観た映画2

 

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グレイテスト・ショーマン (2017)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07CWKBNWT

監督:Michael Gracey
脚本:Jenny Bicks,Bill Condon

 

 作詞のリファレンス……というわけではないけれど、気持ちを固めたいという目的で選んだ作品。舞台というかショーというか、登場人物全員を巻き込んでの大団円みたいなのを一度思い出しておきたくて(インド映画とかを観てもよかったのかもしれない(本日の固定観念))。過去に一度観ていて、そのときにかなり感動した覚えがあったので、というので選んでみた。

 This Is Me が好きすぎる! spotify で配信されているので是非いちど聴いてみてほしい。

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ところで、この曲は曲単体としてもかなり好きなのだけれど、当映画の中で流れるシーンと文脈があまりにも熱すぎるんだよな。アニメオタクみたいなこと言うけど、いや、でも実際そう。文脈込みだと一層楽しめるものというのは、確実にこの世に存在する、ゲームミュージックとかね。

 グレイテスト・ショーマンの舞台設定を簡単に説明しておくと、そもそも、これは P・T・バーナム(Phineas Taylor Barnum)という 19 世紀のアメリカ人の生き方を基にして作られたものらしい。彼は興行師で、その内容というのが、言い方を選ばないのなら "人を見世物にする" というものだった。実際にはもうちょっと非人道的な様相(時代観によるところではあるので判断が難しい)だったみたいだけれど、映画においては現代の価値観にある程度迎合した演出がなされている(少なくとも著しく気分を害するような展開はない)。とにかく、そういった、何かしらの身体的特徴を有する人を集めてサーカスを行うというのが、映画のメインストーリーとなっている。そういった理解の上で This Is Me の歌詞の話をしたくて、サビなんだけど

I am brave, I am bruised
I am who I'm meant to be, this is me

本当にすごい。このテーマの映画にこのタイトルでこの詞を唄う楽曲が存在するということ自体がすごすぎる。this is me って、たったの三単語なのにな。胸に突き刺さったまま抜けない。本当にすごいと思う。これを食らうためだけにでも『グレイテスト・ショーマン』を観てほしいと思うくらいには。

 余談。以下の楽曲が流れるシーンが本当に激アツ。文脈とかじゃなく、純粋に映像がカッコいい。

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ラ・ラ・ランド (2017)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0714LYZ3G

監督:Damien Chazelle
脚本:Damien Chazelle

 

 監督の人、『セッション』の人だったのか。あまりにも映像作品を通らずに生きてきたので申し訳ないながら観たことはないのだけれど、名前くらいは知っている。名作と名高い、はず。というか、『バビロン』の人でもあるんだな。どちらも気になっていて、あとで観る用のリストへ入れている作品だった。すご。

 公開当時にいたるところでその名前を耳にしたことからも、当然のように存在は把握していたのだけれど、ただ『グレイテスト・ショーマン』と違って、こちらは観たことがなかった(何故か冒頭の数分だけ見覚えがあった。なんで? ティザーとか?)。ところで、先述の『グレイテスト・ショーマン』と並んで語られることの多い作品という認識が(正しいかはともかく)あったので、こちらも作詞のリファレンスとして観てみることにした。

 結論から言うと、かなり好きだった。扱うテーマが異なる以上、比較という行為には何の意味もないのだけれど、そのことを承知の上で言うのなら『グレイテスト・ショーマン』よりも好みだったかもしれない。冒頭のシーンを最後に回収するというのは物語の構成としてはよくある(時間軸が錯綜しがちな作品によくみられる)ものの、その組み込み方が上手い! いや、自分が知らないだけでこういう例はたくさんあるのかもしれないけれど。ただ「え、もしかしてそこへ戻る?」という驚愕と「そうやって繋げるのか……」という感動とがあった。だって、これはタイムリープものじゃないし、まさかそんな展開が待っているとは思ってなかったから……。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『STEINS;GATE』を通ったことのある人なら本当に一瞬で解る、「あ、これ来るな」って。本当に感動した。

 お互いに自己実現を掲げる男女の恋愛模様という点でも面白かった。それと、これまでに物語中で提示された情報を使って、次の展開へと繋いでいく構成もかなり鮮やかだった(特に図書館のくだりが好き)。伏線を伏線と思わせないのが上手い。これが(アマプラだと)無料で観れるの、流石におかしいだろ。どうなってんの。

 余談。「ようこそ、セブズへ」のシーン、本当に痺れた。いわゆる見せ場的なシーンにおいて必要十分な台詞を選ぶことはかなり難しいと思っていて。狙いすぎな気取った感じのしない、そうであって的の中心を正確に射貫くもの。この台詞は、そういう意味で完璧。たったの一言で、これまでの物語のすべてに意味を与えている。感動した。

