脅されたので

 

 脅されたので BUMP OF CHICKEN の楽曲(と自身の楽曲制作)について色々書こうと思います。別に僕は BUMP 有識者というわけでもないのですが、自分の音楽制作のルーツ(という言い方で正しい?)の一つとして BUMP OF CHICKEN があり、そういう意味では色々話せることはあったりなかったりするのかなと思ったり思わなかったり。

 前置きもほどほどに。早速始めていきましょう。

 

 三つ目の「とりあえず有名どころ」まで読めばだいたいが分かり、「文字読みたくね~」という人は二つ目までに貼ってあるプレイリストへ飛んでください。

 四つ目の項目は完全に趣味の領域なので、興味のある人だけ読んでください。

 

※およぞ 15,000 字あるので、お時間のあるときにどうぞ。

 

〇はじめに

 公式ベストアルバムが 2013 にリリースされているので、マジで手当たり次第に聴きたいという人はこれを聴いてください。八年前のベスト盤なので最近の曲は当然抜けてしまっていますが、6th Album『COSMONAUT』までの定番どころはこれで抑えられます。

open.spotify.com

open.spotify.com

 

「ベストアルバムは曲数が多くてちょっと……」という人はとりあえず 6th Album『COSMONAUT』を聴いてください。完全に私情ですが、僕の一番好きなアルバムです。

open.spotify.com


『COSMONAUT』はリズム面で遊んでいる曲が多い(バンド内の流行?)のでもっとストレートな曲が聴きたいという人は、5th Album『orbital period』のほうがあってるかもしれません(でも『COSMONAUT』を先に聴いてほしい)。

open.spotify.com

 


〇これ聴いてくださいプレイリスト

・BUMP recommend (itsuha)

open.spotify.com

 iPhone に入れてある BUMP プレイリスト(全曲ある)を再生するとき、「なんとなくこの曲から聴き始めること多いな~」と思った作品を入れました(これでもかなり頑張って削ったんですが、それでも結構残っちゃいましたね……)。

 BUMP OF CHICKEN について知りたい人は後に続く三つのプレイリストをみてもらうこととして、『僕が普段聴いている BUMP の曲』を知りたいという人がもしいればこのプレイリストを適当に追いかけてください。自分がよくリファレンスにしがちな曲(後述)もここにだいたい全部入ってます。

「なんでこの曲が入ってないの!???!?!」はマジで容赦してください。僕も泣きながら削りました。本当なら全曲入りプレイリストをここに貼り付けたいです、今すぐにでも。

 

・BUMP recommend(シンプル速めロック)

open.spotify.com

『天体観測』『カルマ』に代表されるシンプル速めロックを各アルバムから集めたリストです。この二曲が好きな人はこのプレイリストから聴き始めると良いんじゃないかと思います。

 ここでいう「シンプル」は「楽器構成が基本ボーカル、ギター、ベース、ドラムスだけ」くらいの意味です。

 

・BUMP recommend(最近、速め)

open.spotify.com

『Hello,world!』『アカシア』に代表される、最近の BUMP がやっている曲調に比較的近い作品を集めたリストです。この二曲が好きな人はこの辺りから聴き始めるといいんじゃないかなと思います。

 最近の曲になればなるほど荒さが削れていくというか洗練されていくというか、そんな感じの曲調になっていきます。

 

・BUMP recommend(ゆっくりめ)

open.spotify.com

 最近リリースされた『Flare』『Small world』のような気持ち遅めの曲を集めたリストです。

 個人的に BUMP の本領はこういったミドルからスローテンポ付近の曲にあるような気がしていて(本当?)、ただ有名(「BUMP を知らない人でも知っていそう」という意味)な曲はアップテンポなものに偏っているので、こういうのもみんな聴いてほしい~という気持ちです。

 

----------------------------------------

 

 求められたものとしては恐らくここまでで事足りているような気がしますが、筆が乗っているので以降は飽きるまで BUMP 楽曲(に託けて自分の曲)について話します。曲名のあとにある日付はリリース日です。

 

