の起伏によって思わず生じてしまうものという認識が(個人的には)あるので……。サビ終わりの『ああ ああ ああ ああ あー』という歌詞も、そうなってくるとめちゃくちゃに良いフレーズですよね。よくあるフェイクなんかじゃなく、紛れもない歌詞として刻まれていることの意味、みたいな。それと、これはこの曲全体を通して言えることですが、歌詞にやたらと否定形が多く、サビではそのことが特に顕著ですね。加えて『くちずさむのかな』とか『手放せないんだ』とか、サビだけは若干口語に寄っているのもかなりポイント高めです。一人称の感情がストレートに押し出されている感じがして。メロディラインによる揺さぶりというものについて上で言及しましたけれど、ボーカリストは勿論のこと、歌詞もまた「訴えかけてくる感じ」において決して欠かせない構成要素の一つになっています。

 結局、ここで4(D#)へは到達したものの、これまでに他の楽器(ピアノ、シンセ)が鳴らしていた最高音5(F#)まではまだ手が届きません。また、この直後に触れますが、サビでもずっと5(F)の音が鳴っています。

 

 

 

・メロディ(その他)

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 丸っこい音のシンセです(裏拍でンワンワ鳴ってるのじゃないほう)(四小節目が一番聞き取りやすい)。見て分かるように、サビの間ほとんどずっと5(F)の音を鳴らし続けています。

 

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 こっちが裏拍でンワンワいってるほう。流石に構成音までは聞き取れないので、トップノートくらいしかちゃんと拾ってませんが……。一小節目と三小節目の後半はそれぞれ同じ V のコードなので同じトップノートでも構わないんですが、前者が5(F)、後者が2(C)になっています(2が鳴るとこ、めちゃくちゃ好き。「なんか聞こえた!」ってなる)。

 この音が入ってくることで、サビでは裏拍がかなり強調されています。ついでのようにドラムスの話をしておくと、リズムは相も変わらず単調です。金物類はBメロに引き続いて強めのオープンハイハットが右側裏拍で鳴っていて、左側では表拍でキックに金物成分を付与するためのそれが鳴っています。二番サビになると左側でライドシンバルが暴れはじめます(意識して聴かないと気付かないくらいの違いですけど)。ラスサビでは左側のライドシンバルもかなり騒がしくなっているので、一番サビとラスサビを聴き分けてみると分かりやすいかもしれません(一番サビでも一応鳴ってはいます)。

 

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 ベースについて、最後の IV(『きれいごとを』の後)にシンセが1→7の下降をしてから7→5の上昇をするのと同じタイミングで、ベースもルート音の4(D#)からオクターブ上の4(D#)へ上昇しています。ここはボーカルがロングトーンで真っ直ぐ、コードが変わらないためパッドも単調になっているという部分なので、この二つが一緒に上昇することで若干浮かび上がった感じがしますね。また、丸っこいシンセがスライドで落ちてくるのと一緒にベースも元の4(D#)まで戻ってくるので、IVm の浮遊感が強くなりすぎずほどよいところに留まっていて良い感じ。

 IVm のところでピアノが構成音を高音域で鳴らしているのもまた良いですよね。ありきたりといえばありきたりなんですけど、サビの間、そこへ差し掛かるまでは高域のピアノが出てこないので最後に少し鳴らすだけでなんだか煌びやかな印象が残りますし、ここがノンダイアトニックコードであることも相まって、複雑なフレーズを弾いているというわけでもないのに不思議と印象的です(しかもトップノーツはちゃんとスケール上の音、特に最後のものは主音になっているのでとても落ち着く)。

 

 

〇間奏2:全8小節

・進行

| D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - |

| D#M7(9) - A# - | F7 - Gm7 - | D#M7(9) - A# - | F7 - A# - |

・進行(degree)

| IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - |

| IVM7(9) - I - | V7 - VIm7 - | IVM7(9) - I - | V7 - I - |

 基本的にBメロと同じ進行です。最後はCメロへのつなぎということで一旦 I に終止しています。

 

・メロディ(ピアノ)

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 サビの最後、高音域で IVm の構成音を鳴らしたピアノがそのままボーカル消失後の主役を務めています。ボーカルのときにやっていたコードの切り替わりにある音(トップノート)について「スケール上で何音目か」と「和音上で何音目か」をみてやると、

F(5,9)→A#(1,1)→C(2,5)→A#(1,3)→F(5,9)→A#(1,1)→C(2,5)→D(3,5)→

F(5,9)→A#(1,1)→C(2,5)→A#(1,3)→F(5,9)→A#(1,1)→D#(4,7)→A#(1,1)

となります。

 IV における9の音からフレーズが始まり、鋭く突き刺さるような透明感が気持ちいいリフです。(*,1)、(*,3)、(*,5) も比較的バランスよく配置されていて、何かに偏っているという感じはしません。それに全体として主音である1(A#)が軸にされていて、このことも「偏っている感のなさ」に寄与している感じです(サビのボーカルが主音終わりなので、その残響を受け継いでいる感じがして非常に良い)。だからこそ最初に最高音で鳴らされる F(5,9) の透明感が全体的にかなり目立っていますね。

 それと、やっぱり気になるのは全体で二回だけ鳴らされている D#(4,7) です(四小節目と八小節目)。めちゃくちゃ良くないですか、この音? これがあるおかげで響きが随分と豊かになっているような感じ。(4,7) は超絶扱いにくい(使いどころを見誤ってはいけない)という印象があり、しかしここではその強すぎる傾性をとても効果的に使っているという気がします(四小節目と八小節目だけは軸が1からずれている)(「豊かな響き」の正体は多分この強烈な不安定さ)。

 

 

・その他

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 シンセです。最後のほうは露骨ですが、実は間奏に入った瞬間からずっと鳴っていて、間奏2において「5の壁」を作っているのはこの音です。

 

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 エレキギター。五小節目から右側に入ってきて、1と2を往復しつつ、時々フレーズを奏でることでCメロへの助走に一役買っています。最後、八小節目に1(A#)→5(F)→5+(F)という動きがあり、これはピアノ伴奏と同じようなそれですが、ピアノリフの4(D#)→3(D)→2(C)という下降に逆行して上昇しています。ここがめちゃくちゃに良い!!! このときに鳴っている5+(F)の音が本当に好きです(是非とも実際に聴いて、こいつの良さを確かめてみてほしい)。 

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〇Cメロ:全8小節

・進行

| D#M7 --- | D#mM7 --- | Dm7 - F#dim - | Gm -- G ---- |

| Cm7 –Dm7 --- D#M7(9) | --- C7/E --- Fsus4 | -- F - -- D# D(b9) | - D -- N.C. --- |

・進行

| IVM7 --- | IVmM7 --- | IIIm7 - #Vdim - | VIm -- VI ---- |

| IIm7 – IIIm7 --- IVM7(9) | --- II7/#IV --- Vsus4 | -- V - -- IV III(b9) | - III -- N.C. --- |

