20200404

 

 二者択一のように思える考え方があったとして、その両方ともが自分の内側にあるなと感じることがよくある。傍からみるとただ矛盾しているだけのようにしか思えないそれを、でも自分は平気で会話中に組み込んでしまうから、話が難しいとたまに言われる。たとえば。たとえば、永遠なんてないよな、と思う。それはそう。まあ、どうだろう。今後、科学技術があり得ないくらいに発展しまくって、何十万年後かにも人類のような知的生命が存続していたとしたら、ひょっとすると発明してしまうかもしれないけれど、永遠を象った何かしらを。とはいえ、いまのところおおよそ永遠と呼んでしまえるものはこの世界のどこにもなく、そのことは歴史が証明している。恐竜だって絶滅したし、離婚の確率はだいたい三割なんだっけ? どうやって算出してるのか知らないし参考にすらしやしないけれど、でもまあゼロでないことは確かなはず。この世界ってその程度のものだし、どんな綺麗な嘘を吐いたって。永遠なんてどこにもないじゃんって、そう思う。そう思うし、そう思うんだけど。でも、だからこそ永遠と呼んでしまっていいと思える瞬間もある。っていう話を書いた、一ヵ月前に。永遠なんてどこにもないから、だからこそそれを永遠だと名付けてしまえるっていうか。なんていうか、これも自分にとっての世界の捉え方の一つなのかもといま思った。目に映るもの全部に自分なりの解釈を与えたがるっていうか、だから、自分にとっての『永遠』という言葉の意味はそれで。どこにもないし、だからこそどこにだってある。どこにだってあるということにしてしまえる、だって本当はどこにもないから。魔法。魔法って言葉もよく使う気がする、主に歌詞やブログで。どこにもないんだよな、魔法とか。小学生の頃にはもう知っていた。炎を纏う大剣はないし、空は箒じゃ飛べないし、お茶会に興じる魔女はいないし。最近だと、雨雲を消し飛ばす魔法なんて誰にも使えない、って話をしたっけ。世界をみれば分かる、魔法なんてどこにもない。ないけど。ないから、だから「ああ、これが魔法なんだ」って思えるものもたくさんある。どこにもないけど。どこにもないけど、誰も知らないけど、だからこそ自分の手にみつけたそれこそが魔法なんだって、そう信じることだってできるはずじゃんか、っていう。そういう気持ち。永遠とか魔法とか、別にそんな抽象的で難しく聞こえるようなものだけじゃなく、もっと日常的なスケールでもこういうのは結構あって。「 X である」という主張と同時に「 X でない」という主張も頭の中に在るみたいな、等質量で。矛盾してるみたいに聞こえるだろうなあ、と思う。自分の中ではそれなりにしっかりと筋の通った考え方なのだけれど、でもまあ、こういう感覚的な話ってそれを持ち合わせない人には一生理解できないだろうし、こればっかりはって思う。これは諦めの「こればっかりは」ではなくて、もっとより肯定的な。だって、説明して理解できる程度のものしかこの世界にないのなら、外的要因とかかわりを持つ必要なんてないわけだし。というか、自分だって自分と違う他人の感覚的な話についてはほとんど理解できない。そんなものだって、この世界は。どうしようもなさすぎるし、だから喧嘩だってなくならない。今日もどこかで誰かが悲しんで、傷ついて、忘れ去られて。たとえ目も手も耳も届かなくたって。幸福と同じ数だけの不幸が生産されて、本当どうしようもないくらいに理想からは程遠くて。目を逸らすことはできなくて、何かを成せるだけの力もなくて、拗らせた理想主義のせいで自分も勝手に傷ついて。そのたびに嫌だなあって思って、そんなことを繰り返して。この先もずっと続くんだって、思う。思うけど。でも、こんな世界でも、って思う。矛盾じゃなく、本心から。思うにこの世界って自分自身を映し出す巨大な鏡で、ありとあらゆるもの、すべて。そんなの人に依るだろうから、あくまで自分はそう思うってだけの話だけど。ミクロとマクロ。区別を排そうとする傾向があるという話、ブログに書いた気がする、去年の夏とかに。恋人と友人とか、自己と他者とか。世界を諦めるって、つまり自分にとってそれは自分自身を諦めることとほとんど同義っていうか。でも嫌じゃん、そんなの。だから結局、たとえどんな最悪でも向き合い続けるしかないよね、っていう。三月。自分の思いに真っすぐに向き合おうとするだとか、そんな風にみられてたんだと思って、それ自体は嬉しかったけれど。鏡。向き合い。自分。翻って世界そのもの。無力だし、特別じゃないし。ヒーローなんていないし、魔法だって使えないし、雨の日に傘を差し出すくらいがせいぜいのこんな世界で、でもそういうの何一つだって否定したくないっていうか。嘘になるから。だから、こんな世界でも、って思う。こんな世界なんて、とも思うけれど、それでも、こんな世界でも、と思う。両方ともある、同じくらいの強度で。むずかし。