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未完成の春 青色の熱が君に解ける
十月の教室の隅っこで そんな言葉を白紙に零した

未完成の春 雨の匂いに暗がりは沈む
誰も星も月もない夜が 翳した傘を叩いていた

水影に残響音 塞ぎ込んだ空を飛び越えて
そっと口ずさんだ この唄が 掠れた声 聞こえなくても

ああ いつか 出会った僕らを待っていたんだ
散々な現実が 望んだはずもない朝が

それでもさ きっと 扉を開くから
きっと 笑い返すから

君と過ごした当たり前を 君と交わしたさよならを
時が経って 全部忘れて だけどそれでも失くさないよ

消えた七つ星の温度は この唄に残しておくから
春の空にまた出会う そのときは 初めましてだね

 

 

 

コード進行について色々5

 

 いまとなっては遠い過去のこととなった頃にコード進行についてまとめたページをあらためて読んでみると、「いや、それは単純にこういう仕組みやろ」と思うことが多く、成長を実感する反面、マジで適当に書いてたんだなと、他人事のように実感しました。

 

 今回は転調についてつらつらと書きます。コード進行については基本的に ufret(なければchordwiki)なんかを参考にしています。毎回書いてるかどうか忘れちゃったんですけど、これらはやはり自分用のまとめをついでにブログへはっつけたものなので、適当に書いており、というわけで話半分に読んでもらえればと思います。

 自分が普段聴いている音楽の中でも一部のアーティストの曲しかコードを読まないので、リファレンスがかなり偏っています(具体的には田中秀和堀江晶太神前暁、BUMP周辺に)。

 転調先の頭にあるコードの種類や転調の仕方なんかで分けて、なるべく多くの例を挙げようと思ったんですが、そうこうしているうちに十時間が経過したので、他に何か見つけたらまた別の記事で書きます。

 

 

 

〇短二度転調(上)

  いわゆる半音転調。半音下への転調は大体落ちサビに向けてのアレだったりするので、そうではなく普通に半音転調してるやつを一つ探してきました。

 

・UNION!! / 765 MILLION ALLSTARS(Bメロ→サビ)

叶えたい景色が あるから! (いち・にの・さん・レッツ・ゴー!) 全力で 目指そう 頂点 (いただき!)

| Dm7 --- | Dm7 --- | G --- | G# --- || C# --- | F7 --- | A#m --- | G# --- |

| IIm7 --- | IIm7 --- | V --- | #V --- || I --- | III7 --- | VIm --- | V --- |

 

 四小節目から五小節目で C から C# への短二度転調。転調時の #V – I は転調先からみると V – I 。#V は同主調のコードなので(という説明が正確かは分からないけれど)半音転調時でなくとも頻繁に用いられる(bVI - bVII - I が頻出)(半音転調のときにも勿論使える)。

 

 

 

〇長二度転調(上)

  長二度上への転調、場合によりますけど、一気に視界の開けるような感じがして、それが好きです。オープンワールドの草原みたいな。

 

・オツキミリサイタル / じん(Bメロ→サビ)

「弱虫な僕には、ダメだよきっと…」 だけど信じる、君だから。真っすぐ前を向いて?

| F#m7 --- | F#m7 --- | Am7 --- | Bsus4 – C# - || F# --- | A#7 --- | D#m7 --- | C#m7 – F#7 - |

| IIm7 --- | IIm7 --- | IVm7 --- | Vsus4 - VI - || I --- | III7 --- | VIm7 --- | Vm7 - I7 - |

 

 四小節目から五小節目で E から F# への長二度転調。転調時の VI – I は転調先からみると V – I 。Bsus4 – C# – F# で E→F→F# の半音移動がある。

 

 

chocolate insomnia / 羽川翼(CV: 堀江由衣)(サビ前半→サビ後半)

本当は ずっと 識らなかった 眠り姫はね 王子のキスを

| D7 --- | Gm -- Am | Bbm --- | C - D7 - || G --- | C --- | D7/F# --- | G - G7/F - |

| VI7 --- | IIm -- IIIm | IVm --- | V - VI7 - || I --- | IV --- | V7/VII --- | I - I7/bVII - |

 

 四小節目から五小節目で F から G への長二度転調。転調時の VI7 – I は転調先からみると V7 – I 。

 

 

 

〇長二度転調(下)

  落ちたって感じはそんなにしない。でも、雰囲気は変わる。

 

chocolate insomnia / 羽川翼(CV: 堀江由衣)(間奏中)

| C7/E --- | F --- | C/Bb --- | F/A --- || Bb/D --- | Eb --- | Ab -- Bbsus4 | ---- |

| V7/VII --- | I --- | V/IV --- | I/III --- || V/VII --- | I --- | IV -- Vsus4 | ---- |

 

 四小節目から五小節目で F から Eb への長二度転調。転調時の I/III – V/VII は転調先からみると II/#IV – V/VII 。

 

 

グングニル / BUMP OF CHICKEN(Aメロ→Bメロ)

その真偽を確かめる旅に出るとする 誰もが口々に彼を罵った

| Bbm --- | Db --- | Ab --- | ---- || Abm --- | Gb/Bb - Gb - | E --- | ---- |

| VIm --- | I --- | V --- | ---- || VIm --- | V/VII - V - | IV --- | ---- |

 

 四小節目から五小節目で C# から B への長二度転調。転調時の V – VIm は転調先からみると VI – VIm

 この転調、めちゃくちゃ好きです。一気に世界変わった感じがして(歌詞もこの前後で雰囲気変わるんですよね。良い)。

 

 

 

〇短三度転調(上)

  みんな大好き短三度。上へ転調する分には予告コードなんてなしに適当やっても何とかなる、というイメージがあります(その通りだったり、そうでもなかったりする)。例で挙げたのがサビで上がるやつばかりなんですけど、Bメロで上がってサビで落ちるというタイプもあり、それも良きです。

 あとこれはマジでどうでもいいんですが、自分の中で短三度転調といえば神前さんです。

 

・HAPPY / BUMP OF CHICKEN(Bメロ→サビ)

片付け中の頭の上に これほど容易く日は昇る 悲しみは消えるというなら 喜びだってそういうものだろう

| Bbm7 --- | Cm7 --- | Db --- Dbsus4 - Db - | Ebsus4 --- Eb - Gb - || B --- | Gb/B -- E | B --- | Gb/B - E - |

| IIm7 --- | IIIm7 --- | IV --- IVsus4 - IV - | Vsus4 --- V - bVII - || I --- | V/I -- IV | I --- | V/I - IV - |

 

 四小節目から五小節目で Ab から B への短三度転調。転調時の bVII – I は転調先からみると V – I 。

 

 

・リボン / BUMP OF CHICKEN(サビ→後奏)

ここはどこなんだろうね どこに行くんだろうね 迷子じゃないんだ 嵐の中をここまで来たんだ 嵐の中をここまで来たんだ

| G#m7 --- | A#m7 --- | B - C# - || A - E/G# - | F#m - E - | D - A/C# - | Bm7 - E - |

| IIm7 --- | IIIm7 --- | IV - V - || I - V/VII - | VIm - V - | IV - I/III - | IIm7 - V - |

 

 三小節目から四小節目で F# から A への短三度転調。転調時の V – I は転調前からみると V – bIII 。ぬるっと転調する。

 

 