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 4536と2345が基になっています。すぐに分かることですが、ノンダイアトニックコードがめちゃくちゃに多い! IVmM7、#Vdim、VI、II7/#IV、III(b9)、III と六種類も出てきます(#Vdim と III は機能的には似ているものの、ここでは明確に違う使われ方をしている)(ここの #Vdim は #Vdim7 のほうが適切かも? ということに上の図を作っているときにようやく気がつきました)。しかも #Vdim 以外はここでしか出てきません。『パレイド / 夏川椎菜』はこのCメロにこそあらゆる要素が集約されているなと個人的には思うわけですけれど、その理由の一つが「ここでノンダイアトニックが大量に使われている」ことです。構造が異なるとか何だとか以前の話として、ここだけ他のパートとは全く別の次元にいるみたいな感覚です。

※追記(20200621):「ノンダイアトニックとは何ぞや」ということについて少し触れておくと、とりあえず『普通じゃない』和音だと考えてくれればよいです。こいつを鳴らすことで『普通じゃない』ことによる様々な効果(疾走感、焦燥感、陰鬱感、浮遊感etc...)が得られます(得られる効果は使う和音と文脈に強く依存します)。このCメロではその『普通じゃない』が多く使われているということですね。

 まず前半、IVM7 – IVmM7 – IIIm7 – #Vdim – VIm – VI は、実はここまでに一度『Yes! Party Time!! / - 』という曲を引き合いに出して触れていたのですが、4536の派生形です。#Vdim は VIm へのパッシング、VIm から VI への動きは一時的な浮遊感の演出としてよく用いられます。

 後半 IIm – IIIm7 – IVM7(9) – II7/#IV – Vsus4 – V は2345の上昇形にパッシングとして II7/#IV を挟んだ形で、これ自体は頻出のパターンです。前半の終わりが VI というコードでしたが、それは後半の頭にある IIm7 のセカンダリドミナントになっていて(VI に 7th が乗っていないので厳密には異なるかも)、これによってノンダイアトニックコードを打ち鳴らした後も強烈な引力で次のパートへ進行することになります(強進行)。そこから上昇形で駆けあがっていくわけですが、ここで意識しておいてほしいのが「IVM7(9)」と「食い気味のリズム」の二つです。これについては後述しますが、とりあえず頭の片隅に置いておいてください。

 最後は Vsus4 – V という終止の流れから、しかし I へは向かわず、IV を経由してノンダイアトニックの III に落ちます。ここの歌詞、『パレイドは つづいてく』と曲名を回収している重要なパートだったりするんですが、コード進行の視点から捉えてみれば IV – III(b9) – III という決して終止はしない形、しかもノンダイアトニックであるところの III(b9) は不協和、続く III は VIm へ向かって進みたがるという傾向にあり、ここではそれらを途中で投げ捨ててしまうことで「まだまだ続いていきそうな感じ」を音楽的にも演出しているというわけです。これがめちゃくちゃに良い!!! 本当に良い!!!!! マジで!!!!!!!! この記事では折に触れて歌詞と楽曲との共鳴について語っていますが、中でも僕はここが一番好きです。

 一応 III7(b9) について触れておくと、III7 は IIIm7 の構成音であるところの5の音を半音上げた #5を構成音に持つ和音で、3からみた第9番音とは#4のことなので、したがってb9と表される音は4そのものです。なので III(b9) は結局3,#5,7,2,4を構成音に持つ和音のことになります。これはルートの3を消してやると構成音が#5,7,2,4、つまり #Vdim7 になるので III(b9) もかなりディミニッシュコードとしての側面が強いです。今回は7が欠けているものの、それでも3と4の衝突があるので不協和な感じは否めません。最後、メロディは多少解決するもののコードは解決せず、そんなCメロの後には「まだまだ続いていきそうな感じ」がやはり残ります。

 

 

・メロディ(ボーカル)

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 ボーカルのメロディラインです。語りたいことは山ほどあるわけですが、まずはいつものあれをやってみましょう。すると、

D(3,7)→D(3,7)→C(2,7)→C(2,5)→D#(4,6)→D(3,5)→

たえさがし めりーごーらんど ないふりをするほうが えにすすでいけのか

D(3,9)→C(2,7)→F(5,9)→C(2,1)→D(3,6)→C(2,5)→A#(1,5)→D#(4,b9)→D(3,1)

『ふつあいことをつて ぱれい つづいてく』

となります。これだけでもこのCメロがいかに異色の存在かということが一目でわかると思いますけれど、とりあえず順を追って見ていきましょう。

 まず D(3,7)→D(3,7)→C(2,7)、フレーズ頭から暴れまくっていますね。これらはそれぞれ IVM7、IVmM7、IIIm7 の7音目ですが、そもそも (*,7) は濁りを生みやすい音ですが、それを三つも並べ、このことは後述すると思いますが、さらにこれらの音はすべて同小節内で連続するように用いられています。(3,*) の高音は情感に訴えかける性質が極めて強いという話をサビのところで、(2,*) は傾性がそこそこ強いので早く次の場所へ行きたくなるという話をAメロのところでそれぞれしましたが、ここではその両方を同時にやっているというわけです(しかも連打で)。サビで爆発していた感情に再び火を点けようとしている感じですね、それも特大の。この火種がめちゃくちゃ良い伏線になってるんですよ、実は。

※追記(20200621):二回目、「IVmM7 上における3の連打は、構成音のb6と減五度になっているので傾性がより強まっている?」という指摘があり、完全に納得したのでここに追記しておきます(いわゆるトライトーン。昔は『悪魔の音程』なんて呼び方もされていたとかいなかったとかという強烈な不協和音)。

 C(2,7)→C(2,5) と続いた後、VIm7 上の第6音D#(4,6) が鳴らされます(『前に進んでいけのかな』)。SoundQuest の言葉では『m6シェル』ですね。(4,*) の音はそもそも傾性が非常に強いので何をせずとも3へ行きたくなるわけですが(上のメロディラインも実際そうなっている)、今回は下の和音が VIm7 で構成音に3(D)の音を含んでいるので、ここで3(D)と4(D#)とが互いに衝突し、結果、D#(4,6) の傾性は最早強いなんていう次元ではなくなっています。

 これも後述するかと思いますが、ちょうどこの D#(4,6) が鳴るタイミングでドラムスがクラッシュシンバルを鳴らし、そうしてここから先は『食い気味の上昇形』で駆けあがっていくという展開がなされていきます。つまり、初めの (*,7) 連打によって押し溜めた莫大なエネルギーをこの D#(4,6) で一気に起爆させ、その勢いのまま一気にクライマックスまで上りつめていく、という構図なわけです。めちゃくちゃ良い!!!!! D#(4,6) に続くのは D(3,5) です(『前に進んでいけるのか』)。(3,*) の情感と (*,5) の力強さが若干のロングトーンによって強調されていて、ここもとても良いですね。歌詞だと『前に進んでいけるのかな』と唄っていて、これまではずっと否定的な言葉ばかり吐いていた一人称が、ようやく少しだけ前向きな台詞を零すという場面です(『見ないふりをする方が』という前置きがついているので、100%前向きというわけでもない)。

