2018-01-01から1年間の記事一覧

今週読んだ本についての話3

今週は『サクラダリセット2 魔女と思い出と赤い目をした女の子 / 河野裕』を読みました。 www.kadokawa.co.jp 三巻も半分くらいまで読んでたんですが、気づいたら月曜日になってたんで、まあそういうことです。 一巻を読んだ段階から、そう遠くないうちにや…

白紙の空へ火を投げろ

「ミサトはサンタクロースがいったい何のためにあるんだと思う?」 真冬の川沿いを二人で歩いていた。空一面をどこか不機嫌そうな色を滲ませた雲が覆っていた。鋭く尖った冬の冷たさに乗せられて、草の匂いが微かに鼻をついた。星も月もない夜道でひっそりと…

今週読んだ本についての話2+a

これは割と切迫した問題なのですけれど、只今僕の下宿に設置されているエアコンを操作するためのコントローラが絶賛不調中でして、ここ数日間ほど暖房がつけっぱなしになっているんですよね。消せないんですよ、エアコンを。しかも昨日まで僕は大阪の実家に…

今週読んだ本についての話1

暖房を23℃に設定すると快適に起床できるという事実が最近の個人研究により明らかとなったのですが、本日早朝、当研究に対するアンチテーゼとして『暖房が快適過ぎてベッドの上から動かなくなる問題』という論文が発表されたようです。自分の風向き調節が下手…

これまで読んだ本についての話

本当に突然ですが、これまでに読んだ小説作品の中で特に面白いと感じたものや心に残っているものについて、自分が考えているあれこれを少しだけ書いてみようと思います。大した数は読んでませんし、読書量が徐々に増えつつある今でも多分ライトノベルの方が…

好きなものについて色々1

はい。本日もやってまいりました、お馴染み「好きなものについて色々」のコーナーです。本コーナーでは僕が好きなものをひたすら挙げていきます。飽きたらやめます。 ・好きな色:黒、白、青 最初に思いついたのが色でした。パッと出てくるのが多分それに当…

スカイブルーナイトメア

楽曲『スカイブルーナイトメア』を投稿しました。 www.nicovideo.jp mp3、wav、オケなどの音源は以下のリンクからダウンロードできます。 https://drive.google.com/open?id=1Qo1e1V3kblqXszxDQZQZM_PFWIe0gRZv 【歌詞】 数年前の夏影 一緒に飛び込んだ星空 …

透明

よく分からない何かに背中を強く押されて、ほとんど弾けるように家から飛び出した。家の中が酷く窮屈に思えてしまって、あるいは自分がいてもいい場所ではないように思えてしまって、行きたい場所なんてどこにもないくせに、それでも行きたい場所を探しに外…

空っぽでなにも無い。

こと想像力という能力一つを取り出してみたときに、神海隣空無よりもそれが抜きん出ているように思われる人間と僕は未だかつて出会ったことがないし、また今後出会うことも決してないだろう。そうはっきりと断言できてしまうほどに彼女は異常で、異様で、異…

ルールはいつだって絶対的に正しい。

「たとえば先輩は、指定最高速度が何のために存在するのかということを考えたことがありますか? ん……、ああ、ほら。あれですよ、あれ。赤い円の中に青色の数字が書かれている標識で指定されている速度のことです――常日頃から見ているでしょう? そこら中に…

携帯端末

たった数ミリしかない薄い氷の、その上をずっと歩いているのだという事実にはっとさせられる瞬間がある。赤の循環が始まったあの日から今日に至るまで、僕は幾度となくそれを踏み抜いて、その度に冷たい世界に曝されて、寒さに震えながらいつかの自分を呪っ…

私たちは同じ空を見ているわけじゃない

「生き急いでいる、と言われたことなら何度もありますね」 そう言ってから彼女は、ちょうどいま買ったばかりのジュースを口元に近づけて、そのままぐいと大きく傾けた。結構な速さで消費されてゆく薄緑色の液体をペットボトルの容器越しに観察していると、不…

イツハの冒険

・前日談 kazuha1221.hatenablog.com ところで、前日談という言葉は元々あった後日談に対応して作られた造語だという話を聞いたことがある。本当なのかどうかは全く知らないのだけれど、もしそれが事実なら不思議なことだなあと思う。というのも、プロローグ…

僕の話?

「僕のことなんてわざわざ取り立てて話さなくとも、先輩ならばよくご存知でしょう? いやいや、そんなご謙遜をなさらないでくださいよ。傷つくなあ。これはいつもの揶揄なんかではなく、本心からの言葉です。僕がいったいどういう存在で、どういう人間で、ど…

完璧とは何か、ですか?

「頭脳明晰博学多識、天上天下唯我独尊、才色兼備の八方美人として校内で名の通っている先輩でも、そういったいかにも凡人が頭を悩ませていそうなことをお考えになるのですね――ああ、なるほど、よくあるあれですか? 世間知らずのお嬢様が何らかの手違いで庶…

延命治療について話しましょう

「――ああっと、すみません。挨拶を忘れていました、おはようございます。朝起きて通学路を歩き学校まで向かうという世界一つまらないルーチンを前にして気分が沈んでいましたが、まさか先輩に会えるなんて――あまりの嬉しさに思わずいきなり話し始めてしまい…

実家

実家という空間が齎すエトセトラを、しかしながら、僕は何一つとして穏やかな気持ちで享受することが出来ない。気が立つというか、あるいは気が気でないというか、落ち着かないというか、そわそわするというか。だから、実家に帰ろうとは露ほども思わない。…

始まり

外へ出る。お気に入りのイヤホンを耳につけて、適当な音楽を聞き流しながら外を歩く。下ばかり向いているのもよくないということで意識的に見るようにしていたらいつの間にか大好きになっていた電線と青空を眺めながら、清々しい朝だなあ、とか呑気なことを…

初めてこのブログを本来そうあるべき正当な用途として使おうとしている気がする。というのも、こういうところにでも書いておかないとこの話を外へ持ち出す機会もそうないだろうし、いや、特に言いふらして回りたいという思いがあるというわけでもなく、どち…

存在意義

記憶なんていうものは、大抵の場合、その個人にとって都合のいいように修飾されている。愛おしく感じる思い出も、忘れられないトラウマも、言うなれば過剰の調味料と保存料を山ほど混ぜ込んで作られたコンビニ弁当のようなものだ。主観的であり、人工的であ…

とある世界の海の話

僕が生まれてすぐの頃の話だ。世界はまるで平和だった。当時の僕はまだ幼かったから、その時にどこかで起きていた争いに気づいていなかっただけなのかもしれない。それでも、少なくとも僕の視界に映しこまれた世界だけは間違いなく平和だった。そんな世界に…