daikichi18_第一回投票


 大吉音 18 収録にあたって投票した曲について、公言してもよい(もちろん、しなくてもいい)とのことだったので開示ついでに感想戦をします。

 

 

 

〇入れるかどうかを迷いまくった曲

 毎回のことなんですが 2 点、3 点の曲はあまり苦労せずに決まり、一方で 1 点曲を絞り込むのに無限時間かけています。以下で紹介するのは、数ある「 1 点入れるかどうか迷った曲」の中でもさらに「 1 点入れるかどうかをマジでめちゃくちゃに迷った曲」です。マジで迷った! 仮に 1 点曲を 11 曲まで選んでよいという投票設定だったら全部に入れてました(意味ない)。

 


172_19:世界革命 / nion

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 自分の中では長らく「 nion といえば『サイント』!」という気持ちだったのですが、コサメガ主催の『 172 号聴く会』へ立ち会ったときに「めちゃエエヤンケ……」となり、結果、ギリギリまで迷う羽目になりました。陰鬱な A メロからのサビの解放感!(開放感でもある!) ……と言いながら A メロが一番好きです。

 


173_4:Follow my heart / パリ

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 パリが全然ライブで歌わないので記憶から消し飛んでいたんですが(責任転嫁)(嘘で、ひとえに自分のせいです)、コサメガ主催の『 173 号聴く会』ですべてを思い出し、「そういえばこれがあった~~~~」という気持ちでした。「好きだから」という理由だけでゴリ押すかどうかを悩みまくり、悩みまくって。悩みまくった末に断念しました。いやでも、マジで好きなんですよね、この曲。なんていうか、「音楽が好きです!」って感じが一曲を通してめちゃくちゃに伝わってきて(自分が勝手に受け取っているだけかもしれないが)。クオリティは無論のこと大切なんですけど、でも忘れちゃいけないものって他にもたくさんあるよねという。

 


174_4:BoundForUnknown / MES19

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 これね~~~~~~~~~。聴き大会のときも「ぐわ~~~~~~~」ってなった記憶があるんですが何故か記憶が消し飛んでおり、これもまたコサメガ主催の『 174 号聴く会』へ立ち会ったときに「ぐわ~~~~~~~~~~~~~」となってすべてを思い出しました。クラブミュージックへの造詣が深くないので用語が分かんないんですが、後半のエキゾチックサイケペペペペーシンセゾーンがマジ好きで。シンプルでカッコいい! こういうの、自分は作りたいと思っても絶対に作れないので本当に尊敬してます。

 


・174_9:Kamogawa Hallucination / kosamega

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 いや~~~~、これマジで好きで。『On the Last Day』に端を発する光の差す感じの破壊と創造 kosamega ミュージックというよりは、ただただ静かな停滞と緩やかな破滅があるだけって感じの。なんていうか……、陰鬱? でもないんだよな。妙に気怠い午後三時、廃校になった校舎の二階をひとりであてもなく歩いてるみたいな。なんか、そんな感じの気分になる。なんていうか、風景を想起させられる(=疑似的に視覚に訴えることのできる)音楽ってほんとにすごいな~と思っていて(こっちが勝手に妄想してるだけだけど!)。やっている音楽がそもそも違うというのは勿論あると思うんですけど、それはそれとして、これもまた自分には絶対にできないことなので。

 


・175_16:深海魚 / Σ

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 聴き大会時の記憶が頭の片隅に留まっており、コサメガ主催の『 175 号聴く会』で再会して「うわ~~~~~~~」になりました。Σ君といえばエレクトロ系のイメージがどうしても強いんですが、その点、『深海魚』はマジ往年のベリーグッドボーカロイドミュージックを地で行っていて。最後、落ちサビから溜めに溜めての転調とかね(ネタバレ)。これもこれでマジ大好きな一曲で、本当にギリギリのギリギリまで入れるかどうか迷っていました。

 


〇 1 点曲

 マジで迷いまくった末に残った曲です。言うほど強く意識しているってわけでもないんですが、投票曲はジャンルがなるだけ偏らないように、という気持ちで毎回選んでいます( 2 点、3 点も同様)。

 