・八月、某、月明かり / ヨルシカ(Bメロ→サビ)

夜風が鼻を擽ぐった この胸の痛みは気のせいだ わかってた わかった振りをした 最低だ 最低だ 僕の全部最低だ

| D#m --- | ---- | C# --- | ---- | F# --- | G# --- | C# --- | --- E ---- | Gdim --- --- G# | ---- || A --- | B --- | E --- | C#m --- |

| IIm --- | ---- | I --- | ---- | IV --- | V --- | I --- | --- bIII ---- | #IVdim --- --- V | ---- || IV --- | V --- | I --- | VIm --- |

 

 十小節目から十一小節目で C# から E への短三度転調。半音進行での転調。突然入ってくる bIII(転調先での I )のおかげか、あ、転調しそう、という気持ちになる(めちゃくちゃ良い)。

 

 

シリウス / BUMP OF CHICKEN(Bメロ→サビ)

透明な思いの 盾と剣 これは誰のストーリー どうやって始まった世界

| A#m7 --- | Cm7 --- | C# --- | D# --- || G#m --- | -- F#/A# - | B --- | -- B/D# - |

| IIm7 --- | IIIm7 --- | IV --- | V --- || VIm --- | -- V/VII - | I --- | -- I/III - |

 

 四小節目から五小節目で G# から B へ短三度転調。転調時の V – VIm は転調先からみると III – VIm 。お手軽。

 

 

 

〇短三度転調(下)

  サビでキーが下がるのって何となく落ち着きそうなイメージあるんですけど、そのようなことは全くなく、曲調にもよるんでしょうけど普通に盛り上がります。カッコいい。

 

・流れ星の正体 / BUMP OF CHICKEN(Bメロ→サビ)

ゴールなんてわからないままで いつまで どこまで 時間と距離を飛び越えて 君のその手からここまで来た

| D - C#m7 - | Bm7 - E - | C#7 - || F# - B - | C# - Ddim - D#m - C# - |

| IV - IIIm7 - | IIm7 - V - | III7 - || I - IV - | V - #Vdim - VIm - V - |

 

 三小節目(二拍)から四小節目で A から F# への短三度転調。転調時の III7 – I は転調先からみると V7 – I 。E – C#7 – F# で E→F→F# の半音移動がある。

 

 

・近日公開第二章 / PENGUIN RESEARCH(Bメロ→サビ)

間違いだらけの あの日の続きをやろう 馬鹿みたいにさ 笑って 挑んで 痛くて 泣いて

| Dm --- | Em --- | Fm --- | Gm --- | Asus4 --- | A --- || D --- | E --- | F#m --- | C#m --- |

| IIm --- | IIIm --- | IVm --- | Vm --- | VIsus4 --- | VI --- || IV --- | V --- | VIm --- | IIIm --- |

 

 六小節目から七小節目で C から A への短三度転調。転調時の VI – IV は転調先からみると I – IV 。転調前の VIsus4 – VI はピカルディ終止。

 

 

・才悩人応援歌 / BUMP OF CHICKEN(Aメロ→Bメロ)

問題無いでしょう 一人くらい 寝てたって 生活は平凡です 平凡でも困難です

| F#add9 --- | G#sus4 - G# - | A#m7 --- | ---- || Dm/G --- | Gm7 --- | Dm/G --- | Gm7 --- |

| IVadd9 --- | Vsus4 - V - | VIm7 --- | ---- || IIIm/VI --- | VIm7 --- | IIIm/VI --- | VIm7 --- |

 

 四小節目から五小節目で C# から A# への短三度転調。転調時の VIm7 – IIIm/VI は転調先からみると Im7 – IIIm/VI 。短三度の移動なので普通に馴染んで聴こえる。

 

 

 

〇完全四度転調(上)

  何も分からん。

 

FPS / neru(Bメロ→サビ)

まるでヒトの黒い部分を象ったような この冷酷な引き金に 全てを込めて それじゃ、サヨナラバイバイだ 愛するこの街よ

| C#M7 --- | G7 --- | C7 - C7/E - | Fm --- | B/E --- | ---- | D#7(#9) --- | F7 --- || A#m7 --- | F#M7 --- | G#6(9) --- | C# --- |

| IVM7 --- | VII7 --- | III7 - III7/#V - | VIm --- | bIII/bVI --- | ---- | V7(#9) --- | VI7 --- || VIm7 --- | IVM7 --- | V6(9) --- | I --- |

 

 八小節目から九小節目で G# から C# への完全四度転調。転調時の VI7 – VIm7 は転調先からみると III7 – VIm7 。

 様々な解釈が可能だとは思うんですが、個人的には G# から同主調の B を経由して C# へ飛んでいるっぽい印象を受けました。四小節目から五小節目にかけての VIm – bIII/bVI で B へ部分転調、bIII/bVI は同主調の I/IV 。そこから G# での V7(#9)、B での III7(#9) へ進行。#9 がテンションされている(スケール内の音なので厳密にはオルタードではないっぽいけれど)ので、マイナーなのかメジャーなのかよく分からないという状態で G# での VI7 、B での #IV7 、C# での III7 へと進行。ここでボーカルラインが C に着地して、ああ C# に転調したんだな、という気持ちになって全部分かる。7(#9)のコードが鳴っている間、ボーカルは B と C# のスケールに共通の音だけ(具体的には A# と C# だけ)を唄っていて、それもそれで要素の一つっぽい。

 

 

 

〇増四度転調(上?)

  完全四度以上に何も分からん。

 

・Prencess Be Ambitious!! / PRINCESS STARS(間奏→Aメロ)

ダーリン♡ドラマの ワンシーンみたいに Fallen’ 恋して… Prencess Be Ambitious!! フェイス ネイル メールチェック 睡眠減少中

| G# --- | G#/C --- | Fm7 --- | EM7 --- B/F# - F# - | G#7sus4 --- | ---- - G#7 -- | G#7sus4 --- | - F#M7sus4(omit5) -- || B11(omit3) --- | B7 - B7sus4 - | G - A - | B --- |

| I --- | I/III --- | VIm7 --- | bVIM7 --- bIII/bVII - bVII - | I7sus4 --- | ---- - I7 -- | I7sus4 --- | - bVIIM7sus4(omit5) -- || VI11(omit3) --- | VI7 - VI7sus4 - | IV - V - | VI --- |

| I --- | I/III --- | VIm7 --- || IVM7 --- I/V - V - | VI7sus4 --- | ---- - VI7 -- | VI7sus4 --- | - VM7sus4(omit5) -- || VI11(omit3) --- | VI7 - VI7sus4 - | IV - V - | VI --- |

 

 八小節目から九小節目にかけて G# から D への増四度転調。気持ち的には三小節目から四小節目を過ぎた辺りで同主調の B へ転調しているっぽい(二つ目のdegreeがそれにあわせたもの)。転調時の bVIIM7sus4(omit5) – VI11(omit3) は転調先からみると IIIM7sus4(omit5) – VI11(omit3) 。

 なんで M7 なんだろうと思いながらピアノで鳴らしてみたんですが、普通の 7th だとなんだか進行感に欠けるということだけ分かりました(つまり何も分かっていない)(助けてくれ)。

 というか、これを耳コピした人類、普通にヤバくないか?