〇とりあえず有名どころ

「とりあえずこれをおさえておけば、知名度がバカ高い曲については大丈夫」という楽曲をいくつか貼っておきます。「とりあえず有名どころだけ知りたい!」という人はここだけ読んでください。

 

・天体観測 / BUMP OF CHICKEN( 2001/03/14 )

www.youtube.com

 BUMP OF CHICKEN のことを多少なりとも知っている人に「BUMP OF CHICKEN で一番有名な曲は?」と訊いたら、10,000 人中 9,999 人は「天体観測」と答えるのではないかと思われます。
 比較的初期の BUMP OF CHICKEN 成分が滲み出ている曲で、重ね録りしまくったギターにあとはドラム、ベース、ボーカルというシンプルなバンドサウンド構成です(作曲者であるところの藤原基央はギターの重ね録りについて、あとあと反省したらしいです)。「こういう曲、もっと聴きたい!」と思った人は 4th アルバム『ユグドラシルを聴きましょう。あるいは、冒頭で貼っておいたプレイリスト(シンプル速めロック)を聴きましょう。

 これも恐らく後述しますが、BUMP OF CHICKEN は歌詞について言及されることも多いバンドという風に認識しています。なので「こういう歌詞、もっと読みたいな~」という人ももしかするといるのかなと思うのですが、その点については何も言うことがなく、なぜかというと最初期から現代にいたるまで、その辺りの作風はほとんど何も変わっていない(ように個人的には思える)からです(大局的には変わっているが、本質的な部分は変わっていない気がする)。なので、そういう人は全曲聴いてください。嘘で、どこから聴き始めてもよいです。

 

・カルマ / BUMP OF CHICKEN( 2005/11/23 )

youtu.be

『天体観測』をさらに洗練したような音になっている感のある作品であるところの『カルマ』です。テイルズの曲として起用されていて、なので一般知名度はかなり高いほうなのではないかと思います。

 いま気づいたんですが、この曲、サビ頭ドシソ(移動ド)ですね。

 

・ray / BUMP OF CHICKEN( 2014/03/12 )

www.youtube.com

 時系列的に次に出た有名な曲を挙げるなら、恐らく『ray』になるのではないかという気がします。『花の名』とかもあるんですが、こっちは紅白でも演奏されているので。この辺り( 7th Album『RAY』)からシンセサイザーを起用した楽曲が増え始め、ほとんど表題曲みたいな『ray』なんかはその傾向が顕著に表れていますね。

「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」という、その名の通り初音ミクをはじめとするキャラクター達をフィーチャーした音ゲーに収録された楽曲でもあります。

www.youtube.com

 これがなぜかというと、これが初音ミクとデュエットしている楽曲だからです。BUMP ver. の調声は kz がやっています。プロセカ ver. は不明。

 自分の話。2018 年後半から2019 年前半にかけて一番聴いた BUMP の曲がこの『ray』でした。なので色んな曲のリファレンスとして起用されていたりします。

 

・Hello,world! / BUMP OF CHICKEN( 2015/04/22 )

www.youtube.com

血界戦線」の曲として起用されており、なので一般知名度は高めだと思います。BUMP の曲、初期はベースラインが超絶に動き回っていて、4th Album『ユグドラシルからは様々な理由により封印されたらしいのですが、この曲ではそれがまた復活しています。動き回るベース、いいよね。

 この曲もなぜかプロセカ(上で述べた音ゲー)に収録されましたね。なぜ?(本当になぜ?)

www.youtube.com

 

・アカシア / BUMP OF CHICKEN( 2020/09/29 )

www.youtube.com

 それからまたしばらく経ってリリースされた、知名度高めソングであるところの『アカシア』です。ポケモンの曲として起用されています。

 BUMP といえば半音下げチューニングの楽曲が多く、なので♭系のスケールがかなり目立つのですが、この曲の A,B メロは Gmajor になっていて、リリース当時「マジか!」と思った記憶があります。

 