・171_6:宵の明星 / mamezo

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 クラシック調(?)枠。たしか自分が四回生の、だから二年前の九月ライブで流れたような流れなかったような、そんな記憶が曖昧ながらもあるんですが。ともかく、初めて聴いたときからめちゃくちゃに食らった曲でした(マジで食らった)。全部良い。全部良い。全部良いですよね、なんか、怖いくらいに。自分は普段こういう曲全然聴かなくて、だからなんていうか、この楽曲を称賛するための言葉も素養もまるで持ち合わせていないんですが。それでもそれなりに感じたことを書き起こすとすると、ピアノのフレーズがまずもってめちゃくちゃ綺麗だなと思って。弦へ主旋律譲るとことかもめちゃグッとくるんですけど、いやでもやっぱピアノのラインが綺麗すぎる~、全体を通して。その、たとえば二点、三点を入れるくらいに推している曲だったとしても、仮にそういう曲を自分が作れるようになったとして嬉しいかといえば、必ずしもそうではないみたいな話があって。でも、一生に一度でもこんな曲作れたらめちゃくちゃに楽しいだろうな~って、『宵の明星』は聴くたびにそう思います。

 


・173_3:できそこないフライト / Imanishi

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 疾走ロック枠。最初聴いたくらいの頃から既に「ぐわ~~~~」となっており、早く mix しなおした音源を YouTube に公開しなさ~~~~~いって一年以上前から言い続けています、本当に。真面目な話、展開の魅せ方が好きで。特にサビ前の七拍子。ああいったトリッキーさは当時の Imanishi 曲の特徴の一つかなと思うんですが(本当?)、それを大してカッコつけることもせずにサッとこなし、そのままサッと次の展開へ行くのがもうマジでカッコいい! こういう変拍子の組みこみ方、なんならめちゃくちゃ教えてほしいくらいです。

 


・175_3:Summer Cocktail / なずしろ

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 通常歌モノ枠。この曲、マジでめちゃくちゃに好きなんですけど、投票結果みてみたら自分以外の人も大概好きらしくて笑ってました。終始おしゃれなフレーズを奏で続けるピアノとか、なんかよく分かんないけど良い感じの動きをし続けるベースラインとか、程よい余韻を残して消えていくリードギターとか、なんかもう全部が好きで。なんか、なんだろ。「なんかもう全部が好きで」以上に言うこと特にないんですけど。強いて言うなら、この曲もこの曲で『Kamogawa Hallucination』みたいに情景を想起させられる楽曲だな~と思っていて。思うに、自分はその要素をとても気に入っているのだろうっていう。あと、これは完全に関係ない話なんですが、『Summer Cocktail』と『深海魚』のどちらに 1 点を入れるかで最後の最後まで悩んでいました。

 


・175_11:Dysnomia / Mint

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 ハードめクラブミュージック枠。公開当時からめちゃくちゃに好きでした。適切な用語を扱えているかという問題はこの際置いておくことにして、なんていうか、ハード系(メタル系?)のロックサウンドからワルいシンセの犇めくドロップへ雪崩れ込む楽曲が本当に好きで。というのは単純な理由としてあるんですが、他に推したいポイントとしてはロックパートのドラムスのフレーズですね( Mint 君がドラマーであることに関係する?)。リズム隊がマジでキマりまくってるんですよ、この曲。特に 1st drop のあと。なんか、あまりに自然だからサッと聴き流しちゃうんですけど。自分で曲作るときに毎回毎回ドラムの打ち込みで悲鳴を上げている身としては、「やってんな~~~~」って感じです。なんだろ、リズムそれ一つだけでも十分成立するくらいの、それくらいの強度があるなって。そういうのも含めてお気に入りの曲でした。

 

 

・175_13:夜と傷 / 人間マン

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「好きだから」という理由だけでの投票枠。毎回毎回、好きだからって理由だけでクオリティ等の一切を度外視して票を入れる曲が一つあるんですが、今回は人間マンくんの『夜と傷』がそれでした。『Follow my heart』のところでもちょっと書いたんですが、音楽としてのクオリティはもちろん大切で。それを蔑ろにすることは違うと思うんですが、一方でそれはそれはとして、他にも忘れちゃいけないものがたくさんあるだろ! という気持ちもあるにはあって(誰への叫び?)。そんな大切を自然と思い出させてくれる音楽が自分は本当に大好きで、クオリティとか関係なしに。そういう意思表明としての 1 点です(誰へのアピール?)。……この曲、『夜と傷』は聴き大会で聴いたときから、何ならライブで初めて聴いたときからかなりの衝撃を食らっていて(聴き大会の discord チャンネルをみにいったら、この曲の好きなところを全部むかしの自分が書き込んでいた)。「自分が大吉に収録されてほしいと思う楽曲を選んでください。」(投票フォームに掲載されていた文章)というのであれば、この曲を入れないと全部が嘘になる! とそう思えたくらいには好きな楽曲です。

 