 

 

 アイカツの曲(オリジナルスター☆彡がマジで良い)とかもう少し触れたかったんですが、とりあえず今日はここまでです(ゼミの予習が普通に残っている)(この世の終わり)(助けてくれ)。

 

 

 

『自由の校風』

 

 実際のところ、『自由の校風』って何なんでしょう? 僕はその言葉の指し示す意味が、あるいは状況が、具体的にはどういったものなのかよく分かってないんですが、それを振りかざしている人たちはちゃんと理解しているんでしょうか? いや、知りませんけど、でも、そういうのって結構ありがちな構図じゃないですか。憲法改正反対と叫ぶ人間のうち何割が憲法について(一般教養科目程度のレベルででも)学んだことがあるのか、またはそのつもりがあるのかと考えてみれば、そのような存在はまあ稀有で、全体の一割もいないんじゃないかなって気がしてきますし、実際、歴史的な事実だったり国際的な事情だったり政治的な推移だったりの様々を踏まえてそう唱えている人も大勢いらっしゃるのでしょうし、その可能性は全く否定しませんけれど、恐らく大多数の人間は多分感覚で動いていて、何となくで動いていて、結局その程度のものだよなあと思います。たとえばフェミニズムなんかもそうで、声が大きい人類に限って平等と公平の意味を履き違えていたり、そのくせ自己の正当性を信じて疑わなかったり、思想そのものの在り方に対して思うことも語ることも、あるいはその資格も僕は持ち合わせていませんけれど、しかし客観的な事実としてそうで、そうである傾向が高くて(声の大きい人間が目立つのは当たり前。これはバイアス)、だからこう、反思想というかなんというか、現状に異を唱えんとする人たちをみるといつも考えるんですよね。自分が何のために戦ってるのか、ちゃんと分かってんのかなあ、みたいなこと。

 

 話し合いで解決するようなことはこの世界のどこにも、小学校という狭い空間にさえ存在しないと僕は思ってるんですけど、それと同時に、話し合うことなしに解決するようなこともまた、この世界のどこにも存在しないと思うんですよね。正しくは、話し合おうとする姿勢、ですかね。どっちでもいいんですが、要するに、解決に向かってゆっくりでも歩いていければいい、というある種の妥協みたいなもの。というか、そもそもの話、自分が願った通りの大団円なんてものに到達できるわけは元よりなく、その時点で履き違えている人間が大多数というイメージを勝手に持っていますが、何かと何かが正面から対立している以上、存在しうるのは全員が等しく不幸になるバッドエンドだけで、誰も彼も笑顔で幕を下ろすハッピーエンドなんてご都合主義が現実にあるわけないんですよ。だって、全員を等しく不自由にして、そうして生まれた状態を僕らは自由と呼ぶわけじゃないですか。だから、何をどうしたところで手に入る変化は必ずどこかが間違っているものでしかないし、それでも構わないからいまを変えていこう、という姿勢こそが『現状に異を唱える』のあるべき姿なんじゃないかなあ、と思うんですよね。権力の前で駄々をこねるだけなら幼稚園児にだってできますし。

 

 この手の話題で毎度思い出すのが、あれです。いつかに聞いたたとえ話なんですが、とある街に腕利きの名医がいて、彼はまあ、結論から言えば飲酒運転で捕まるんですよ。しかしそれにも理由があってですね、彼はそもそも飲酒運転をするつもりなんて全くなく、普通にいつも通りの生活を送っていたわけです。勤務が終わって、家に帰ってきて、ちょっとお酒飲んで、みたいな。そこで運の悪いことに、急患の連絡がやってくるわけです。それも、近くの病院ではその医者でしか担当できないような病を抱えた患者が。そこで悩むわけですよね、医者は。ありとあらゆる方法を検討し、何度も繰り返し考えて、結局、自分が運転していく以外に術はないという結論に至るわけです。それで運転し、(たしか)事故を起こし、警察に捕まった。だから、結果だけみるならば、お酒を飲んだ医者が飲酒運転で捕まった、ということになります。彼は法によって正しく裁かれ、まあその先どうなったのかは知りませんが、ここで問題となるのは、この医者の行動は果たして正しかったのかどうか、です。どうですか?

 

 正しいか正しくないかでいえば正しくないのですが、しかし実際問題として、医者が車を運転しなかった場合、その時点で救急の患者は命を落とすことが確定してしまうわけで、そういう意味で、医者は医者として正しいことをしたとも考えられます。たしかそのときはそんな感じの回答をし、しかし完全には答えられず、後日、改めて自分なりに色々と考えて結論を出しました。当時、このブログにも書いたように思いますが、結論は、医者の行動は間違っていた、です。

 

 自分が抱えているある種の哲学の一つとして、ルールは絶対的で例外なんてない、というものがあります。頭が固い奴だとか思われそうですが、しかし、それがどんな決まり事であれ、決まっている以上は可能な限り準ぜられるべきと自分は考えます。医者の例の場合、たしかに医者が車を運転しなかった場合、救急で運ばれた患者が救われる可能性は潰えてしまうわけですけれど、それが即ち飲酒運転をしても構わないという理由には決してならないし、してはいけないと思うんですよね。ルールに例外はないので。普通に飲酒運転で捕まっている人はアウトだが、この医者は特例的にセーフとしよう、なんて曖昧な感情論を許すわけにはいかないんですよ。ルールは論理的であるべきなので。だから、僕の立場からみれば、医者の行動は間違っていました。正の余地なんてまるでなく、絶対的に、十対〇で。

 

 それはそれとして、という話がこの後に続くのですが、今度は別の状況を考えてみます。どういうことかというと、先述の医者と全く同じ状況下に自分が置かれたとしましょう。救急の患者という例がそぐわないのであれば、家族でも友人でも恋人でも、何でも構いません。さて、そうなった場合、果たして自分は医者と同じ行動を起こすだろうか? 最初に聞いたとき、この問いが二問目として設けられていました。自分が即答できなかったのは、先ほどの問いではなくこちらの問いです。

 

 当然ながらこちらも結論は既に出ていて、同じ行動をする、です。みたいなことを言うと、お前はさっきその行為を間違っていたと断定したじゃないか、と返されそうなんですが、だから、それはそれとして、なんですって。実際に一度目は即答できなかった自分が言うのもなんですけど、でも、こんなの迷う余地なんてほとんど皆無ですよね。その状況を正しく客観的に想像してみれば、少なくとも自分はその医者と全く同じ行動をとると思います。だって、そうしないわけがない。こんなのは正しいとか正しくないとかではなく、論理云々ではなく、もっと原理的な、それこそ感情論のように、どうしたいかだけで動かないと仕方がない場面。そう思うんですよね。

 

 飲酒運転は絶対的に悪だと思うんですよ。それ自体に例外はなく、ごみのポイ捨ても、信号無視も、速度超過も、全部悪です。反論の余地はない。黒寄りの黒。でも、それはそれとして、そうせざるを得ない状況みたいなものもあって然るべきで、というかあって、だから、そういうときはもう仕方ないじゃないって話で。それは開き直れという意味ではなく、自分はこれから法を犯すのだという事実をきちんと受け入れろという話であって、悪であることの覚悟をしろという話であって、だから、もし罰せられることになったならば素直に裁かれろという意味です。往生際の悪い犯人が出てくるミステリーって三流だと思うんですよ、そんなに出会いませんけど。悪であることが露呈したならばきっぱりと退く。それが出来ないなら法に逆らおうだなんて考えを起こすな、と自分は思います。