 後半、D(3,9)→C(2,7)→F(5,9)→C(2,1)→D(3,6)→C(2,5)→D#(4,1)→D(3,1)。それぞれ順に『不釣合いをつて パレイ』の『』、『』、『』、『』、『レイ』、『』です。

 まずは D(3,9)、これは IIm7 の第9音として鳴っています。3(D)の音自体はCメロの頭から鳴らされていますが、ここでの3(D)は6(G)からの跳躍に (3,*) と (*,9) の性質による相乗効果も加えて、かなり突き刺さるような響きになっていますね。この時点で相当に良い

続く C(2,7) は IIIm7 の第7音です。これは『不釣り合い』の『』にあたりますが、短くスパッと切ってしまっているのがとても良いですね。こうすることで (2,*) の傾性による浮遊感と (*,7) の絶妙な切なさがかなり効果的に演出されているという気がします(ここを伸ばして歌うと本当にダサい)。

 次の F(5,9) は IVM7(9) の第9音です。この部分について話すためにこの記事を書いていたと言っても全く以て過言ではないんですが、この曲におけるボーカルの最高音はここです! これまでに「ボーカルは他の楽器隊が作っている5(F)の壁を越えられない」という話をくどくどとしてきましたけれど、このCメロではボーカルのメロディラインがついに5(F)へ触れるのです(しかも、ボーカルが5(F)を唄うのはここだけ)。ここがめちゃくちゃ良い!!!! 本当にこの話をするそれだけのために、この一行へ至るまでの一万七千字余りを書きました。今すぐに確かめてください、この””良さ””を。

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 そういうわけで、ここの5(F)は曲全体を俯瞰したときにとても重要な音になっているわけですが、この音を印象強い音たらしめている要因は他にもいくつか考えられます。まず1→2→5(A#→C→F)という跳躍によって辿りつく音であること。加えてスケール上の第5音なので力強く響くこと(跳躍とロングトーンによってそれが補強されている)(5への跳躍が良いという話はAメロのところでした)。IVM7(9) の第9音でもあること(避けようのない透明感がある)(夏川椎菜さんの裏声っぽい歌い方が、この透明感を補強しているような気もしている)。そして何より、これまでずっと5(F)の音が強調され続けていたこと。そんな諸々の上に「たった一度の最高音」という属性が加わって、一度しか鳴らないにも関わらず、この一曲を通して強く印象に残る音の一つになっているというわけです。良すぎませんか?

 次の C(2,1) は II7/#IV の第1音です。こちらは二つ前の C(2,7)(『不釣り合い言葉』)と違って引き延ばすように歌われていますね。今回は (*,1) の形なので伸ばしても濁りませんし、その後は1(A#)へ降りるのでこうすると2(C)の傾性を上手く利用できるという感じでしょうか。

 次の D(3,6) は Vsus4 の第6音です。V の上の第6音はだいたい第5音、つまり2へ着地するという印象を僕は勝手に持っていますが、今回は予想通りの動きをしてくれていますね。同時にスケールの第3音でもあるので、ここの『レイ』は若干の熱を帯びて聴こえます(もちろん、歌い方の問題もある)。

 次の C(2,5) は V の第5音です。Bメロ終わりの C(2,5) と同様に、こちらもかなり力強い響きで耳まで届くと思います。軽めのロングトーン(四分音符)で歌って、その後に『つづいてく』の『』が2(C)、『』が1(A#)でそれぞれ入り、2の傾性を若干伸ばした後に解決しています。ほんの一瞬ですが。

 最後の A#(1,5)→D#(4,b9)→D(3,1) (『つづいてく』)はそれぞれ IVの第5音、IV、III の第1音です。ここの1(A#)で直前に置かれていた2(C)の傾性が一瞬解決します。が、それも束の間、直後には完全四度上の4(D#)へ跳躍します。A#(1,5) は IV の第5音かつ主音なのでかなり真っ直ぐな力強さがあり、その勢いで D#(4,9#)まで跳躍しているという感じですね。跳躍先の4(D#)は傾性がかなり強く、これが進行のところで話していた「まだまだ続いていきそうな感じ」に繋がっていきます。また、この D#(4,b9) は III(b9) の第b9音です。このときベースはもう思いっきり3(D)の音を鳴らしているので、D#(4,b9) の気持ちとしては早く半音下へ行ってしまいたいという感じですね(和音がそもそも不協和なので、これもまた傾性が強いなんてレベルではない)。そして最後は傾性に従って半音下の D(3,1) へ着地。この D(3,1) が (*,1) になっているのも、かなりポイント高めだと個人的には思います。ストレートさというのであれば (*,1) が最もそれを的確に表現できるという認識を個人的には持っているので、インパクトに満ち満ちているこのCメロを締めくくる最後の一音としては、(*,1) の強さが適っているのかなという感じです。また最後にはベース、エレキギター、ピアノ、ボーカルの四者が揃いも揃って3(D)の音を一斉に鳴らすので、そのシンプルさと、また最後の解決しきらない感じも含めて「まだまだ続くんだ」って感じがして良いですよね。

 

 コードが切り替わるところにいる音の話ばかりしていましたが、メロディライン全体についても触れておきます。

 Aメロの四分音符と八分音符の繰り返し、Bメロの八分音符を用いた順次進行、サビの八分音符を用いた同音連打と順次進行、と来てCメロでは十六分音符が(ボーカルのメロディラインでは)初めて登場します。こうしてみるとそれぞれのパートの役割がはっきりと見えてきて、作曲が上手すぎではという気持ちにもなります。

 サビでも散々にやっていた IVM7(9) 上第7音の連打ですが、ここではそれをさらに上書きしていってる感じですね。あちらは八分音符で、今度は十六分音符が混じっているので。しかも二小節連続でそれをやった上で、次は傾性の強い2(C#)を連打します。その諸々を四小節目の D#(4,6)(『前に進んでいけのかな』)で爆発させるというのは先述の通りですね。

 ほとんどすべてを上のほうで語ってしまったので、これ以上語れることも然程残されていないわけですけれど、一つだけ触れておきたいのは、このCメロはとても劇的に聴こえるにも関わらず、その実たったの六音(G,A#,C,D,D#,F)しか使われていない、ということです。これはAメロで使われている音階数と同じで、Bメロとサビではもっと広い音域が使われていました。そのわずかな音数でもこれほどに景色が広がって聴こえるのは、たとえばノンダイアトニックコードの活躍だったり、どの和音にどの音をどうやって置くかの選択だったり、最高音5(F)の遅すぎる登場だったり、もちろん他にも色々とありますが(これは後述する)、これまでの展開において避けられ続けていた諸々が一斉に解放されるからなんじゃないかと思います。なので、このCメロこそが『パレイド / 夏川椎菜』という楽曲における盛大な「伏線回収」になっているのだと、個人的にはそう考えるわけです。歌詞でもCメロで『不釣り合いな言葉をつれて パレイドは つづいてく』と曲名を回収していますし。こういった共鳴があると本当に楽しい気持ちになります。

 

 