・175_14:Dummy Head / MOAN Sound

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 BGM 枠。本人たちはおふざけ(?)で作ったらしいですが、自分としてはとても好きな一曲です。いや真面目な話、この曲めちゃくちゃ良くないですか? 探索系ゲームのマップ BGM みたいっていうか、こんな良い BGM の流れるステージがあったら入り浸りますって、間違いなく。ジャンル的には Ambient ……で合ってるんですかね、分かりませんけど(ホンマに合ってる?)。『宵の明星』と同じで、自分で作れたらマジ楽しいだろうな~~~、って思います。特にカッコいい展開やキメキメのフレーズが詰め込まれているというわけでもないのに、というかむしろ単調なくらいなのに、なんだろ。飽きさせないというのとはまた違っていて、飽きる飽きないとかじゃないっていうか。自然? いや、だからそれこそ BGM なんですよね。ものすごく自然に四分を経過する。すげ~。

 


〇 2 点曲

・172_20:On the Last Day / kosamega

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 穏やかインスト枠。マジで好き!!!!!!!!! マジで好きです、本当に、嘘偽りなく。初めて聴いたときからもうめちゃくちゃに好きで、何が好きかってオタク語りをするんですけどこれから。『Kamogawa Hallucination』や『Summer Cocktail』でも同じことを言っていたんですけど、情景描写としての音楽!!! 『On the Last Day』はその一点があまりにも極まっているなと思っていて。その、どんな音楽でもイヤホンをして目を閉じてって、そうしたら幾つかの景色は大なり小なりみえてくるはずと思うんですけど(嘘で、人に依るかもしれない)。なんていうか『On the Last Day』は、そう、感覚的には映画の域なんですよね。あるいは夢? いや、自分で言っといてなんですけど夢のほうが感覚的に近いです、自分的には。よく言われますけれど、夢って体感時間上は長く感じても実際にみている時間はほんの数分だとか。いや、だからそれなんですよ、『On the Last Day』って。たった七分弱の間に一時間半くらいある映画を観たみたいな、そういう気分。伝わってほしい~~~。最後の最後に満を持して展開されるピアノフレーズもかなり好みで、起承転結~~~~。起承転結。夢遊? そういうの!

 


・173_1:回想車 / マコトシアカ

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 真っ直ぐポップス枠。もはや逆に何も言うことないです。嘘で、言いたいことはめちゃくちゃあって、というかどんだけ良い曲作んねん!!!!!マコトシアカ!!!!!!! って気持ちです、とりあえず(呼び捨てにしてごめん)。こんなこと言うのもアレですけど、なんていうか、マジのマジに自信(?)を粉々に打ち砕かれた一曲で。後にも先にも、この曲以上にそういったインパクトを食らう楽曲はないんじゃないかって気さえします。それくらいやられた。いまだから言うんですけど(マジ全然関係ない話なんですけど)、『回想車』で自信をズタズタにされ「このままじゃダメだ~~~!!!!!」って気持ちになって、それを一因として『リスティラ』が生成されました(当初『リスティラ』のリファレンスには『回想車』があった)。でも、全然勝てた気がしない! 音楽って勝ち負けじゃないけど! じゃないけど、それはそれとして! いや、本当に凄いと思います。こんな素晴らしい楽曲を生み出してくれる人と同じサークルにいれて、マジで幸運だな~とも思います。

 


・175_2:しゃぼん玉フロート / マコトシアカ

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 オシャポップス枠。こういった曲調の音楽を自分は普段全然聴かなくて、そんな人間であってもそれでも惹きつけて離さないだけの魅力と強度があるな、と思います。街で偶然耳にして shazam するみたいな、そういう意味。何様だよって目線のコメントをしてしまって申し訳ないんですけど、いやでも、そのくらい完成度の高い、それでいて単に完成度の高いというだけでない楽曲だなと思っていて、本心から。いや~、めちゃくちゃ好きです。ボーカルのニュアンスもちゃんとこだわってるっぽくてすごいな~というのも勿論あり。自分はかなり適当に済ませてしまうので。三分弱の曲なのに一回聴いただけでもすげ~と思う要素が多すぎて、いちいち全部に触れてたら言葉があまりに足りないよ~って感じです(いま思い出したけど、尺が短いのもすごい。いや正しくは、三分足らずしかないのにそうと思わせない構成力がすごい)。ほんとにすごいと思う、マコトシアカ君。

 