 

 やっと戻ってきた。『自由の校風』でしたっけ。あれ、自分は全くもって当事者ではなく、そのくせ彼らはやたら京大生を巻き込みたがるので単語自体はごく稀に耳にするのですが、懐古の類とはいったい何が違うのだろう、と思うことが結構な数あります。それは懐古が悪いという意味では勿論なく、そう思うという事実以上の意味は何一つもないのですけれど、実際、ほとんど傍観者みたいな自分からすればそうみえているという話で、だからといって躍起になっている人たちに対して思うことも感じることも特にありませんが、なんというか、そういった諸々全部が馬鹿げてるなあ、と思ったりもします。大学側の措置が一から十まで全部正しいとは露ほども思いませんが、しかし、少なくとも構内に何かしらの物体を設置し、それを大学側が迷惑だと判断した上の処分ということであれば、反論の余地なんてどこにもないだろうというのが正直なところです(ただし処分内容に関してはまた別の問題)。近年、京都大学の一部では大学 vs 学生という構図が生じており(自分の観測範囲ではそういったことは、ないとは言わないが多くはなく、真の意味で一部)、そういうわけで何かにつけて大学云々学生云々という論が生じ、Twitterやなんやという空間で語られるのですが、案の定というか何というか、今回も例に漏れずに出てきたのが『自由の校風』という言葉でした。

 

 自由のために戦うという行為そのものが悪だとは思わないですよ、別に。でも、何て言うんだろう、陳腐だなあ、と思う場面は少なくなくて、そうして語られ持ち上げられる『自由』は如何ほどのものなのだろう、という話です。先に話した医者の話を思い出すのはこのせいで、『自由』を取り返すために逆らいました、俺たちは自由のために戦っているんです、といった類の主張がどうにも受け入れられなくて、お前らが戦ってるのは学生の為でも大学の為でもなく自分の為だろ、と思っちゃうんですよね。つまんねえなあと思うし、幼稚だなあと思うし、なに勝手に正義の味方面してんだよと思う。マジで。自分が悪であることの理由を『自由』だなんて架空に押し付けるなって話。自分のために何かを成し遂げようとするって、それ自体は素晴らしいことだと自分は思います。ボランティアとか? ああいうのはよく偽善だって言われますけど(偽善という言葉の定義は汲んでほしい)、別にそれが社会的な損得勘定によるものだったとしても、結果的にいい方向へ動いているのならそれでよくないですか? 誰にも嫌われたくないから、誰にだって優しいとか。親切にするのは相手の為じゃなくて、自分の地位の為とか。エゴっていうんですかね。自己愛、みたいな。別にいいじゃんそれで、って気持ちです。自分が良いと思っているからいまのままでいい。自分が嫌だと思っているから現状を変えたい。理由なんてそれだけで構わないと思うし、逆にそれ以外の理由なんてほとんど信じられない。社会のためとか、世界のためとか、そんな綺麗事を鋳たような動機で自分本位の人類が行動を起こせるわけがなく、結局は自分がどう思ってるかだけで、それは間違ったことでも恥ずかしいことでもないと思うんですよ。なんというか、無駄に声が大きい人たちって、これは社会(あるいは概念的に大きな対象)のための戦いである、といった態度をとりがちなイメージがありますけれど、でもそうじゃないだろって。まあ、自分は少なくともそういう風に考えているというだけですが。

 

 まあ所詮は他人事なのでどうでもよく、彼らに言いたいことなんかも特になく、勝手にやってろ、って感じです。

 

 

 

眠れない

 

 

 言葉にしたからって別に何が解決するわけでもない。それは本当にそう。一方で、言葉にすることで何かを果たしたような気持ちになることもある。それもそう。だから、こうやって何でもかんでも書き殴ろうとするのは大分前から止めている。普通によくない。よくないというか、なんだろう、いや、よくないんだけど、もっとこう、適切な表現があるような気もする。でも、いまは思いつかない。なんだろう。とにかく、これで解決させた気には全くなっていないということだけ、ちゃんと書いておく。

 

 なるほどなあ、と思いながら自分のことを振り返ってみたりした。なるほどなあ、と思った。余計な荷物を勝手に押し付けるなって話。それはそう。当たり前じゃん。誰だって嫌だし、俺も嫌。なんか、そこまで考えが至らなかった。こう書くと、お前は馬鹿か、という気持ちになる。いや、でも、実際そうで、ああいうのって真夜中の帰り道とかに死ぬほど後悔するじゃん。でもそのときにはもう誰もいないし、それは逆で誰もいないから後悔があるんだけど、今更遅いなあと思う。普通に申し訳ない。

 

 これまでにも何度か言われていたし、うん、まあ、実際その通りだなという気がする。そんな風に言われるのは普通にショックだけど、面と向かってでないだけマシか。あれが嫌、これが嫌って、なるべく言わないように努めているつもりなんだけど、だって、それを言ったところで何の解決にもならないし、九割悪い方向へ進むし。だからといって嫌なものは嫌だし、言わないだけで、ずっと思ってる。察してくれとかは別に思わない。それだったら多分、もう少し分かりやすいアクションを起こしてる。どうにかなってくれとも、もう思ってない。どうにもならないし。どうにかしてくれとも、全く思ってない。自分が間違ってるとは思ってないから。

 

 いや、間違っていないというだけで悪ではあるけれど。無関係な人間を巻き込むのはやっぱり悪。第一、それを一番嫌っているのは、他ならぬ自分だし。あれが嫌、これが嫌って、俺のいないところで勝手にやってくれよって、まあ思ってる。多分、同じことを思われてる。つまり最悪。なんで思い至らなかったんだろう。いや、なんでとかどうしてとか、そういうことを言っている時点で自己愛の塊というか、ちゃんと鏡を見ろよという話。要するに忘れてたんだよな。全部自分が悪い。あれだけの言葉を交わして、まだ足りてなかった。引き摺ってる。

 

 なんていうか、正直に言えば、勝手に安心してた。一年? 自分が嫌いなもののこと。違う。それが嫌いな自分のことを知っている誰かの存在に救われることがある。ことがある、というか、そうでしかない。でも、だからって、一方的に巻き込むのはよくないよ、本当にそう思う。だからそもそも、自分がそれを嫌っているから。そっち側からみたらこんな感じなのかって、昔のことを思い出して、なるほどなあと思った。そりゃ嫌だ。笑える。

 

 嫌いなものがあるなら離れればいいって、それは本当にそうだと思う。そうしてる人もいるし、というか、それでまあ全部が解決とは言わずとも、水面の奥底くらいへは沈んでくれるわけで。嫌いになりきれないってのがある。好きと嫌いって、別に両極にあるものじゃない。どちらかというと、赤と青の絵具みたいな。大体、紫色。たまに片方に偏る。好きに偏ることもあるし、嫌いに偏ることもある。たとえば後者を赤として、そうして頭いっぱいに広がった赤を眺めてさ。それが黒色なんだって心から信じられる人間は相当強い。無理。だって、放っておけばまた紫へ戻って、青くなることもあるんだろうなって思うし。要は一時的。誰だってそうじゃない? そうじゃないのかも。まあ、青信号を信じて渡ってみたら途中で赤に変わって、そのまま事故るってケースが圧倒的に多い。自覚はある。