・なないろ / BUMP OF CHICKEN( 2021/05/18 )

www.youtube.com

 かなり最近の曲ですが、朝の連続ドラマシリーズの主題歌として起用されていたということで、一般知名度はかなり高めかと思います。

 最近の BUMP の曲らしいメロディラインの楽曲です。上で紹介した『アカシア』の A メロや、この『なないろ』のひとつ前にリリースされた『Flare』なんかのサビも同じというか、ちょっと複雑な感じがしますね。

 

〇リファレンスにしたことのある曲

 以降は完全に自語りゾーンです。興味のある人だけ読んでください。これで全部ではないと思いますが、覚えている限りで書きました。

 

・firefly / BUMP OF CHICKEN( 2012/09/12 )

www.youtube.com

 7th Album『RAY』の収録曲で、「息もできない夏」というドラマの主題歌に起用されていたらしいです。

 人生で初めて買った楽譜が 7th Album『RAY』のバンドスコアで、そこに『firefly』のスコアも収録されていました。当時、バンドサウンドに対する造詣が無で、それはそれとしてバンドサウンドをやりたかったので勉強がてら楽譜を全部 DAW 上に起こしたりしたんですが、中でも最初に取り掛かったのが『firefly』でした。

『firefly』については主にリズムパターンを参考にすることが多く、『想造世界のプレリュード』の二番 A メロなんかは露骨にそうです(というか、いま聴くとほとんどそのまんまな気がする)。

Stream Cloverteller - 想造世界のプレリュード by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 ギターリフの雰囲気(特に二サビ終わりの間奏)も参考にしたことがあって、『ステラグロウ』のサビで鳴っているギターリフは『firefly』の楽譜と睨めっこしながら必死に考えていた記憶があります。0:55 辺りからのリフです。

 明暗のバランス感も結構参考にしています。『firefly』、A,B メロでは VIm や IIIm が多用されていますが、サビは I の和音から始まって、しかも食いなので底抜けの明るさがあるような気がしており、それがマジで好きで。しかもそのままで行くのかと思ったら 7 小節目で IVm を鳴らして、二回し目からは VIm 始まりのフレーズになるんですよ。「音と歌詞の調和」みたいなものを自分が真面目に考えるようになったきっかけが、他でもない BUMP OF CHICKEN なのですが、思えばこの辺りから既にその傾向があったように思います。

 グロッケンを鳴らしたり、最近だとペダルポイントの使い方なんかもリファレンスになっています。

 

・サザンクロス / BUMP OF CHICKEN( 2014/03/12 )

open.spotify.com

 7th Album『RAY』に収録されている楽曲です。この曲は本当に色んな曲のリファレンスになっていて、というか自分が曲を作るとなったらとりあえず傍に置いておく一曲みたいな、そんな感じの立ち位置にいる楽曲です。それだけ好きということでもあります。影響が最も色濃く出ている楽曲は恐らく『想造世界のプレリュード』です。

 まず展開面。この曲は 1A メロ→ 1B メロ→ 1 サビ→間奏→ 2A メロ→……と展開していくのですが、2 サビのあと、間奏を挟んで A メロに戻るんですよね。上のリンクでいうと 2:40 辺りからです。ラスサビ前で A メロに戻るという構成自体は恐らく珍しくないだろうと思うのですが、自分は BUMP の曲を聴いているときに初めて意識的に出会ったような展開構成で、「これ、めちゃくちゃ良いな」と思って。何がというと、これはどちらかというと作詞面での話になるのですが、冒頭へ戻すことができるんですよね、歌詞を。歌詞の方向性によってはこれがうまくハマることがあるような気がしていて、『想造世界のプレリュード』は、だからこれがリファレンスになっています( 3:30 からの展開)。

Stream Cloverteller - 想造世界のプレリュード by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 次に編曲面。間奏のギター、ベース、ドラムが音を合わせるパートがものすごく好きで、「演奏してて絶対楽しいだろうな~」みたいな。『未完成の春 (2020 Band ver.)』の編曲においては、その「演奏したときの楽しさ」みたいなものを少し意識していた( BPM のせいで台無しになっている)ので、『サザンクロス』の展開を意識して編曲を進めていました(嘘で、2020 Band ver. より前に出た原曲の時点で構想されていました)。