・173_14:Finalizer / ITSUHA.+Rakuno.α

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 疾走インスト枠。「自分の曲に票入れるのどうなん~」って後ろめたさにも似たささくれがありつつ、それはそれとしてこの曲は(これまでも何度か言っているんですが)九割くらい(控え目に見積もっても八割くらい)Rakuno.α の曲で。自分の携わった曲としても勿論好きなんですけど、それはそれとして Rakuno.α の制作した曲という側面をしてもめちゃくちゃに好きな曲で。なんていうか、音ゲー曲に課せられた「二分以内」という制約の中で、それでも全体を通してそれなりにうまくまとまっているように思えるというか(手前味噌っぽいですけど……)。そういう意味で自分の中での評価値が高かったです(一般に、二分以内で展開のまとまった曲を作るのはムズい)。……曲がりなりにも自分が関わっているのであんまり語ることないな。結構色んな人に投票してもらえてるっぽくて嬉しかったです、ありがとうございました。

 


〇 3 点曲

・172_3:Come Tonight / Noctavation

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 横ノリダンスミュージック枠。どこが好きって言われたら難しいんですけど。いや、本当は全然難しくなくて、むしろ一言で説明できるくらい単純なことなんですけど。聴いてるとめちゃくちゃ自然に身体が動くな~、っていう、言ってしまえばただそれだけの。でも逆に言えば、一見たったそれだけのことに思えるような理由だとしても、それでも迷わず 3 点を入れたくなるくらいには、自分にとってはとても魅力的な楽曲なんですよね。なんかもう、『Come Tonight』をバカでかいスピーカーで一生聴いていたい以外の感情がないし、それはそれとして夜の散歩中にもずっと流していたいです。って話だけで片づけるのもあれかなと思うのでここ好きポイントを挙げておくと、一曲を通して Bass(で合ってる?)の存在感が絶妙だなってのと、あとは 2nd drop で一瞬だけ変なピッチ感になるベースラインがあまりに好きすぎ。補足で、パーカッションのアタック感がシンプルかつ小気味良くて。そういった諸々から生じているのであろう横ノリ感っていうか、心地良さみたいなのが何よりも好きです。

 


・175_15:Looking for / がき

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 バラード枠、……というとちょっと違う気がしますけれど、気持ち的にはそんな感じで選びました。これに関しては、なんかもう、どうして選んだのか自分でもよく分かってないです。ただなんていうか思うこととして、好きなものに順位をつけたいわけじゃないんですけど、結果的にはそれと変わらないことを自分は(あるいは、投票者全員が)やっていて。別にライブや何やがなくたって、バイト先へ向かう途中の電車だとか散歩中だとか、日常生活の合間合間に何度も繰り返し聴くくらいには好きだった曲はたくさんあって。投票した曲としてこれまでに紹介したものの中にも、あるいは今回は投票を見送ったものの中にも、本当にたくさん。でもなんていうか、そういう一切を全部ぶち破ってきたのがこの『Looking for』で。当時の聴き大会時点で記憶に引っ掛かってたってのは当然あるんですけど、ただ、例の『 175 号聴く会』で聴いたのが本当に久しぶりって感じで。たぶん半年ぶりとか、それくらい。なのに、「ああ、3 点入れるとしたらこれしかないわ」って。本当にびっくりするくらい自然な感覚としてそういう気持ちが在って、いつの間にか。他の投票曲は勘違いに思い込みを重ねたものだとしても、「こういうところが良いと思ったから」って主張できるくらいには自分なりの理由を以て選んだつもりだったんですけど、なんていうか。それで言うなら『Looking for』はものすごく本能的に選んだな~って感じです。「あれが好き」「これが好き」って感覚をすっ飛ばして選んでしまう程度には突き刺さったっていうか、自分の心臓にめちゃくちゃ近い音楽だなあって。本当に、順位をつけたいわけじゃないんですけど、本当に。ただ、どうしても言いたいので先のように断った上で書くことにするんですが、第一回の投票対象曲の中で一番好きな楽曲でした。

 


〇終わりに

 好きなものに順位をつけ、さらには取捨選択をし、しかもその結論が間接的に相手へと伝わり。この地獄は? って気持ちです、いつもいつも、大吉投票のときは。でも、だけど決して無意味ではないよなと思っていて。こうして選ぶ必要性に迫られて初めて、自分の中にある曖昧なままの「好き」が整頓されていくっていうか。……2021 年聴いた音楽 BEST10 のときも同じようなことを思った気がする(気がするではなく、間違いなく同じことを思っていた)。

 あと三回もあるんですね、これが。やば~。残りの投票も真面目に考えます。今回みたいに投票先を開示するかどうかは、そのときの気分次第ですけれど……。