 

 いい迷惑だよな、と思う。他人事みたいに。それは散々聞いた。なんか、それでも今日まで一緒にいてくれたんだから、それだけで感謝しなきゃいけないんだろうなって気持ちにもなる。多分しないけど。されたくもないだろうし。でも、感謝はしてる。してるからって、迷惑をかけていいってことにはならない。反論の余地なし。だから、もう少しだけ考えてみる。期待とかは特にない。

 

 でも、多分だけど、それについてはただの勘違いだと思う。多分だけど。

 

 

 

未完成の春

 

 なんというか、自分はこれまでにこのブログで色んなことを書いてきたわけだけれど、最近はあまりそれをしなくなってきたな、という風に感じる。別に悪いことじゃないと思う。そうなったからといって、特段困ることは何もない。そんなわけでここのところはwordを立ち上げる機会も目に見えて減っている。一方で、以前の自分の中にあった話したがり精神というか、話したがるくせに何も教えたがらない精神というか、そんな感じの何かしらは未だ残っていて、それがいまは音楽のほうへ向いているのだという気がする。比喩だとか情景だとか、そういった道具を使って何かを表現することよりも、メロディだとか歌詞だとか、音楽に密接したそれらを使って何かをしたいという気持ちが、いまのところは強い。言葉を書き連ねるのが嫌になったわけでも、嫌いになったわけでもないし、勿論その逆の、音楽よりも文章で表現したいと思うことだってたくさんある。でも、この夏休みの間だけは、なんとなく音楽のほうへ意識がより傾いていたように思う。そういう話。

 

 こうじゃなきゃいけない、という強迫観念みたいなものが自分の中にある。この気持ちは言葉でしか言い表せない。この気持ちは音楽でしか言い表せない。そのどちらもたくさんある。絵を描くことを楽しむ人の中にもまた、自分と同じ風に考える人が大勢いるんじゃないかと思う。そういう意味で、特別なことではないと思っている。他人にとっての創作が一体何なのかは知らないけれど、自分にとっての創作はいつだってそういう、何かを表現するためのものだった。いまもそう。成長するにつれて、自分にもできることが少しずつ増えていって、表現する方法も少しずつ多様化していって、だから時には迷うこともある。このことを表現するには、どれに頼るのがいいんだろう? みたいな。箸とスプーンみたいに分かりやすければいいけれど、生憎そんなことはない。大体ギリギリまで悩んで、最後の最後には何とかなっている。経験則。

 

 夏休みの間に『ここにいるよ。』という曲を作った。あれはメロディを思いついたのが七月の初め、深夜近く、知人の家へ向かう途中にある交差点で赤信号に立ち止まっているときだった。サビのフレーズがふっと湧き上がってきて、でも一旦忘れて、数日後にベッドの上で思い出して、それからPCを立ち上げた。歌詞を書ききったのは、八月一日を少し過ぎた頃だったような気がする。メロディを思いついたのと同時期あたり、いよいよ訪れた夏の空を北部構内から見上げて、その青があまりにも高くて眩しくて、そういう歌を作りたいとふと思った。そのときの意識がそのままで歌詞になった。といっても、無茶苦茶に苦労したのを覚えている。どの言葉をあてがっても、なんだか違っているような気がして。何とどう違っているのかということは説明できないのだけれど、とにかくこれは違うという感覚だけが拭えなかった。

 

 あれほど真っ直ぐで歪んでいた彼も、いまとなっては真っ当な人間であることを選んだようで、曰く、遠くの地に就職するらしい。ここで用いた、遠く、という形容詞は本当に、遠く、だった。これまでも十分に離れていたけれど、そんなのとは比にならないほどの。それを聞き知ったのが果たしていつ頃だったのかは覚えていないが、だからこの曲を作ることになったのは確かだった。同じ空の下にいるとか、離れていても一人じゃないとか、そんなわけがないだろうと思いながら歌詞を書いていた。誰一人として同じ空の下にはいないし、どれほど近くにいたところで僕らは独りぼっち、それが正しい。少なくとも自分はそう思っている。だからこそ、あの日出会えたことが何よりも嬉しくて、いまの自分がここにいるんだという気がした。夏休み、彼と歩く機会があった。何も話さなかったし、色んなことを話した。これからはいま以上に会えなくなるのか、と笑いあった。曲名はその日に決めた。

 

 恋という単語は、多分、自分があまり好んでは使いたがらない類の言葉だと思う。恋だとか、愛だとか、友情だとか、絆だとか、何というか、どれにしたって軽すぎる。中高生の頃、愛だ恋だを軽やかに唄うJ-POPのことが心底嫌いだったことを覚えている。陳腐だと思っていたし、何なら見下していたまである。その感情は否定できない。たしかにあった。いまも当時ほどではないにせよ、その類の曲は特段好きではない。いまでも思う。軽すぎる。

 

 夏休みよりも前、七月中、夏コミに向けたり向けなかったりしてあれやこれやを書いていた。芹沢あさひの話。思えばあのときからずっと地続きで、恋も、言葉も、空の色も。消えてなくなったいつかの影も。かけがえのないものなんてこの世には一つとしてなくて、それは世界の捉え方が十人十色だから。自分にとって必要なものが誰かにとっては邪魔だったりする。その逆もある。自分が本当に大切にしているものは、そのままにしておきたいと願う。そして、その逆もある。破壊衝動ではなくて、もっと純粋な、それはたとえば雨上がりの空に走る虹を独り占めしたくなるような、それでいて誰かに共有にしたくなるような、何よりも綺麗な感情。自分が感じているほどの質量が、触れた指先に伝わらなくたって構わない。それでも、誰かに、その鮮やかな色を、知っていてほしい。そういう感情。だから、それは、恋だった。

 

 これは文章ではなく、音楽でないと全く意味のないことだった。少なくとも自分にとっては。伝えたい何かが初めにあったとして、それを比喩の奥底へ沈めるのか、あるいは音の隙間に埋め込むのか、という話。どちらでもいい場合もあるし、どちらかでないといけない場合もある。どちらも、同じくらいたくさんある。

 

 灯火だと思う。いつまでも温かいわけじゃないし、数日もすれば忘れてしまう。それでもたしかに残っている、青い炎。どれだけ拙くたって、脆くたって、その光を誰かに伝えたいと思う自分がいる。この夏休み、ステージに立った。二回。両方で歌を唄った。

 

 一回目はバンドとしてだった。BUMP OF CHICKENコピーバンド。それを言い出したのは、自分よりも二つか三つくらい上の、サークルの先輩だった。唐突だった。ギターを持ってはいるという後輩一人を巻き込み、ドラム経験ゼロの後輩一人を巻き込み、その場にいた先輩二人がギターとベースで巻き込まれ、もう一人、キーボードの上手い後輩一人を勝手に巻き込んで、七人編成のチームだった。それだけいれば練習中も本番も、ところ狭し、犇めきあうという感じだった。練習で感じたことといえば、大勢でやる音楽は頗る楽しいということだった。あとは、ステージで唄っている人間は全員凄いということ。実際、そこで唄った曲は普段からよく口ずさむものだったけれど、ギター、ベース、ドラム、キーボードが混ざると、もうなんのこっちゃという感じでね。自分がいま何を唄ってるのかが全く分かんないの。で、音が上下に飛ぶ。しっちゃかめっちゃか。他の楽器も多分そうなんだろうなと思うけど。でも、楽しい。楽しかった。テーマは女子高生バンド。『Catch The Youth』。ユニット名は最後の練習の日にノリで決まった。普通にダサすぎる。でも、それでよかった。ずっと忘れないと思う。