 

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー (1985)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00YTNH4V2

監督:Robert Zemeckis
脚本:Robert Zemeckis,Bob Gale

 

 往年の名作枠ね。子どもの頃に観て、いまに至るまでずっと好きな作品。そんな、何十回も観たとかではないはずと思うのだけれど、それでも物語の展開をそこそこ思い出せる程度には繰り返し観ていたんだろう。昔のことすぎて思い出せない。

 これね、あの、最初に言っておくと、本当にすごい。何がすごいって、物語の構成が完璧すぎる。というのも、作品の中で発生する出来事がすべて雪だるま式になっているというか、連鎖反応的に進行していくんだよな。要するに、すべての出来事が関連性をもって次へと繋がっていく。無駄なものが一つもない。そして、その枠組みの中に立ったままで、「これはどうなっちゃうんだ!?」と観客をハラハラさせるような山場を構築している。ジョージがマーティと一芝居演じようと思ったら、行き違いでビフに喧嘩売っちゃうシーンとかね。あとは、マーティーがトランクに閉じ込められることと、ビフが成敗されるだけでは未来が書き換えられないこととが繋がる理由とか。本当にすごい、し、その山場自体にも物語的にちゃんとした意義が与えられており、もう流石にスタンディングオベーション

 あと、あまりにも一筋縄じゃいかなさすぎる展開も、改めて観返すと好きだったな。これ、実際に物語的なものを一度でも夢想したことがある人は分かると思うんだけど、一つのメインストーリーを進めながらそれに付随する複数のサブミッションを用意するのって、本当に難しいんだよな。その点、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はすごい。最後の、「あとは未来へ帰るだけだな!」ってシーンでさえ全然ウイニングランじゃない。しかも、そこで起きる障害が「ああ、たしかにそれはそうなるよね……」って納得できるものばかりで、うわ~。22 時 4 分に落雷が起きることは事前に知っていて、天気が荒れることも知っていて、ということはこういった事態が当然起こり得るよね、っていう。

 昔に好きだった作品はいま観ても好きなままだったし、昔よりも場面構成に対する解像度がずっと上がっていてよかった。また何年後かに観れたらいいな。

 余談。この企画を始めてから、洋画は基本的に字幕版で観ているのだけれど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だけは吹替版で観た。懐古厨の宿命からは逃れられない……。

 

 

○ ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー (2023)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B8S4LYY6

監督:Aaron Horvath,Michael Jelenic
脚本:Matthew Fogel,上田誠

 

 知り合いからの勧めで観た。かなりの深夜に観ていて、2 時とかから観始めたんだっけ? というので、途中で寝落ちしてしまった。翌日、起きてから改めて観たのだけれど、終盤も終盤で寝落ちしていた。悔しい。ちゃんと眠くないときに観ようね。

 なんか、テーマパーク的な面白さがあった。マリオが好きな人なら、いや、特別好きというわけでなくとも何度かプレイしたことのある人なら、かなりニヤッとできるような構成になっているように思えた。序盤の、工事へ向かう途中の横スク要素とか。何気ないところに「これは!」と目が向くような要素が散りばめられていた。個人的には、門番のノコノコ(たしかノコノコだったと思う)がちゃんとコインをかすめ取っていたシーンが好き。おもろい。

 というか、ピーチ姫が強すぎる! ピーチ姫って、なんていうか、ああいうキャラクター性でいいんだ。もうちょっとたおやかな感じを想像していたから、生まれてからこの方ずっと。いやまあ、たしかにスマブラでは武闘派だけれども。でもなんか、あんなイケイケな感じなんだ、と思った。ところで、どちらかというと前に立って歩いていく風のピーチ姫はかなりカッコよく、かなり好きだった。たしかに、マリオの立ち位置をああいう風に設定するのなら、世界のことについて説明する強キャラポジが必要で、それを旅へも同行するピーチ姫に委ねようとすれば、必然的にああいったキャラクターメイキングになるのかな。

 全体的に、ユニバのマリオゾーンみたいな感じの映画だった。あれで感動する人は、たぶんこっちでも感動できる。

 余談。レインボーロードってそういう壊れ方するんだ……、と思った。ていうか、壊れるんだ。あんなにボム兵とかトゲ甲羅とかが散々飛び交ってるのに。

 

 

○ 翔んで埼玉 (2019)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07X8RXWHN

監督:武内英樹
脚本:徳永友一
原作:魔夜峰央

 

 名前は知っているけれど通ったことのなかった作品シリーズ。どういったコンセプトの作品なのかということもある程度は知っていて、アマプラをぐるぐる巡っていたら「そういえば」と目に留まったので観ることに。

