風景画

 

 今日はクリスマスイブらしい。他人からそう言われるまで気づかなかった。もうじきに十二月が終わるなあとか、その程度の認識。思えば忘年会やら何やらがあり、それはつまり今年が終わろうとしているということであって、まあ要するに当たり前のことだった。同じような毎日ばっかりを繰り返しているから、考えようともしなかった。

 それならいっそずっと同じ場所を回っていられたらいいのになあ、と思う。代わり映えなんてほとんどしないくせに、ふとした一瞬で終わってしまうのが日常とかいうやつの悪趣味なところ。何事にも終わりはあって、でもなんていうか、それは今から少し離れた場所にあるような気が何となくしていて、そんなことは実際ありえないって分かってるつもりだし、そういうことも何度だって書き連ねたけれど、だけどやっぱり、分かってるつもりでしかなかったなあって思う。最後が来るたびに思う。

 馬鹿だな、と思った。自分が。当たり前に頼ってたんだなと思った。なくなって困るものだとは分かっていたけれど、なくなるなんて考えたこともなかった。いつも通りがいつも通りに続いていって、どうしようもないねって最後がやってきて、そうやって離れ離れになるんだろうかなんて心のどこかで安心しきっていて、なんていうんだろうな、後回しっていうか、先にこなすべきことなんて何一つもないのに。意味がないんだよな。意味がないんだよ、それだったらさ、全部が。

 思いのほか苦しかった。本当の意味で知り合ってからまだ一年も経っていないのに、なのにこんなにもダメージを受けるものなんだなと、一周回って驚いたくらい。一晩眠ったらだいたいが元通りになったけど、でも、いまもなんだか空っぽな感じがする。こんなときにへらへら笑っててもいいのかなって思うし、というか笑いたくないし、笑い声の中にもいたくないし。全部嘘だよなあと思う。実際、全部が嘘だったし、だから目の前の全部も嘘なんだろうなって気がする。きっとなんて言えない。

 この一年、本当に何の意味があったんだろうな。自分に訊いてる。答えられない。