 

 二回目は一人で立った。あんなにも狭かったステージが、嘘みたいに広がって感じられた。本番中にも口走った気がするけれど、舞台の上は本当に寒かった。スポットライトが照っているし、声を出しているわけだから汗もかく。暑い。でも寒かった。一回目のときは、ギターがいて、ベースがいて、キーボードがいて、ドラムスがいて、だから大丈夫だったんだと思う。なんというか、あれは心強かったし、普通に唄えた。楽しめた。でも、二回目は無理だった。一人で立つステージはとても怖かった。向こう側にいるみんなが敵ってわけじゃない。ここで失敗したって誰かに責められるわけでもない。そう分かってはいたけれど、それでもどうしようもないくらいに怖くて、声は震えるし、歌詞は飛ぶし。こうして当日のことを振り返っていると、どこかの歌の途中に聞こえてきた手拍子を、声を何となしに思い出す。嬉しかった。誰にも言わなかったけれど。誰にも言えなかったけれど。あれがなかったら本当にダメだったかもしれない。

 

 二回目のステージは失敗したけれど、あの恐怖があったから、あのとき、バンドとして在ったことの意味を何となく理解したような気になっている。自分も含めて、あの七人であることの必然性は全くなかったのだろうけれど、だけど、あの七人で同じ一瞬を共有出来てよかったといまは思う。未完成の春。『失った青春を取り戻せ』なんて言って、そうして過ごした時間が果たして青春なのかどうかは分からないけれど、その一瞬に名前なんかなくたって、それでも僕らは同じ場所に立っていた。それだけで、なんかもういいやって気持ちになる。なった。

 

 文章にすると、全部嘘っぽい。これは自分にとっての哲学みたいなもの。だから、この気持ちは、できることなら。

 

 

 

ここにいるよ。

 

 楽曲『ここにいるよ。』を投稿しました。

 

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【歌詞】

おはよう この声 聞こえるかな

寝惚けた表情 らしくもないね

窓には夏空 こんな日には

靴紐 結んでさ どこへでも行こう

 

ソラの下 ふら ふら ふら ふら 迷い込んだ

こんな青が眩むなら いっそタメライだって巻き込んで

狙いあう いま いま いま いま

やっと 出会えたんだ 君と踊りたい

 

いつの日か さん、に、いちで飛んでいった 私の音符が

遠くで泣いている 君をみつけたら

手を振って じゃあねって笑いあった あの日の続きを

ないものねだりでも フタリ 一緒なら

 

私の声に 君が笑った

アタリマエみたいなイマは 当たり前じゃないんだ

君の声を 聴きたいけれど

ちょっぴり 欲張りかな

 

ソラの下 ほら ほら ほら ほら 迷わないで

私だって眩むから 君一人のコトバで連れ出して

引かれあう いま いま いま いま

きっと 届く だから 何度でも呼ぶよ

 

覚えてる? 散々だって泣いていた いつかの私を

遠くの向こう側 君がみつけたの

だからだよ じゃあねって笑いあった あの日の続きは

ないものねだりでも たしかにここにある

 

忘れたって 構わないさ

まだ いまも それでも 歩き続けるから

消えてゆく足跡に 踏み出す一歩を迷ったって

なくならない 君の声が 指をさす

 

何回だって勘違って 繰り返した夜を

そうやって恋を知った あの夏の色を

何もかも やっと大人になって 君がみえなくなっても

ねえ きっと ずっと 唄うから わたしはここにいる

 

さあ、いくよ。

さん、に、いちで飛び越えて!

 

さん、に、いちで飛んでいった 私の音符を

遠くの空の下 君がみつけたら

手を振って じゃあねって笑いあった あの日の続きに

何度だって出会えるから 二人 一緒なら

 

どこへでも行けるよ

 

 

【コード】

 ・intro

Key:D#

| G# - A# - | Gm - Cm - | G# - A# - | D# --- |

| G# - A# - | G7/B - Cm - | G# - A# - | D#add9 -- D#7 |

| G# - A# - | Gm - Cm - | G# - A# - | Cm - D#7 - |

| G# - A# - | G7/B - Cm - | F7 - Gm7 - | G#m - Bdim - |

 

・1A

Key:C

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | Gsus4/D --- |

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | Gsus4/D --- |

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | Gsus4/D --- |

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | Gsus4/D --- |

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | Gsus4/D --- |

| Csus4 - C - | Gsus4/D --- | Csus4 - C - | G/D - C - |

 

・1B

| F/C --- | C --- | G/D --- | Am7/E - Gm7/C - |

| F/C --- | C --- | G/D - G#dim/D - | Am7 - G#m7 - Gm7 - C7 - |

| F/C --- | C --- | G/D --- | Am7/E - Gm7/C - |

| Dm --- | Em --- | Fm --- | A#7sus4 - A#7 - |

 

・1S

Key:D#

| G#add9 - A# - | D#add9 - Cm7 - | F7 - G7 - | Cm7 - D#9 - |

| G#add9 - A# - | G7 - Cm7 - | G# - A# - | Cm7 - Bm7 - A#m7 - D#7 - |

| G#add9 - A# - | D#add9 - EdimM7 | Fm7 - G7 - | Cm7 - D#7/A# - |

| Am7-5 - G#mM7 - | Gm7-5 - C7(b9)/G - | Fm7 - A# - | D#add9 -- D#7 |

 

| G# - A# - | Gm - Cm - | G# - A# - | Cm - D#7 - |

| G# - A# - | G7/B - Cm - | F7 - Gm7 - | G#m - Bdim - |

 

・2A

Key:C

| Cadd9 --- | ---- | Caug --- | ---- | C6 --- | ---- | C7 --- | ---- |

| Am7 --- | ---- | D7 --- | ---- | G7 --- | ---- | Cadd9 --- | C9 --- |

 

・2B

| F/C --- | C --- | G/D --- | Am7/E - Gm7/C - |

| F/C --- | C --- | G/D - G#dim/D - | Am7 - G#m7 - Gm7 - C7 - |

| F/C --- | C --- | G/D --- | Am7/E - Gm7/C - |

| Dm --- | Em --- | Fm --- | A#7sus4 - A#7 - |

 

・2S

Key:D#

| G#add9 - A# - | D#add9 - Cm7 - | F7 - G7 - | Cm7 - D#9 - |

| G#add9 - A# - | G7 - Cm7 - | G# - A# - | Cm7 - Bm7 - A#m7 - D#7 - |

| G#add9 - A# - | D#add9 - EdimM7 | Fm7 - G7 - | Cm7 - D#7/A# - |

| Am7-5 - G#mM7 - | Gm7-5 - C7(b9)/G - | Fm7 - Fm7/A# - |

 

・2C

| Cm7 --- | -- Am7-5 - | G#M7 --- | ---- |

| A#7sus4 --- | ---- | D#add9 --- | Gm/D --- |

| Cm7 --- | Baug --- | D#/A# --- | Am7-5 --- |

| Fm7 --- | Gm7 --- | G#m7 --- | A#7 - C7 - |

 