 結論から言うと、もう本当に面白かった。エンタメとしてすごすぎる。特に感動したのが、物語の枠組みの外に冷静なツッコミ役(つまり観客と同じ目線のキャラクター)を置くことで、ともすれば不快感へも繋がりかねない展開を続けまくる本編とのバランスを取るという作品構成。これによって観客は物語の外側からの視点を獲得して、物語の中で語られている内容は一言一句取るに足らないものである、という理解のもとでスクリーンへ臨むことができる。すごい。wikipedia によると、これは原作にないオリジナルパートらしく(というか、そもそも原作は未完のままで連載が中断されたらしい)、つまりは監督と脚本の手腕。というか、この二人って『電車男』や『のだめカンタービレ』で組んでるんですね。そりゃ面白いわ……。

 肝心の本編はどうだったのかというと、こっちは終始バカなことをやっていて、本当によかった。真面目な顔で明らかに頓智気なことを言うもんだから、しかも登場人物全員が。面白くないはずがない。ただ、それを「面白くないはずがない」の領域に留めておかないところがすごい。つまり、単にシュールギャグをやり続けるのではなく、物語としての骨格を与え、最後にはちゃんと爽快感のある結末を用意するという、作品が作品たるための一連の手続きをかなり丁寧に踏んでいる。そのおかげで、恐らくはメインディッシュと思われる埼玉弄りネタにも飽きがこない。「ああ、これはもうこういうものなんだな」という納得感さえあった。

 これは本当に面白かったのでオススメ。アマプラなら無料で観れる。いまだけかもしれないけど。

 余談。某ロックバンドの某が出てきたところでシンプルに爆笑した。あの、なんだっけ。海外のなんとかってホラー系映画で、その分野の巨匠をしょうもない一発ネタのためだけに呼びつけたみたいな、それと同じタイプの笑い。

 

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 (1989)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00G31E33U

監督:Robert Zemeckis
脚本:Robert Zemeckis,Bob Gale

 

 初代に引き続き PART2。初代のほうで色々書いちゃったからもうあんまり書くことないかも。

 ところで、思いついたことは書く。初代でも触れた、連鎖的にイベントが起こっていく構造は健在だった。個人的には、初代のあの "引き" から、PART2 のメイン舞台を未来へ設定しなかった判断がすごいなと思う。自分だったら、未来の世界でどういった物語を展開していくか、という考えに固執してしまいそう。実際には、「未来で色々やっちゃったせいで現代(未来からみた過去)が変わっちゃった!」的なことが起こる。過去改変によって未来が書き換わるというのは様々な作品で目にするけれど、その逆については一聴すると「そんなことある?」って感じ。ところで、そんなことあるんだな、これが。まあ、実際には未来での出来事が直接的に過去へ関与するわけではなくて、起こっていることとしては過去改変なのだけれど、その起点が未来にあるという話。詳しくは、実際にその目で確認してほしい。

 後半の展開は終始、息を呑むとしか言えない。すごすぎる。物語の後半戦では初代と同じ舞台へと場面転換をし、つまり、初代のストーリーラインが進行している裏で PART2 のストーリーラインも同時に進行させるという構造を取っている。これがもう本当に素晴らしいの一言。この手の作品ではよくある禁則事項として、「過去の出来事を変えてはならない」、「過去の自分に遭遇してはならない」の二つがある。その制約のもと、PART2 における最大の目的を果たすために主人公が孤軍奮闘する、という構成。しかも、初代におけるイベントの発生現場を回避する形ではなく、むしろそこにぶつけていく形で展開を作っているのがすごすぎる。要するに、初代での出来事をきちんと活かしたような構成になっている。本当にすごいし、普通に感動した。こんな綺麗に物語って作れるんだ、しかも 1 時間 48 分で(オープニングとエンドロールがあることを考慮すれば、実際には 1 時間 40 分程度のはず)。

 本当にすごかった。そりゃ名作と呼ばれるわけだな……と思った。

 余談。初代でも登場したあの超絶ギターパートがまた聴けてよかった。

 


 今回はこんな感じ。冒頭の二作品『グレイテスト・ショーマン』と『ラ・ラ・ランド』について、じゃあ実際に作詞へ活かすことはできたのかという話を最後にしておくと、実際にできた。言語への接続というよりは、映像的想像への寄与が大きかったかな。架空の人物を想定して、その人物が楽しそうに街を歩いてるところとか、そのときに見えそうなものとか感じそうなこととか、そっち方面の想像を膨らませることにかなり役立っている、ような気がしている。

 というので、当初の目的はもうこの時点でかなり果たされてしまった。けれど、映画鑑賞はいまのところまだ面白いので、引き続き観ていきたいわね、という感じ。