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 最後に作詞面。いまでこそしなくなりましたが、作詞を始めた頃はマジで右も左も分からなかったので、作詞においてもリファレンスを用意するなどしていました。『サザンクロス』はその中の一つです。

BUMP OF CHICKEN サザンクロス 歌詞 - 歌ネット

 僕の歌詞をいくつか読んでいる人がもしいれば、上の歌詞も読んでみると思うところがいくつかあるのではないかなと思ったり思わなかったり。『想造世界のプレリュード』でも使われている「夕焼け」とか。あとは最近よく出てくる「帰り道」とか、常に使いまくっている「青」とか「声」とか「星」だとか。

 

・新世界 / BUMP OF CHICKEN( 2018/12/12 )

www.youtube.com

 9th Album『aurora arc』に収録されている楽曲で、ロッテ創業 70 周年を記念してのタイアップ曲です。自分が普段作っている曲調からは少しズレているので、これがリファレンスになっているといわれても「?」という感じかと思いますが、以下で紹介します。

 まずコード進行。『新世界』の A メロは I - Vsus4/II を繰り返す進行なのですが、「この進行、めちゃくちゃ爽やかでいいな~~(ドとソがずっと持続してて最高~~)」と思って(似たような進行の曲なら『pinkie / BUMP OF CHICKEN』もあるのですが、それは後述)。それがそのまま出力されている曲として『ここにいるよ。』があります。1A メロの進行がまんまこれですね。

Stream ここにいるよ。 feat. 初音ミク by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 コードはここに載せてあります。

ここにいるよ。 - 感情墓地

 あと、『新世界』はメロディメイキングの面で若干参考にしたことがあるような気がします。というのも一通りを DAW に起こしてみて「この曲のメロディ、めっちゃ八分音符の順次進行じゃん……」と思ったことがあって、その直後くらいに作られたのが『未完成の春』でした。『未完成の春』はサビのメロディが四分音符主体の順次進行気持ち多めフレーズになっている気がします。

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 

・宝石になった日 / BUMP OF CHICKEN( 2016/02/10 )

www.youtube.com

 8th Album『Butterflies』に収録されていて、カルピスかなにかの CM に起用されている楽曲です。『サザンクロス』に並び、これもまた色んなところでリファレンスにされていて、数多くある BUMP 楽曲の中でもかなり好きな部類に入っている作品です。

 まずリズムパターン。基本的には淡々と進んでいくような構成なのですが、それがサビ前のキメを皮切りにちょっと盛り上がり気味になるのが割と好きで。『ここにいるよ。』のリズムパターン(特に 1A,B から 1 サビへの流れ)はその意識がものすごく顕著に顕れているなという感じがします(自分の曲の話をするたびに毎回リンク貼るの、ちょっと邪魔くさいですね(でも、すぐそこにリンクあったほうがよくない?(わかる)))。

Stream ここにいるよ。 feat. 初音ミク by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

『想造世界のプレリュード』1 サビ入りのキメや、『未完成の春 (2020 Band ver.)』2 サビ入りのキメなんかもそうですね。

Stream Cloverteller - 想造世界のプレリュード by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 ぬるっと入るのもいいんですが、こんな感じのキメを挟んでサビへ入るのが特に好きなんですよ。キメの最後では絶対ハイハットを打ちたい。

 次、ギターの音作り。空間系の音が好きになったのも BUMP OF CHICKEN の、特に後期の曲に触れてからで、『宝石になった日』の冒頭からずっと鳴っているギターリフの音作りなんかは結構参考にしました、『ここにいるよ。』を作っているときに( 1A,B でずっと鳴っているギターリフです)。