Key:F

| Fadd9 --- | Em7-5 --- | A7 ------ Dm7 | -- F9/C - |

| Bm7-5 -- A#mM7 ---- | Am7 -- G#dim7 ---- | Gm7 - G7/B - | Csus4 - C - |

| Fadd9 --- | A7 --- | Dm7 - Cm7 - | F7/A - G#dim7 - |

| Gm7 --- | Am7 --- | A#m7 --- | C7sus4 --- | C7 --- |

 

・3S

Key:D

| Gadd9 - A - | Dadd9 - Bm7 - | E7 - F#7 - | Bm7 - D9 |

| Gadd9 - A - | F#7 - Bm7 - | G - A - | Bm7 - A#m7 - Am7 - D7 - |

| Gadd9 - A - | Dadd9 - D#dimM7 | Em7 - F#7 - | Bm7 - D7/A - |

| G#m7-5 - GmM7 - | F#m7-5 - B7(b9)/F# - | Em7 - A7sus4 - | A#7 - D#9 - |

 

Key:D#

| ---- | ---- |

 

・LS

Key:E

| Aadd9 - B - | Eadd9 - C#m7 - | F#7 - G#7 - | C#m7 - E9 - |

| Aadd9 - B - | G#7 - C#m7 - | A - B - | C#m7 - Cm7 - Bm7 - E7 - |

| Aadd9 - B - | Eadd9 - FdimM7 | F#m7 - F#7/A# - | Bm7 - E7 - |

| A#m7-5 - AmM7 - | G#m7-5 - C#7 - | F#m7 - B - | C#m - A#m7-5 - |

 

| Fm7 - B7sus4 - | Eadd9 -- E7 |

 

・Outro

| A - B - | G#m - C#m - | A - B - | C#m - E7 - |

| A - B - | G#7/C - C#m - | F#7 - G#m7 - |

| Am7 -- Bm7 -- Cm7 - | - Dm7 -- D#m7 - F7 - | Gsus4 --- | G --- |

 

 

【コード(degree)】

 ・intro

Key:D#

| IV - V - | IIIm - VIm - | IV - V - | I --- |

| IV - V - | III7/#V - VIm - | IV - V - | Iadd9 -- I7 |

| IV - V - | IIIm - VIm - | IV - V - | VIm - I7 - |

| IV - V - | III7/#V - VIm - | II7 - IIIm7 - | IVm - #Vdim - |

 

・1A

Key:C

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | Vsus4/II --- |

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | Vsus4/II --- |

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | Vsus4/II --- |

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | Vsus4/II --- |

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | Vsus4/II --- |

| Isus4 - I - | Vsus4/II --- | Isus4 - I - | V/II - I - |

 

・1B

| IV/I --- | I --- | V/II --- | VIm7/III - Vm7/I - |

| IV/I --- | I --- | V/II - #Vdim/II - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IV/I --- | I --- | V/II --- | VIm7/III - Vm7/I - |

| IIm --- | IIIm --- | IVm --- | #VI7sus4 - #VI7 - |

 

・1S

Key:D#

| IVadd9 - V - | Iadd9 - VIm7 - | II7 - III7 - | VIm7 - I9 - |

| IVadd9 - V - | III7 - VIm7 - | IV - V - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IVadd9 - V - | Iadd9 - #IdimM7 - | IIm7 - III7 - | VIm7 - I7/V - |

| #IVm7-5 - IVmM7 - | IIIm7-5 - VI7(b9)/III - | IIm7 - V - | Iadd9 -- I7 |

 

| IV - V - | IIIm - VIm - | IV - V - | VIm - I7 - |

| IV - V - | III7/#V - VIm - | II7 - IIIm7 - | IVm - #Vdim - |

 

・2A

Key:C

| Iadd9 --- | ---- | Iaug --- | ---- | I6 --- | ---- | I7 --- | ---- |

| VIm7 --- | ---- | II7 --- | ---- | V7 --- | ---- | Iadd9 --- | I9 --- |

 

・2B

| IV/I --- | I --- | V/II --- | VIm7/III - Vm7/I - |

| IV/I --- | I --- | V/II - #Vdim/II - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IV/I --- | I --- | V/II --- | VIm7/III - Vm7/I - |

| IIm --- | IIIm --- | IVm --- | #VI7sus4 - #VI7 - |

 

・2S

Key:D#

| IVadd9 - V - | Iadd9 - VIm7 - | II7 - III7 - | VIm7 - I9 - |

| IVadd9 - V - | III7 - VIm7 - | IV - V - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IVadd9 - V - | Iadd9 - #IdimM7 - | IIm7 - III7 - | VIm7 - I7/V - |

| #IVm7-5 - IVmM7 - | IIIm7-5 - VI7(b9)/III - | IIm7 - IIm7/V - |

 

・2C

| VIm7 --- | -- #IVm7-5 - | IVM7 --- | ---- |

| V7sus4 --- | ---- | Iadd9 --- | IIIm/VII --- |

| VIm7 --- | #Vaug --- | I/V --- | #IVm7-5 --- |

| IIm7 --- | IIIm7 --- | IVm7 --- | V7 - IV7 - |

 

Key:F

| Iadd9 --- | VIIm7-5 --- | III7 ------ VIm7 | -- I9/V - |

| #IVm7-5 -- IVmM7 ---- | IIIm7 -- #IIdim7 ---- | IIm7 - II7/#IV - | Vsus4 - V - |

| Iadd9 --- | III7 --- | VIm7 - Vm7 - | I7/III - #IIdim7 - |

| IIm7 --- | IIIm7 --- | IVm7 --- | V7sus4 --- | V7 --- |

 

・3S

Key:D

| IVadd9 - V - | Iadd9 - VIm7 - | II7 - III7 - | VIm7 - I9 |

| IVadd9 - V - | III7 - VIm7 - | IV - V - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IVadd9 - V - | Iadd9 - #IdimM7 - | IIm7 - III7 - | VIm7 - I7/V - |

| #IVm7-5 - IVmM7 - | IIIm7-5 - VI7(b9)/III - | IIm7 - V7sus4 - | #V7 - #I9 - |

 

Key:D#

| ---- | ---- |

 

・LS

Key:E

| IVadd9 - V - | Iadd9 - VIm7 - | II7 - III7 - | VIm7 - I9 - |

| IVadd9 - V - | III7 - VIm7 - | IV - V - | VIm7 - #Vm7 - Vm7 - I7 - |

| IVadd9 - V - | Iadd9 - #IdimM7 - | IIm7 - II7/#IV - | Vm7 - I7 - |

| #IVm7-5 - IVmM7 - | IIIm7-5 - VI7 - | IIm7 - V - | VIm - #IVm7-5 - |

 

| IIm7 - V7sus4 - | Iadd9 -- I7 |

 

・Outro

| IV - V - | IIIm - VIm - | IV - V - | VIm - I7 - |

| IV - V - | III7/#V - VIm - | II7 - IIIm7 - |

| IVm7 -- Vm7 -- #Vm7 - | - #VIm7 -- VIIm7 - #I7 - | #IIsus4 --- | #II --- |

 

 

【コメント】

 前作であるところの『想造世界のプレリュード』のコメント欄で「実に四ヶ月ぶりの新曲」みたいなことを書いたのですが、これまた四ヶ月ぶりの新曲です。制作ペースが遅い分、これまでは作れなかったような曲を書けているとは思う一方で、それにしても流石に遅すぎるだろうとも思います。何とかならないかなあ。