・その他

 先に言っておくと、このCメロ、実はこれまでのパートには必ず存在していた「5(F)の壁」が存在しません。これが上で触れていた「Cメロが特異である理由」の一つです。これまで無意識に刷り込まれていた5(F)の音がCメロでは完全に消えて、その上でボーカルのメロディが初めて5(F)へ触れるのです。これ、めちゃくちゃ良くないですか??? 音楽という一つの枠組みをすっかり飛び越えて、ある種の物語としてこの曲は作られているような気がし、そういったことも含めて自分はこの曲がとてもお気に入りです。

 

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 ピアノ。Cメロは全体的にインストゥルメントが薄くて、これの他にはパッド、ギター、ベース、ハモリくらいしか入っていません(聞きとれていないだけかもしれない)。八分音符で刻むことによって全体に疾走感が出ています(間奏とサビのピアノも恐らく八分刻み)。

 四小節目でボーカルと同じフレーズを(多分)なぞって、以降は食い気味のリズムに沿うように左右で二音ずつ鳴らされています。八小節目、これもちゃんと聞きとれているのか怪しいのでアレですが、ピアノは左手で III の構成音のうち7(A)と3(D)を鳴らしていて、右手では4(D#)→3(D)+#5(F#)のムーブをしているような気がします(多分)。右手側は音域がボーカルに近いので、4(D#)と衝突する 3(D)は一旦避けるということですね。

 

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 パッド、ギター、ベース。パッドは相変わらずトップノートくらいしか合わせていません。八小節目、ボーカルが『つづいてく』の4→3→3を唄うタイミングで、中域で鳴っているギターは4→3→3の動きを、低域で鳴っているベースは3→3→3の動きをそれぞれしています。ルートがぶれると元も子もないのでベースは3(D)に固定、一方ギター(あるいはピアノの右手側)はボーカルのメロディラインに沿うように4(D#)から下降、という具合。

 ドラムスについて触れておくと、一小節目から三小節目にかけて、メロディ(ボーカル)のところでは「エネルギーを溜める」みたいに話していたパートでは、これまで通りに単調なリズムを刻んでいます。四小節目、起爆剤であるところの D#(4,6) が鳴るタイミングでクラッシュシンバル、そしてタム回しが入り、以降は八分音符一個分だけ前に出るという、これまでには一度も出てこなかった形のリズムに変わります。これもまた「Cメロが特異である理由」の一つです。キメのリズムのところ、キックと一緒に鳴らされているロータム(フロアタム?)の丸い低音が心地良いです。Cメロにおける陰のキーパーソンは間違いなくこのリズム隊。

 

 

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〇最後に

 ここまででもう21,000字を越えています。恐ろしい。あまりに長すぎだろうが。

 自分の場合、『パレイド / 夏川椎菜』を初めて聴いた瞬間からこのCメロのことがめちゃくちゃ好きになっていて、自分の周りにもそういった知り合いは数名いたような気がするんですが、これは一般的にはどうなんでしょう?

 さて、今回「自分はどうしてこの曲を『良い』と感じるのか」を徹底的に突き止めてやりたいというモチベーションがあった、という話を初めにしましたけれど、その目標は現時点では概ね達成できたかな、という感じです。といっても理論のことはまだまだ何も知らないという身なので、見落としている要素がまだまだ多分にあると思われ(たとえばハモリが全く分からない)、もう少し勉強して、そうしたらまたこの曲に戻ってきたいな~、という気持ちです、いまは。

 

 以上です。ここまで読んでくれた人(いるのか?)に向かって今更言うようなことでもないと思いますけれど、『パレイド / 夏川椎菜』を是非とも聴いてください。とても良い曲なので。

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  あるいは購入をしてください。とても良い曲なので。

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20200606

 

 僕の下宿に置かれている寝具は割とふかふかのベッドなんですが、一方で僕は下宿を始めるまでの二十年余りを敷き布団とともに過ごしてきた人種でして、何が言いたいのかといえば、実感に帰ってくるとその敷き布団で就寝ということになるわけです、当然ながら。しかしベッドの沈み込み具合にすっかり慣れてしまった自分の身体は、敷き布団のことを寝床としてはもはや認識してくれないようでして、こんなときに本物の睡魔がやって来てそんな自分ごと眠りの奥底へ突き落してくれたのなら話は早いのですけれど、残念ながら専属で雇っている一級睡魔は世紀の遅刻魔としても広く知られた無能でして、そんないつやって来るのかもわからない奴を布団に包まって(しかも蒸し暑い)ただ茫然と待つというのは、些か時間の無駄すぎやしないかと思い寝床から這い出てきたのがつい数分前です。明日、というか今日ですけれど、にはもう下宿のほうへ戻る予定だったので勉強道具は持ち合わせておらず、暇潰しの道具もなく、というか現状そもそも実家に僕の部屋はない(下宿へ移動するときに自室は物置と化した)のですぐ近くでは普通に両親が眠っており、電気を点けることもままならないという感じでして、じゃあいったい何をするんだよと半ば自棄になりながら word を起動したのも数分前です。こうやって文字を書いているうちに『数分前』が更新されていくのって何だか面白いですよね。這い出てからもう十五分ほど経っていますし、こんな感じで今夜は時間を潰そうと思います、なるべく有意義に。

 

 諸々(某ウイルス)(その余波を受けた院試)があったおかげで(せいで)しばらくは曲が作れなさそうなので、ここらでこれまで(大学進学以降)に作った曲のあれこれについて振り返ってみるのをやりたいなーと思ったり思わなかったりで、まあ、なのでやります、勝手に、一人で。音雲にあがっているものばっかりになりますけれど……。歌モノを作りたいと言いながら大学へやって来たのが数年前、件の歌モノだけでももうかれこれ七曲くらい作ってたんですね、知らないうちに。サークルの人たちはもっと作っていたりするので自分ももっと作りたいんですが……(怠惰)(四回生)(何故?)。

 

 

〇カナタ / Group B

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 懐かしすぎ~~~~~~~~。大学に入ってから初めて作った曲がこれですね。吉田音楽製作所(通称:吉音)というのが僕の所属するサークルの名前ですけれど、当時の吉音では新入生同士で合作し一つの曲を完成させるという結構クレイジーな企画(新歓企画の一環?)が用意されており、そのときにペアを組んだ相手がボカロ使いだったということ、また当時の自分はトランス系の音楽にドハマりしていたということ、それとその段階で編曲に最も通じていたのが自分だったということなどがあり、そうして出来上がったのが『カナタ』です。サビ先行。ちなみに相方は wotto 君。彼の作る曲は超良いです。これは吉音民にしか通じないと思いますが『Battle For You!』、『ナイチンゲールの言う通り』がめちゃ好きです。閑話休題。この曲、以前は吉音のライブに出演するたびに流してましたね。だって爆音で聴きたいじゃん、トランス。そういう地道な布教活動を続けていたところ、この曲を気に入ってくれた吉音民(読み:きちおとたみ。意味:吉田音楽製作所の会員)が若干名おり、結果ベスト盤に収録される運びとなったときは本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『The Endless Love / HSP feat. 初音ミク』です。めちゃくちゃ好きなボカロトランス。

 

 