 最後に、ギターリフ。8th Album『Butterflies』のバンドスコアも買ったので、『宝石になった日』も当然のように DAW へ起こしたのですが、その際にギターリフがちょっと気にかかって。というのも 2 サビ終わりからの間奏、上のほうでキラキラ鳴っているギターリフがずっとドとレとソ(移動ド)しか使ってないんですよ。以下のリンクから該当部分を聴けます。

youtu.be

 いまでこそ僕は「音楽ってドとレとソだけでいいらしい」みたいな冗談を言いますが、当時はとても新鮮だったというか、「……マジ?」みたいな。『未完成の春 (2020 Band ver.)』以降に制作した楽曲には、この辺りの思想がかなり強く出ていて、『ステラグロウ』のギターリフや『消えたポラリス』のペダルポイント、『リスティラ』のポエトリー地帯で鳴っているギターリフなんかもそうといえばそうですね。

 ギターリフという点で言えば同じですが、三回生の 11 月頃にギターを買ってしばらく後に『宝石になった日』のリフをずっと弾いていた時期があって。『アイ』のサビでずっと鳴っているギターリフなんかはその過程で生えてきたフレーズでした。

アイ / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 

・流れ星の正体 / BUMP OF CHICKEN( 2017/01/28 )

www.youtube.com

 弾き語り ver. がありえないくらい好きなのでこっちを貼ります。バンドアレンジされたバージョンも公式 YouTube に公開されています。BUMP OF CHICKEN のボーカルかつ作曲担当であるところの藤原基央が、かなり昔から継続していた「Fujiki」という連載が最終回を迎えるにあたって、偶発的に制作された楽曲らしいです。どちらかといえば弾き語りバージョンが好きなことには、そういった理由もあります(ものすごくプライベートな感じがするという意味)。

 まず、そういう意味で『未完成の春』のリファレンスになっています。

Stream 未完成の春 feat. 初音ミク by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

もうそろそろ隠すことでもないので書いておくと(というか、実は何度も書いてるんですが)、『未完成の春』は Catch the Youth という吉音(所属サークル)内メンバーで組んだコピーバンドを受けての楽曲で、だからめっちゃくちゃにプライベートな作品で。コードとメロと歌詞をバーっと作った後、「どんな感じのアレンジにしようかな」と考えるまでもなく「いやー、アコギの弾き語りっしょ」となったのは、だから『流れ星の正体』という楽曲が既に僕の頭の中にあったからなんだろうなと思ったり思わなかったり。

 次にコード進行。サビの繰り返し部分で使われている IIm - IIIm - IVm - Vm (- VIm) 、僕はいまでこそ息を吸うようにこの進行を使いますが、これを初めて強く意識したのは『流れ星の正体』がきっかけでした。『未完成の春』のサビも繰り返しのタイミングで IIm - IIIm - IVm - Vm という進行を使っていますが、これは完全にこの曲の影響です。コードは以下のリンクに載せてあります。

未完成の春 - 感情墓地

 最後にコード。サビのあとにくっついているパートの進行は 6251 ですが、そこの 2 は II7 になっています。僕はいまでこそ息を吸うように II7 を使いますが、この和音を初めて強く意識したのも『流れ星の正体』がきっかけでした(二回目)。『未完成の春』のサビでも最後の最後で IIm7 でもいいところをわざわざ II7 にしたりしていて、これは完全にこの曲の影響です。余談ですが、以降、堀江晶太にドハマりしたことも相まって II7 を使わないと満足できない身体になってしまいました。

 

・天体観測 / BUMP OF CHICKEN( 2001/03/14 )

www.youtube.com

 本記事二回目の登場。上のほうでもう色々と触れたので、楽曲そのものに関する話は割愛するとして。

『天体観測』をリファレンスにしていたのは『未完成の春』の作曲面です。『未完成の春』サビ冒頭 8 小節のコードは

|| Iadd9 --- | III7 --- | VIm7 --- | Iadd9 --- |
|| IVadd9 --- | IVadd9 --- | VIm7 --- | V --- |

なのですが、一方で『天体観測』サビ冒頭 8 小節のコードは

|| Iadd9/V --- | Iadd9 --- | VIm7 --- | Iadd9/III --- |
|| IVadd9 --- | IVadd9 --- | VIm7 --- | V --- |