 

・曲について

 作曲面でいえば、今回意識したのはメリハリみたいなものでした。Aメロ、Bメロ、サビと曲が進行するにつれてコード、ベースライン、ボーカルの動きも派手になっていくような感じの。そういう考えがあったので、この曲では全編通してコード進行を自力で組んだのですが、これは初めての経験でした。これまでは脳死で6451突っ込んだりして解決していたので……。そういうわけで、これまでは使っていなかったようなIIIm7-5とかIVmM7とか#IdimM7とかVI7とかを組み込んでいたりもしています。

 

 編曲面でいえば、今回のテーマは『文化祭』でした。ボーカル一人、ギター二人、ベース一人、キーボード一人、ドラムス一人という編成のバンドが、文化祭のステージではっちゃけてる曲……みたいな。なので、各楽器の割り振りとかを考えて作っています。ギターは二本以上鳴らさず、音の切り替わり地点には少し休符を置いて……みたいな。ただ、キーボードだけはどうにもなりませんでした。サビでアホみたいに暴れるピコピコを弾かされるキーボードの人……(弾けない)。サビのベースラインが割とお気に入り。

 

 4thAlbum『ユグドラシル』くらいのBUMPみたいな曲を作りたく、軽めのクランチを噛ませたギターをずっとジャカジャカと鳴らしてます。このためだけに初めてスタジオへギターを片手に行ってジャカジャカと収録してきたりしました。嘘です。全部打ち込みです。

 

・歌詞について

 自分でいうのもって感じですが、あんまり自分っぽくない感じがします。『私』を視点にしているところとか、平仮名や漢字で済ませられるところをあえてカタカナで書いてあるところとか、あとは句読点や感嘆符の類を使っているところとか。どれも一応ちゃんとした理由があってそうしているんですが、それにしても、以前までの自分ならこうはしなかっただろうなあという気がしなくはないです。どうなんだろう?

 

 お互い大人になって、以前のようには笑いあえなくなって、いつか遠く離れてしまっても、それでも、あの日の言葉があるから、僕らは何度だって出会えるし、一人でだって歩いていける。そんなことを唄った曲です。本当に会えなくなってしまうよりも前に完成させることができてよかった。

 

 

 以上です。よろしくお願いします。

 

 

 

止まない雨

 

 止まない雨はないだとか、明けない夜はないだとか、そういったステートメントってあまりにも当たり前すぎるというかなんというか、要するにありきたりでつまらないと感じるわけですが、それ以上に不誠実だと思うんですよね。言葉を扱う上で誠実さなんて必ずしも求められるものではないのでしょうけれど、それにしたって、と思うことが多々ありまして、たとえば「止まない雨はない」と主張するのであれば「曇らない空はない」ということも知っておくべきだし、たとえば「明けない夜はない」と主張するのであれば「沈まない太陽はない」ということも知っておくべきだし、都合のいい側面ばかりを切り取って貼り付けることを繰り返すのは、だからつまり不誠実だろうという印象を自分は何となく持っています。といっても、何に対しての誠実さに欠けているのかと問われれば、そこはちょっとよく分からないんですが。なんでしょう。万物?

 

 止まない雨の話をします。

 

 物語には始まりがあって、始まりがあれば終わりもあって、そいつらは切っても切り離せない関係で、永遠なんてものはどこにもなくて、絶対なんてものもどこにもなくて、自分たち人間はいつか必ず死ぬし、惑星だって何億年かしたら勝手に滅ぶ。僕らはなにかと始まりのほうにばかり目を向けがちですけれど、しかし、だから、すべてが終わってしまう最後の一瞬にだって同じくらいの価値と重さがあるのだと思ったり思わなかったりします。その最後は美しく彩られている必要なんて全くないし、ハッピーエンドでなくともいいし、何なら全く無関係な終焉であってもいい。たとえば二時間半の作中世界を結ぶ簡素なエンドロールみたいに、よく知らない用語と知らない人の名前が聞いたこともないアーティストのサウンドとともに紹介されるだけの酷く退屈なものでもいい。形式やみてくれなんてどうだってよくて、はっきりとした終わりがあるということが何よりも大切。そう感じることがよくあります。最近は映画館に行く機会もすっかり減りましたけれど、多くは黒を背景に白文字が過っていくだけのアレを観て、それから映画館特有のだだっ広い扉を潜って、そうやっていつも通りの日常に帰る瞬間が昔から大好きでした。

 

 終われなかった物語が、何よりも最悪で、心苦しい。このブログでももしかしたら何度か書いているかもしれませんけれど、中学生の頃、自分にはほとんど唯一と言っていいくらいに仲の良かった奴がいました。そいつは当時からめちゃくちゃに頭が良く、それに絵が頗る上手く漫画を描いていたりもして、あとはピアノも弾けた。笑ってしまうくらいに自分の完全上位互換みたいなやつで、だから相性がよかったのかもと今にすれば思うわけですけれど、そいつとは高二高三くらいの頃を最後に一度も会えていなくて。つい最近購入した『神のみぞ知るセカイ』という作品を自分に教えてくれたのは他ならぬそいつだったのですが、だから読んでいると嫌でも思い出すんですよね。「アイツ、いま何してんのかなあ」みたいな。そもそも生きているのかも分からない。公立中学だったので実家から歩いて数分圏内にそいつの家はあるんですが、会えなくなって以来訪ねたのはたったの一度だけです。最後に会った時に話したことは今でも覚えていて、でもそれっきりで会えなくなるんだったらもっと他に話すことがあったのに、といまでは思います。

 

 勝手に始まって勝手に終わった物語が、つまるところ、止まない雨の正体だろうと考える自分がどこかにいて、そういう意味での止まない雨の止ませ方なら知ってます。終わりのないということが結局は唯一の問題であって、だから、終わらせればいいんですよね、全部を、自発的に。上に出したアイツの話を続けるのであれば、たとえば自分からアイツの家に訪ねてみればいい。実際に会える距離にいるのだから、もう一度会って、それで最後にしてしまえばいい。そう思って実際に家の前まで行ったことも何度かあるんですけど、でも、それを選ぶということはやっぱり怖くて、結局何もできずに家に帰るというところまでがテンプレです。ままならない。

 

 雨は嫌い。できれば止んでほしい。でも、雨を降らせているのは他ならぬ自分だったりもして、一層どうにもならない。雨を消す方法は知っている。だけど、終わりを受け入れるのは怖い。誰かに助けてほしいけれど、誰も助けてなんてくれない。一人で何とかするしかなくて、それもまた辛く苦しいから、だからずっと傘を差している。そうして傘の下で雨を凌いでいるうちに、雨の冷たさなんて忘れていく。悲しみは風化する。もうそれでいいのかもしれない。止まない雨はない。ないということでいい。そう決めたままでも、何とか生きていける。

 

 雨が止んだから傘を捨てるのではなくて、雨を止ませるために傘を捨てる。勝手に始まった物語を自分自身の手で終わらせる。この雨がいつか止んだなら、という言葉はそういう意味でした。

 

 自分はあの少女みたいに強くないので、ずっと傘を差しています。いまでもこうして思い出せるだけ、まだ救われているのかもしれないなと思います。