〇Crosstelia / ITSUHA. + Rakuno.α

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 懐かしすぎ??????? これも一回生のときの曲で、BOFU というオンライン上の音ゲーイベントに吉田音楽製作所(と京大音ゲーサークル京音)から参加するにあたって用意した曲です。Rakuno.αは自分と同じく音ゲー出身の新入生で、これの以前から「合作しようぜ~」みたいなことは話していました。イントロが最初にあり、それを作ったのは自分で、Aメロが相方、続くBメロが自分、一旦落ちるところは相方、そこから上がるところは自分、最後のサビは相方、という風に完全交互のリレー形式で作っていったのですが、そういうアプローチで合作をしたのって後にも先にもこれだけのような気がします。パートごとで制作を分けることはまああるんですが、リレー形式というのがないですね。この曲で一番気に入っているのはAメロ、つまり相方が担当した部分なんですが、めちゃくちゃいいですよね、あの雰囲気。なんか、駆け抜けてる感があって。そんな相方であるところのRakuno.αは最近ドヤバい曲(本人曰くHard Psy) を公開していたので、そのリンクを載せておきます(https://soundcloud.com/rakuno_alpha/industrial-ruins(マジでいいので全人類聴いて)。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『Akasagarbha / wa. vs ETIA.』です。中高のときアホほど聴いていた。

 

 

〇Caerulea / ITSUHA.

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 いや、懐かしすぎ?????? これは一回生のときのNF(大学の学祭)くらいの時期にちょうど誕生日を迎える同回生がおり、「せっかくだしNFライブで祝っちゃわない?」という誰かの発案に乗っかる形で作った曲です。サビ先行。サビのシンセリフは結構お気に入りです。その彼がトランス好きだったということもありジャンルはトランス縛りだったのですが、まさかこの曲が最後に作ったトランス系統曲になろうとは……、という感じですね。サークルを卒業するまでにはあと一曲くらい作りたいな~と思っていたりいなかったりするんですが、さて、実現はするのでしょうか。

 ちなみに、この曲のリファレンスは特になかったと思います。めちゃくちゃハードスケジュールで作っていたので、もう完全に手癖です。

 

 

〇キミとボクと時の箱庭 / SELEN

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 懐かしすぎ~~~~~~~~。この記事に飛んでくるような人、吉音民でも知らないのが大半じゃないですか? これは自分が一回生の三月に作った曲なので、言い換えると一回生のときに作った中では最後にあたる曲であって、かつ自分が初めて一人で完成させた歌モノだったりします。サビ先行です。三月といえば卒業の時期ですけれど、当時サークルにいた大好きな先輩が卒業してしまうということで、なんかできたらいいなと思いながら作った曲でした。といっても着手し始めたのがたしか九月頃で、ああじゃないこうじゃないと言っているうちに三月になり、一曲完成させるのに何か月かけてんだって感じですけれど、それはまあ、この曲が生音を軸に組み上げた初めての楽曲だったということも大いに関係しています。それまではシンセ畑の人間だったので……。

 歌詞も大体そんな感じのことを歌っていますね。曲中の状況的には『出会い』があって、しかも『別れ』も既にあって、一人称は一人だけ取り残されていて、それでも唄う、みたいな感じを想定していた気がします。「降りそそぐ時の中で キミに出会えた そんな奇跡を この時代に遺したくて この詩を唄うんだ」って言ってますし。まあ、この曲の歌詞はほとんどラブレターみたいな感じになっていて超恥ずかしいので、実はどこにも載せてないんですけどね(動画サイトへも上げていない)(恥ずかしいので)。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『変わらないもの / 奥華子』です。言わずと知れた名曲。

 

 

〇ハロー HAPPY バレンタイン!! / ソニオル+一葉

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 懐かしすぎ!? 時系列が前後しますがこれも一回生のときの曲で、作っていたのはちょうど十一月から冬休みにかけてくらいです。当時、別サークルのほうの締め切りも被っていたりして、頭の中が本当に地獄を極めていたのを覚えています(TIPS:作曲と原稿は同時進行できない)。「いまならもっとうまく作れるのに!」と今でこそ思うものの、この曲を作っている当時はめちゃくちゃ楽しかったです。落ち着いたAメロBメロからのサビ爆音暴れ金管と高域ストリングスコンボが自分はマジで好きで、アイマスの全体曲はそういうのが多いんですけど、それがマジで好きで、やっぱ自分が好きな曲は作ってても楽しいんだな~ということを実感した曲でもあります。合作相手のソニオルさんは同サークル一個上の先輩なのですが、この合作に至った経緯というのが実は合宿のノリで行われたあみだくじ大会で、そのときに自分とペアになった先輩に「アイドルソングみたいなの作りません?」と無茶を言ったのが全ての始まりでした。楽しかったので良し!

 ちなみに、この曲のリファレンスは特に多いんですが、とある吉音民に一発で見抜かれたということが以前あったので、わざわざ挙げなくても分かるのかもと思ったり。

 

 

〇終末的存在仮説 / Cloverteller

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 ここから二回生のときに作った曲です。といってもこれは(一回生の)一月から(二回生の)五月にかけて作っていた曲なので、割と中途半端な立ち位置ですけれど。作曲名義が Cloverteller となっていますがこれは言ってしまえばグループ名みたいなもので、合作相手は霧四面体さん、同サークル四つ五つ上の先輩です。先述の『キミとボクと時の箱庭』同様、これも三月ライブで披露する用の卒業ソングとして実は作っていたのですが、自分の制作が間に合わず、結果タイムオーバーということで五月に公開する流れとなりました。編曲はイントロ先行。氏は自分が一方的に憧れていた先輩の一人であり、卒業してしまう前に一緒に何かやりたいと思いつつ、しかし自分なんかにできることが果たしてあるかという謎の卑屈モード(畏怖)から動けずにいたところを、三月というタイムリミットに背中を押される形で僕のほうから声をかけ、そうして生まれたのがこいつです。当時の気持ちとしては『一回生の総決算』というモチベーションで取り組んでいたので、もうやりたいことをやりたいだけやりたいようにやっており(開幕6415)(ピアノ)(ワブルベース)(暴れピコピコ)(不穏な間奏)、そこはストーリーテラーらしく、一曲を通して想像が膨らむ感じの出来になればいいなあという感じでした。いまでは大切な思い出の一つです。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『こすいちのかくすらなきくどっとえぐぜ』です。BLUE REFLECTION というゲームの戦闘BGMでハチャメチャに格好いい。

 

 

〇スカイブルーナイトメア / 一葉 feat. 闇音レンリ

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『終末的存在仮説』から結構な時期があいて、二回生の十一月末に作った曲です。二回生の五月あたりから自分は微妙に精神を病んでいた時期があり(病んではいない)、それが一先ず治まったのが十一月の中頃のことで、その残滓というか、結晶みたいな感じで後に残ったのがこの曲でした。これは歌詞先行で、一人で完成させた歌モノとしては二曲目ですね。割と勢いだけで作ってしまったところがあり、というか勢いだけで作っており、「6415ジャーン! ギターバーン! ドラムドーン! 落ちサビからの転調!!! 最強!!!」みたいな。そのせいで特にドラムはところどころ人外的な動きをするのですが、この曲を実際に演奏することになった際、ドラム担当の人が人外的な亜光速の動きをしていて開いた口が塞がらないのイメージ図になってしまったことがあります。