でまあだいたい同じです。これがなぜかというと『未完成の春』が Catch the Youth というコピバンを受けての曲というのは先述の通りですが、そのコピバンで披露した楽曲の一つが『天体観測』だからです。そういう意味でリファレンスになっています。

 という話があるのですが、より広範な話題でいけば、この楽曲を通じて Iadd9 という和音と仲良くなれたというのがあり。というのも、『天体観測』はサビ頭のコードが Iadd9/V で、メロディはレ(移動ド。I の 9th )をひたすら連打するんです。なので Iadd9 の色がかなり強く出ている曲で、という意識がたとえば『ステラグロウ』なんかに反映されていたりします。

 上の動画の 0:45 からがサビですが、サビ頭、コードは Iadd9 なのですが、同時に鳴っているピアノのトップノートはレ(移動ド)です。「Iadd9 が鳴る瞬間にレ(移動ド)の音を意識させられると気持ちがいい気がする」という推測を『天体観測』から得、その感覚がこういうところで消化されていたりいなかったりします(『未完成の春』を作っているときは、その辺りの感覚がまだなかった)。

 

・ray / BUMP OF CHICKEN( 2014/03/12 )

www.youtube.com

 こちらも本記事二回目の登場。詳細は割愛。2018 年後半から2019 年前半にかけて一番聴いた BUMP の曲がこの『ray』だったという話は先述の通りです。

 特にコード進行。『ray』の A メロでは VIm からの下降クリシェが組み込まれているのですが、一方、僕は下降クリシェを狂ったように使っていた時期があって『スカイブルーナイトメア』の B メロとか、

Stream スカイブルーナイトメア feat. 闇音レンリ by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

『「じゃあね、また明日」』の A メロとか、

Stream 「じゃあね、また明日」 feat. 闇音レンリ by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

『想造世界のプレリュード』の A メロとかです。

Stream Cloverteller - 想造世界のプレリュード by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 ところでこれらの曲は投稿月日が上から順に 2018/11/25、2019/01/12、2019/05/26 です。普段聴いている楽曲の色ってこんなに濃く出るんですね(人に依る)。こんな感じで下降クリシェを使いまくっていたせいか自分の手にはこの進行がよく馴染んでいて、最近の曲だと『消えたポラリス』の B メロなんかでまた使ったりしました。沈んでいく感覚がものすごく好きなんですよね。

youtu.be

 

・記念撮影 / BUMP OF CHICKEN( 2017/07/05 )

www.youtube.com

 初出は四年前ですが、最新アルバムであるところの 9th Album『aurora arc』収録曲です。日清かどこかとタイアップしていましたね、たしか。BUMP OF CHICKEN で一番聴いている曲を上から順に三つ挙げてくださいと言われたら、僕の場合、まず間違いなく『記念撮影』は入ってきます。あとの二曲は『Aurora』と『アリア』です、たぶん。

 まずは展開構成。一曲を通してずっと同じ進行で、しかも同じギターリフが延々と続いて……という構成は自分の中に限って言えばかなり目新しいもので、それを意図的に真似しようと思って生まれたわけではありませんが、結果的にそうなった作品として『アイ』があります(といっても、『アイ』は最後にもう一展開ありますが)。

Stream アイ feat. 初音ミク by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 次にギターリフ。ギターを手に入れてからもう二年以上経つんですが、僕は本当に『記念撮影』のリフしか弾いていなくて。ギターを手に取るたびにとりあえずの手癖で弾くし……みたいな。ということもあってそこから派生したフレーズみたいなのがちょくちょく自分の曲へは組み込まれているのですが、最も露骨なのが、すぐ上でも紹介した『アイ』の冒頭からサビまでの間でずっと鳴っているギターリフです。ポジションがそもそも同じですし、なんならキーも同じですし。

