これまで読んだ本についての話

 

 本当に突然ですが、これまでに読んだ小説作品の中で特に面白いと感じたものや心に残っているものについて、自分が考えているあれこれを少しだけ書いてみようと思います。大した数は読んでませんし、読書量が徐々に増えつつある今でも多分ライトノベルの方が読んだ数は圧倒的に多いです。僕はそういう人間です、よろしくお願いします。

 

 

・『鬼物語』:西尾維新

 まあ、そういう作品を順に挙げていけと言われれば、真っ先に答えるのはきっとこれになるのだろうと思います。僕が物語シリーズに心酔しているのは先日の記事でも話した通りですが、その中でも特に印象深く記憶されているのは鬼物語です。あまり詳しく言うとただのネタバレになるので詳細を語ることは避けますが、御都合主義のハッピーエンドだけが物語というわけでは決してないんだなと痛感したのはこの作品が最初でした。そんな僕の感動は、あるいは人によっては薄っぺらなものとして映るのかもしれませんが、しかし当時中学三年生か高校一年生ほどだった僕にとっては非常に価値のある経験だったのです。最後の一文が大好きです。

 

・『いなくなれ、群青』:河野裕

 次点で挙げられるのは多分これです。ちょうど一年くらい前、大学生協の書籍コーナーで偶然目に留まって購入した一冊です。いや、この作品に巡り合ったのは本当にただの偶然で、手を伸ばし購入したのもただの気まぐれだったのですが、しかしながら、もしもこの作品に出会ってなかったらどうなってたんだろうなあというのが全く想像できないくらいには、僕の内にはっきりと息衝いている物語の一つです。西尾維新の次くらいには影響されていると思います。ちょっとした自分語りをすると、僕は作品のタイトルにめちゃくちゃ拘りたいタイプの人種で、『いなくなれ、群青』に出会うよりも前に『その一言だけで』『あの日殺した少女はきっと』というタイトルの作品を書いていたのですが、なんというか、似たような何かを感じたんですよね。シンパシーというか。購入した理由はそれだけです。こればかりは色んな人に読んでほしいなあと僕は思います。比喩表現がいちいち綺麗です。

 

・『さよなら神様』:麻耶雄嵩

 これもタイトルとあらすじだけで買ったやつです。まだ実家から大学へ通っていた頃、僕は大学の帰りに何の目的もなく駅前のTSUTAYAへ入って小説が陳列されている棚の前をうろつく不審者のコスプレをよくしていたのですが、その際に目に留まったのが『さよなら神様』でした。第15回本格ミステリ大賞受賞作品らしいです。ミステリなのでこれも多くを語るとネタバレになるのですが、当たり障りのない範囲で話すと、この作品には「何でも知っている神様」という存在が平然と出てきて、しかも作中で順に紐解かれていく殺人事件の犯人を最初のページの一行目で教えてくれるのです。親切な神様です。犯人の分かってるミステリなんて面白くなくね、って思うじゃないですか。めっちゃ面白かったです。色々と逆なんですよね。何というか、本来は負の側面が強すぎるはずの要素を、これでもかってくらいに上手く使ってくるんです、この作品は。それらに説得力を与えているのは、プロットだったり舞台設定だったりなのでしょうけれど。大して読んでない奴が言っても説得力ないでしょうけれど、純粋にミステリとして楽しめました。おすすめ。

 

・『リカーシブル』:米澤穂信

 最近読んだミステリです。クローズドサークルというと孤島だとか山荘だとかが一般的には連想されますが、閉鎖的なムラ社会というのもミステリに十分相応しい舞台だと思います。不可解な伝承だったり奇妙な信仰だったり、あるいは部外者が受けるそこはかとない疎外感、解り易く不穏な気配、ムラ社会というやつはそういったものに言葉で説明するよりもずっとはっきりとした説得力を付与してくれます。めっちゃ強い。この『リカーシブル』もその手の舞台設定で、最初から最後までずっと作中には奇妙な空気が漂っています。目の前の茂みにはたしかに何かが隠れている気配がするのに、一方でその姿はおろか影一つとしてまるで見えやしないような、そういった朦朧とした薄気味悪さが頁を捲る手を止めさせません。しかも読めば読むほどに意味が解らなくなっていく。いや、すごい、マジで。是非読んでみてください。

 

 

 以上、四作品でした。作品の話は全然してませんけど、まあ『物語シリーズ』と『階段島シリーズ』については今更取り立てて話さなくてもいいだろ、という甘えがあります、許して。

 ちょっと真面目な話、いきなりこんなことを始めた経緯についてですけれど、僕は現在とある目的意識の下、読書量増やしていかなきゃダメだよなあ、と薄らぼんやり考えているのですが、しかし勉強机に高く積み上げられた本の山は一向に低くなりません。これはまずい。そういうことで、毎週日曜辺りを目安にその週に読んだ本について話す記事を書いていこうと思います。とりあえず今回は初週としてこれまでに読んだ本について話しました。来週からはその週に新しく読んだ本について話します(ちゃんと読めたら)。これで年間読書量、とりあえず五十冊くらいを狙っていこうという魂胆です。僕は愚かで怠惰なので、こうでもしないと本を全く読まないんですよね。はあ。

 最後に現在の積読数(怠惰の象徴)を公開して終わりにしようと思います。

 

・現在の積読数:7

 

 来週から頑張るぞー。