 この曲の一人称も、というか僕の曲は多分どれもそうなんですが『出会い』と『別れ』がテーマ(これはもう逃れられない。書くと絶対にそうなる)になっていて、この曲の一人称は不意に訪れた『別れ』が認められなくて、それでも一方的にやってくる青空を呪いながら(だからといって何ができるわけでもなく)ただ一人でそこにいるという感じです。「あの日の僕らが描いた青空の夢に いつまでも溺れていたかった」って言ってますし。もう一年半も前の自分が書いた歌詞なので、そうなるといっそ他人事のように思えたりもするのですけれど、やっぱり手放せないというか、いまでも変わらず大切なままだったりもします。

 ちなみに、この曲のリファレンスはありません。勢いだけで作ったので。

 

 

〇「じゃあね、また明日」 / 一葉 feat. 闇音レンリ

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 二回生の一月に作った曲です。吉音的には先述の『スカイブルーナイトメア』と同タイミングで提出する予定の曲だったので、「バキバキのバンドサウンドと一緒に落ち着いた曲調のを出したら意外性狙えるかも?」という気持ちが半分、あとは「コード進行の凝った曲を一度作ってみたい!」という気持ちが半分というところで出てきた曲です。サビ先行。よもや4536(王道進行)に手を出す日が来ようとはと思いつつ、「まあ、いいメロディ書けたしいいや~」と開き直りながら作っていたのを覚えています。この曲もベスト盤的なそれに入れてもらっているのですが、そのとき同サークル幾つか上の先輩にこの曲を好きだと言ってもらえたのがとても嬉しくて、いまでも覚えています(その人は若干クラブミュージック寄りだと認識していたので、意外だった)。この曲にまつわる記憶は他にも様々あり、制作当時は想像もしていなかったくらいに多くのものを僕の手元へ残してくれました。

 この曲の一人称もやはり『別れ』について歌っていて、しかしこれまでの二つに比べれば随分と正面から向き合えているような気がします。「言葉なら何千何万と憶えたのに」というのは当時の自分が持っていた率直な気持ちで、最後の最後になると言葉とか何だとかそういうのって何の役にも立たないんだなという戒めでもあります。言葉で全部が伝わるんなら手紙でも書けばいいし、でもそうじゃないからわざわざ音楽という形をとって、歌詞という限られた枠の中に落とし込んで、そしてその向こう側に何かを見つけようとするのかなあという気持ちでした、当時。引き留めるための言葉って、ないよなあ。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『プラネタリウム / BUMP OF CHICKEN』です。良い曲です。

 

 

〇想造世界のプレリュード / Cloverteller

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 ここから三回生、これは五月頃に作った曲です。『終末的存在仮説』に続いて Cloverteller の二曲目。サビ先行。前回が割とシンセバキバキソングだったので、今度は逆に普通のロックっぽいのをやってみないかという話になり、それで生まれたのがこの曲です。ドラムの打ち込みやバッキングギターの調整なんかを当時めちゃくちゃに頑張っていたような記憶があります。Aメロでノンダイアトニックを使いまくってどこへ行きたいのかよく分かんない感じにするのとか、最後のサビ前にAメロへ戻ってくるのとか(これについてはサークルの後輩が完全一致解釈をしてくれていて、本当に肯きが止まらなかった)、曲がりなりにもストーリーテラーを名乗っている手前、曲に物語性を持たせるということはかなり意識していたような気がします。この曲のイラストは相方の協力も得つつ自分が描いたんですが、少女と女性、夕方と夜の構図ですね。ジャケも自前で用意できるとこういった符号をイメージ通りにできるのでとてもよいということをこのとき学び、以降、絵も自分で描こうという風に意識が傾いていったという裏話があります。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『有頂天ドリーマーズ / 森羅万象』です。曲はめちゃくちゃにカッコいい東方アレンジなんですが、それはさておき歌詞が良いです。

 

 

〇ここにいるよ。 / 一葉 feat. 初音ミク

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 三回生の九月に作った曲です。マジで作り直したい!!!!!!! 念願の初音ミクを導入して最初に作った曲がこれですが、いまなら間違いなくもっと上手くできるはずなので本当に作り直したいです。いや、それを言えば全曲作り直したいんですが……、それはさておき。この曲はサビ先行で、前回の『「じゃあね、また明日」』で懲りずにまたも安易に4536へと手を伸ばし、「まあ、いいメロディ書けたしいいや~」とこれもまた同様に開き直った末に生まれた曲です。誰か俺を殴ってくれ。同サークルの某クラブミュージック勢がこの曲を好きだと言ってくれたのが嬉しくて、まあ当然のように覚えてるんですが、あれですね。全然関係なさそうな層からリアクションを貰えるとギャップでめちゃくちゃ嬉しいってだけですね、これ、単純に(そうでない人からの反応も勿論嬉しい)(そうでない人って何?)。

 この曲の一人称は『別れ』が過ぎて随分と時間が経ってからのことを歌っています、多分。こう、一度遠く離れてしまうと簡単には会えなくなったりして。いや、会おうと思えば簡単にとは言わずとも然程の困難もなく叶うと思うんですが、だけどなんだか口実が要るような気がして、そうこうしているうちにその誰かの声や仕草なんかを忘れていって。でもまあ「何もかも やっと大人になって 君がみえなくなっても」と言っているように、この曲の一人称はその事実を悲観的に捉えているというわけではなくて、たとえ忘れたって唄うし、それに本当はいつだって続きに出会える、みたいな感じの前向きな気持ちで『別れ』に向き合っているというアレです。どういった心境の変化が?

 ちなみに、この曲のリファレンスは『エンジェルドリーム』です。太鼓の達人の曲ですね。中学のとき狂ったようにやってました。

 

 

〇未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク

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 三回生の十一月に作った曲です。先述の『ここにいるよ。』は吉音恒例の夏合宿中に提出した曲だったのですが、その合宿時にコピーバンド企画があり、そのステージそのものは勿論のこと、それに向けての練習なんかもその全部が自分にとってはとても新鮮で、この気持ちを忘れたくないというあたりから生まれた曲です。Aメロ先行。『未完成の春』という曲名は同バンド企画に参加していたメンバーたちが(半ば冗談で)合言葉みたいに話していた「失った青春(架空)を取り戻せ」というところから来ています。曲のほとんどがボーカルとアコースティックギターの伴奏だけから成っているのは、件のバンド企画において自分の担当がボーカルだったので、その立場から曲を作るというなら他の楽器(ドラム、ベース、リードギター、キーボード)は入れないほうがいいという理由からです。いつかこの曲を弾き語れるようになるのが目標だったりするんですが、アホな転調とアホなコードをアホみたいに入れてしまったせいで弾けません、助けて。