 最後に作詞面。

BUMP OF CHICKEN 記念撮影 歌詞 - 歌ネット

 具体的にどこをどうリファレンスにしたとかは明言しづらく、というのも雰囲気を汲み取る感じで自分の中へ取り込んでいるからなのですが。でもまあ、作詞の際に用いる単語なんかであればある程度は紹介できて、たとえば「魔法」とか。僕の場合、その制作時に最も聴いている楽曲の影響をモロに受け、それでいて BUMP は本当に年がら年中聴いているのでアレなんですが、だから『アイ』の歌詞に「魔法」という言葉が使われているのは、恐らく偶然なんかではないですね。

note.com

あとは「紙飛行機」なんかもそうで、こっちは『未完成の春』で使っています。

note.com

 

・友達の唄 / BUMP OF CHICKEN( 2011/2/23 )

www.youtube.com

 7th Album『RAY』に収録されている楽曲で、「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」の主題歌でもあります。

 これもかなり好きな曲なので色んな曲に応用されている(サビのギターリフとか)んですが、最も強く反映されているのは『startrail』です。2 番 A メロから B メロにかけての雰囲気とかは露骨にそうですね。

startrail / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 作詞面。

BUMP OF CHICKEN 友達の唄 歌詞 - 歌ネット

 直接のリファレンスにしたというわけでもないんですが、『ステラグロウ』の歌詞を書いていた頃( 2020 年 10 月頃)に『友達の唄』をちょくちょく聴いていたということもあって、『ステラグロウ』という曲のテーマ的な部分にはかなり深く関係しているような気がするなと、個人的には思ったり思わなかったりします。

note.com

 テーマ的なところと言うのであれば「『必然的な別れ』を肯定する」ということがそのまま『ステラグロウ』ですし、情景だとか何だとかという点でいうなら、1B メロの歌詞なんかは露骨にそうですね。

 

・pinkie / BUMP OF CHICKEN( 2010/04/14 )

open.spotify.com

 16th single『HAPPY』カップリング曲として収録されています。BUMP をそこそこ知っている人でも知らないがちな立ち位置の曲で、なぜならそのシングル以外のどこにも収録されておらず、ライブでも数回しか披露されていないためですが、僕はめちゃくちゃに好きな一曲です。

 この曲もこの曲で年がら年中、毎日のように聴いているので大体の楽曲制作へ諸々が反映されているのですが、その傾向が最も強いのは『未完成の春 (2020 Band ver.)』です。

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

両方を比べて聴いたらたぶん笑っちゃうんじゃないかってくらい露骨にリファレンスにされています。全体的な音使いとか、急にアップテンポになる展開とかもそうですね(『pinkie』は 2 サビからですけど)。

 作詞面。作詞を始めた頃に BUMP の歌詞を片っ端から写経したことがあって。写経といっても手書きじゃなくて .txt に打ち込んでいっただけですけど。そういうこともあって自分の歌詞はもう BUMP OF CHICKEN の影響を多分に受けまくっているのですが、中でも特に影響されているものがいくつかあって、『pinkie』はその一つです。

BUMP OF CHICKEN pinkie 歌詞 - 歌ネット

1 番のフレーズを少し変えて 2 番で使うのとか、そういった手法的な部分もそうで、あとは言葉選びとか全体的な並べ方とかですね。比べてみると面白いんじゃないかと思います。

 

・アリア / BUMP OF CHICKEN( 2016/08/17 )

www.youtube.com

 五年前の曲ですが最新アルバムであるところの 9th Album『aurora arc』に収録されている楽曲です。「仰げば尊し」というドラマの主題歌だったらしいです。編曲面でとても参考にしている曲で、『未完成の春 (2020 Band ver.)』以降の楽曲、だから『ステラグロウ』、『リスティラ』、『消えたポラリス』あたりですが、それらすべてのリファレンスプレイリストにこの『アリア』が入っています。全体的な楽器バランスが自分の理想とする音楽にとても近いような気がしていて、メロとコード(と歌詞)がある程度で揃って、「ここからどんな風に編曲していこう?」と考えるタイミングになると、「まあとりあえずね」くらいの感覚で『アリア』を頭の片隅に置いています。その結果、『リスティラ』みたいに全然違う曲になるということも当然あるわけですが。