 この曲の一人称はいつかやって来る『別れ』とその先のことについて歌っています、恐らく。その企画自体は本当に楽しかったんですが、全部終わって家に帰ってさあもうすぐ大学が始まるぞというときになって、でもあの七人で組むことはもう二度と無いんだろうなという予感がして、といってもそのことがどうこうというわけでは決してなく、そうではなくて、だからこそむしろ『別れ』が来たって「迷わなくていい」のかも、という気持ちになり、その辺りから書き始めました。歌い出しに「十月の教室の隅っこで」とありますけれど、あれは理学部六号館のとある一室のことです。

 ちなみに、この曲のリファレンスは特にありません。

 

 

〇アイ / 一葉 feat. 初音ミク

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 ここから四回生、つい一か月前、五月の曲です。時系列が前後しますけれど、この曲は後述の『startrail』の裏にあたるそれといいますか、なんだろう、いや内容も何もかもありとあらゆるすべてが一切合切無関係ないんですが、でも自分の中での『アイ』は『startrail』のカップリングとしてあるという気が薄らとします。根っこの辺りで繋がってるっていうか……自分でもよく分かりませんけど。この曲はギターリフ先行で、これを何とかうまく使いたいという気持ちがあったものの、メロディアスな感じよりもループさせて使うのが似合うリフだと自分は思ったので、手元で何度もループさせながら鼻唄をあてて作ったという曲です。リフの響きからなんだが冬っぽい印象を受けたので、編曲に使う音も寒々しい感じのそれに寄っていきました(ちなみにキーを一つ下げたら夕暮れっぽい印象になった。同じリフなのに)。

 この曲の一人称は『別れ』からしばらく経った頃、何一つだって忘れられない、地獄みたいに長い夜をようやく明けるところまで歩いてきた、そのあたりの時期のことを歌っています、きっと。何が悲しかったのかとか、何が苦しかったのかとか、ある程度の時間が経てばそういった痛みを少しずつ客観視できるようになってきて、それでもふとした隙に探してしまうこともあって、その全部が当たり前だって気づいて、だから「魔法のない世界の空の色も 私はきっと愛せるよ」と彼女は言っているのではないでしょうか、知りませんけど。それとこれは完全に蛇足ですが『アイ』の歌詞には原型があって、ブログ内検索で「確一」と入れると読むことができます。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『aurora arc / BUMP OF CHICKEN』です。記念撮影ではなかった。

 

 

〇startrail / 一葉 feat. 初音ミク

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 時系列が前後しますが、実は三回生に作った曲の中で最後のものです。なので先述の『アイ』のほうが最近の曲です。とはいえ公開はつい昨日のことなので、「昨日のことのよう」ではなく現に昨日のことなので、昨日の今日で話せることなんて何もないんですよね、これが。これまでのは「まあもう何年か前のことだし、そろそろ自分で話しても時効っしょ」という気持ちで書いていたのですが、翻って『startrail』について話せることは何もないということになります。おしまい。

 この一人称もまた『別れ』をやっと乗り越えるというくらいの場所にいる気がします。『アイ』のカップリングとしてあるという自分の認識は、その辺りの類似性に由来しているのかもしれません。異なる二つの曲で『別れ』に対するアプローチが一致するということは、いままでにはなかったので。まあ、しれませんという言葉で曖昧に濁したものの、しかしながらこの二曲はやっぱりどこかで繋がっていて、たとえばどちらも「声」を聞いていたりいなかったり、「雨」について触れていたり、そして最後に迎えるのは「夜明け」だったり、とか。だからといって両A面というわけでもなくあくまでカップリングであるという認識は、結局、フィクションとノンフィクションの違い程度のものなのかなという気がします。

 ちなみに、この曲のリファレンスは『友達の唄 / BUMP OF CHICKEN』です。リルルの曲ですね。

 

 

 以上! 眠くなるまでの暇潰しで書き始めたのに、いつの間にか太陽が顔を覗かせるどころが天高くに打ちあがっていて大層ウケますね。五時間? もしかしてこれが相対性理論ってやつですか? 自分の曲、無限に話せてしまってよくないな~という気持ちです(無限に話せるのは当たり前)。「自分の歌詞はよく『別れ』をテーマにしてるけど、それに対する向き合い方は毎回違うよなあ」ということを一ヶ月ほど前にふと思い、どこかのタイミングでブログにでも書こうと思っていたのをやりたかっただけだったのですが……。普段こういう話を誰ともしないのでたまには許してくれということで、以上の文章をブログに丸投げして自分は床に就こうかと思います。おやすみなさい。今日は九時起きです。

 

 

 

startrail

 

 楽曲『startrail』を投稿しました。

 

youtu.be

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【歌詞】

寂れた言葉を抱えている 君の見ていた空が知りたくて

微笑む雨 手放せないまま ひとりきり 夜を歩く

 

どうして何も言えないんだろう どうして何も言えなかったんだろう

いつかの今日なんて 全部 解っていたのに

 

さよならを繰り返す 何度だって繰り返す

遠く響く声に気づくたびに この痛みの意味を知るんだ

一人だって続いていく 夜明けの空 きっと笑うから

なくせないものをなくさないように 自分だけのための唄 口ずさむ

 

君の笑顔を空に翳す 焼き付く青は透明なまま

それだけ でも なぜか嬉しくて まだ続けられる気がしたよ

 

もう一度なんてどこにもないのに 叶うはずのない明日に焦がれるんだ

心の奥で あの日言えなかった さよならが

 

怖くたって続きを選ぶのは 遠くにまだ君の声が聞こえるから

お互い解っている きっと 『忘れたって消えない』から

 

さよならを繰り返す 何度だって繰り返す

遠く響く声に気づくたびに この痛みの意味を知る

 

さよならの意味なんて 繰り返しの意味なんて

どうだっていいんだ たとえ届かなくたって 何度でも叫び唄うよ

いまも少し怖いけど 夜明けの向こう 君が笑うのなら

なくせない涙は灯りになる 自分だけのための唄 手放さない

だからもう 大丈夫だよ

 

 

【コード】

BPM=95

Key: F# major

・intro

|| F# - B - | C# - F# - | D#m - B - | C# -- F# -- C# - |

|| F# - B - | C# - F# - | D#m --- B -- C# | ---- | N.C. |

|| F# - F#sus4 - | F# - F#sus2 - | F# - F#sus4 - | F# - F#sus2 - |

・1A

|| F# - C# - | B - D#m - | Badd9 - F#/A# - | G#m7 - C# - |

|| B - C# - | A#7 - D#m - | G#m9 - C#7 - | F# --- |

・1B

|| G#m9 --- | C#7 --- | A#7 --- | D#m7 --- |

|| G#m7 - F#add9 - | B - EM7 - | C#sus4 --- | C# --- |

・1S

|| F# --- | B --- | C#7 - Bm7/D - | D#m7 - C#m7 - |

|| BM7 - C#7 - | A#m9/F# -- D#m7 ---- | G#m7 - G#7/C - | C#sus4 --- C# - A#/D - |