 具体的にどこをリファレンスにしているかというと、これは以前あふきち(所属サークル「吉田音楽製作所」において隔月で発行されている部誌のようなもの)でも書いたのですが、ペダルポイントによる持続感です。この曲はずっとソ(移動ド)の音をシンセパッドで持続させていて、それ以外の要素も多分に関与していますが、結果として生まれる一曲を通しての統一感というか、そういうのがめちゃくちゃ好きで。自分の曲だと『未完成の春 (2020 Band ver.)』辺りからその片鱗がみられると思います。『アリア』ほど露骨ではありませんし、そもそも転調しまくるのでアレですが、一曲を通してペダルポイントをかなり意識しています。

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

あとは『消えたポラリス』とか。編曲の担当は僕ではなくソニオルさんですが、共有のタイミングで作曲の意図をちょくちょく伝えたときに、そういう話をしたようなしていないような記憶があります。

twitter.com

youtu.be

 

・コロニー / BUMP OF CHICKEN( 2015/04/22 )

www.youtube.com

 24th single『Hello,world!』カップリングとして収録されている楽曲で、映画『寄生獣 完結編』の主題歌です。

 編曲面でめちゃくちゃ参考にした曲で、具体的には『未完成の春 (2020 Band ver.)』の 1 番でずっと鳴っているピアノの感じがこの曲の影響されています。

未完成の春 / 一葉 feat. 初音ミク - YouTube

 これもペダルポイントと言えばペダルポイントで、トップノートは変えずに左手のルート音だけ少しずつ変えていく、みたいな(ピアノ弾きからすると「常識では?」みたいな感じかもしれませんが)。『未完成の春 (2020 Band ver.)』の A メロでは主音であるド(移動ド)をトップにしていて、サビではレ(移動ド)をトップノートとして固定しています。これは『コロニー』から降ってきたアイデアですね。

 

・Aurora / BUMP OF CHICKEN( 2019/3/15 )

www.youtube.com

 9th Album『aurora arc』に収録されている曲で、「グッドワイフ」というドラマの主題歌だったらしいです。僕が 2019 年の前半まで一番聴いていた BUMP の曲は先述の通り『ray』ですが、それ以降は現在に至るまで恐らくこの『Aurora』だと思います。

 編曲面。『アリア』や『記念撮影』と同様に、一曲を通して聴いたときの一体感をとても気に入っていて。というのも、この曲も一曲中でずっと同じギターリフが鳴っているんですよね(コードに合わせてちょくちょく変化していますが、基本形は同じ)。あとは空間深めのピアノとか。これらについては『アイ』へ露骨に反映されていますね(ピアノは 0:55 辺りから)。

Stream アイ feat. 初音ミク by ITSUHA. | Listen online for free on SoundCloud

 ギターリフ。上で言っていた「一曲中でずっと鳴っているギターリフ」がものすごく好きで、ギターを手に持ったときに手癖で弾くフレーズの一つなんですが、それが『ステラグロウ』のサビに組み込まれていたりします。以下リンクの 0:45 からがサビで、その冒頭 8 小節でずっと鳴っているギターリフのことです。

『Aurora』もそうですが、このリフは基本ドとレとソ(移動ド)で構成されていて、『宝石になった日』なんかで見つけた感覚といい感じに噛みあった結果でもあったりなかったりという気がするようなしないような。

 

----------------------------------------

〇おわりに

 なが~~~~。長すぎ? このテキストを打ち込んでいる最中、そこまでの文字数を確認する手段がないので特に気にもしていなかったのですが、いま数えてみたら 15,000 字以上あるらしいです。ウケる。まあリンクとかでかなり余分に数えられていると思うので、それらを除いて 10,000 字とかですかね。それでも書きすぎ(嘘で、はてなブログ曰く普通に 15,000 字でした。ウケる)。

 マジで長々と書いてしまいましたが僕の言いたいことは一つで、BUMP OF CHICKEN をよろしくおねがいします。本当に。

 

※ 2021/12/12 現在の最新リリースは 2021/11/01 の『Small world』です。

www.youtube.com