|| D#m7 --- | Daug --- | F#/C# --- --- G#7/C | ---- |

|| BM7 - C#7 - | A#m7 -- D#7 ---- | G#m7 --- | G#m(#11)/C# --- |

|| N.C. | ---- |

・2A

|| F# - B - | C# - F# - | D#m - B - | C# -- F# -- C# - |

|| F# - B - | C# - F# - | D#m - B - | C# -- F# ---- |

 

|| F# - C# - | B - D#m - | Badd9 - F# - | G#m7 - C# - |

|| G#7/C - C# - | A#7/D - D#m - | G#m7 - C# - | F# --- |

・2B

|| G#m7 --- | C# --- | A#m7 --- | D#m --- |

|| G#m7 - F#/A# - | B - Eadd9 - | C#sus4 --- | C# --- |

・2C

|| D#m --- | Badd9 --- | C#sus4 --- | F# --- |

|| D#m --- | Badd9 --- | C#sus4 --- | F# --- |

|| D#m --- | Badd9 --- | C#sus4 --- | F# --- |

|| D#m --- | Badd9 --- | C#sus4 --- | C# --- |

・3B

|| G#m7 --- | C# --- | A#m7 --- | D#m --- |

|| G#m7 - F#/A# - | B - Eadd9 - | C#sus4 --- C# -- A#7(#9) | ---- |

・3S

|| N.C. | ---- | ---- | ---- |

|| N.C. | ---- | ---- | ---- |

|| ---- | ---- |

・LS

|| F# --- | B --- | C# --- | D#m - C#m7 - |

|| B - C# - | A#m7 -- D#m ---- | G#m7 - G#7/C - | C# - A#7/D - |

|| D#m7 --- | A#7/D --- | C# --- --- G#7/C | ---- |

|| B - C#/B - | A#m7 -- D7 ---- | G#m7 --- | A#m7 -- D#m ---- |

|| G#m7 --- --- C# | ---- | F# --- | F# -- Eadd9 |

・outro

|| F# - B - | C# - F# - | D#m - B - | C# -- F# -- C# - |

|| F# - B - | C# - F# - | D#m - B - | C# -- F# -- C# - |

|| F# --- | F# --- | F# --- | F# -- Badd9 ---- |

 

  

【コード(degree)】

BPM=95

Key: F# major

・intro

|| I - IV - | V - I - | VIm - IV - | V -- I -- V - |

|| I - IV - | V - I - | VIm --- IV -- V | ---- | N.C. |

|| I - Isus4 - | I - Isus2 - | I - Isus4 - | I - Isus2 - |

・1A

|| I - V - | IV - VIm - | IVadd9 - I/III - | IIm7 - V - |

|| IV - V - | III7 - VIm - | IIm9 - V7 - | I --- |

・1B

|| IIm9 --- | V7 --- | III7 --- | VIm7 --- |

|| IIm7 - Iadd9 - | IV - bVIIM7 - | Vsus4 --- | V --- |

・1S

|| I --- | IV --- | V7 - IVm7/bVI - | VIm7 - Vm7 - |

|| IVM7 - V7 - | IIIm9/I -- VIm7 ---- | IIm7 - II7/#IV - | Vsus4 --- V - III/#V - |

|| VIm7 --- | #Vaug --- | I/V --- --- II7/#IV | ---- |

|| IVM7 - V7 - | IIIm7 -- VI7 ---- | IIm7 --- | IIm(#11)/V --- |

|| N.C. | ---- |

・2A

|| I - IV - | V - I - | VIm - IV - | V -- I -- V - |

|| I - IV - | V - I - | VIm - IV - | V -- I ---- |

 

|| I - V - | IV - VIm - | IVadd9 - I - | IIm7 - V - |

|| II7/#IV - V - | III7/#V - VIm - | IIm7 - V - | I --- |

・2B

|| IIm7 --- | V --- | IIIm7 --- | VIm --- |

|| IIm7 - I/III - | IV - bVIIadd9 - | Vsus4 --- | V --- |

・2C

|| VIm --- | IVadd9 --- | Vsus4 --- | I --- |

|| VIm --- | IVadd9 --- | Vsus4 --- | I --- |

|| VIm --- | IVadd9 --- | Vsus4 --- | I --- |

|| VIm --- | IVadd9 --- | Vsus4 --- | V --- |

・3B

|| IIm7 --- | V --- | IIIm7 --- | VIm --- |

|| IIm7 - I/III - | IV - bVIIadd9 - | Vsus4 --- V -- III7(#9) | ---- |

・3S

|| N.C. | ---- | ---- | ---- |

|| N.C. | ---- | ---- | ---- |

|| ---- | ---- |

・LS

|| I --- | IV --- | V --- | VIm - Vm7 - |

|| IV - V - | IIIm7 -- VIm ---- | IIm7 - II7/#IV - | V - III7/#V - |

|| VIm7 --- | III7/#V --- | V --- --- II7/#IV | ---- |

|| IV - V/IV - | IIIm7 -- VI7 ---- | IIm7 --- | IIIm7 -- VIm ---- |

|| IIm7 --- --- V | ---- | I --- | I -- bVIIadd9 |

・outro

|| I - IV - | V - I - | VIm - IV - | V -- I -- V - |

|| I - IV - | V - I - | VIm - IV - | V -- I -- V - |

|| I --- | I --- | I --- | I -- IVadd9 ---- |

 

 

【コメント】

・曲について

 この曲は今年三月に開かれた某ライブにて実際に演奏することを前提に作られており、Gbメジャースケール(半音下げチューニング)、簡単なコードしか使わない、音域がバグっていない、転調しない、といった辺りにその断片が窺えたりなかったりします。曲中でずっと鳴っているリフなんかも運指を考えつつ作りました、僕は弾けませんが(一方、ライブでのリフ担当は練習の末に見事弾きこなしていた。すごい)。

 

・編曲について

 ピアノ! これは同サークルのキーボード弾きであり、先述のライブでのキーボード担当でもあったところのL字トマソン君に一から十までお願いしました。この曲にはキーボードを入れないとダメだという考えが(出演云々を抜きにしても)自分にあり、しかしそのために自分は明らかに力不足だということで、実際に演奏できる彼へ頼んだという次第でした。結果、自分の想像を遥かに越えた伴奏を仕上げてくれて、本当に頭が上がりません。その他にも、この曲のいたるところにはバンドメンバーの意見が反映されていたりいなかったりし、たとえば当初は 110 ほどだった BPM を途中で現在の 95 まで下げたりだとか、コードやベース、リズム隊も「ここはこうした方がカッコいい」みたいなそれで変えたりだとか、そういった諸々も含めて一人では決して作れなかった曲だと思います。完成してよかった。

 

・歌詞について

 初めて引用なるものをしました。『忘れたって消えない』、引用元とは少々異なりますが。この曲の歌詞を書くにあたってこの言葉を使うということは、歌詞を書き始めるよりもずっと前から決まっていました。大切な言葉です、曲にとっても、僕にとっても。ところで、曲名の startrail には全部で三つの意味があります。一つ目は「star/trail」で「これまでのこと」。二つ目は「start/rail」で「これからのこと」。最後は「”star”と”rail”」でこの曲に欠かせなかった二つの名前を。届くかな? そんな感じでした。

 

 

以上です。よろしくお願いします。