20210822


 全然眠れなかった。思うに、想像以上にきたんだと思う。いや、わかんないけど。でも、眠ろうと思ってベッドへ入ってみても、なんとなくそればっかりが頭の中をぐるぐると回っていて。なんていうか、言葉があふれてくる感じ? 誰一人も聞いてなんかいないのに、今にも虚空へ向けて話し始めてしまいそうな、そんな感じの夜。一時間だけ寝た……、と思う。曖昧だけど、多分。今日バイトなのに大丈夫なのかと思うけれど、まあ、そうは言っても眠れないものは仕方ないし。こういうときは意識を一度睡眠から切り離して、しばらくしてからまた入眠の構えになるとよいことが経験則としてあって。だからいま文字を打ち込んでる。めちゃくちゃ眠いのに。いつも以上に後先考えずに文章を書いている気がする。だって、そもそも丁寧語というか、普段の文体じゃないしこれ。マジで普通に喋ってる感じじゃん。なに、なんていうか、あの、あれ、ボイスメモ? そういうのをそのまま文字へ起こしているみたいな感じ。変なの。でも、めちゃくちゃ楽だな、こうやって文章を書き続けるの。なんていうか、普段からずっとこんな感じだし、何か考え事をしてるときって。次から次へとああだこうだって声が浮かんでくるみたいな、処理が追い付かない、普通に。追いつけなかったものは、そもそも認識さえできてないのだろうな。忘れているとかですらない、多分。そのまますり抜けてる。何考えてたんだろ、さっきまで。さっきって言っても、もう三時間くらい前だけど。人間関係。勝手に変わっちゃうんだな、本当に。なんか、どうなんだろう。改めて振り返ってみても、自分がどんな風に考えていたのか思い出せないな。気づかれないと思ってたのかな。思ってた気がする。いや、わかんない、どっちだろ。気づかれないっていうか、気づかない? 自分が黙っていればこのまま緩やかに終わりへ向かっていくのだろうな、っていう。そんな予想はあったかもしれない。かもじゃないな。あった、間違いなく。なんていうか、特別を望んでいたわけではなくて、これは本当。たとえばの話、自分にそんな事象がなくたって、自分でない他の何かに何かしらの変化があって、それで全部が終わってしまうという未来は、可能性なんてものですらない、見据えておくべきルートの一つではあったし、実際、それでいいと思ってたんだよな、本当に。というか、途中までそのルートに乗っかっていたはずで。会えなくなったって死にはしないし。寂しいとは感じるだろうけれど、その事実を受け入れられないなんてことは絶対にないし。だから、それでいい。みたいな結論に至った気がする、三年くらい前に。恋という言葉には自分なりの定義があって、それはなんていうか、あえて一言で表すなら『欠落』。元々持っていたものをなくしたのか、あるいはそもそも持っていなかったのかはさておき、いまの自分の手元にはない何かをそれでも探し出そうとする感情のこと。本来ならもっと言葉を割くべきだけれど、自分はそんな風の理解をしていて。だったら、それはもはや恋とかですらない。自分がどっちなのかは知らないけど、たしかに何かを探していたと思う。四年くらい、あるいはそれよりも少し後のこと。探して、探して、探し回って。結局、何を見つけたのかといえば、何にもないことを見つけた、という感じで。前に書いたじゃんか、このブログのどこかで。「空っぽのままでも生きていけるし」みたいな。「その空っぽすら愛せるようになる」みたいな。いや、あれは別に気取ってそんな文章を書いたわけでもなく、実際にそうで。昔の自分はそれを『欠落』として捉えたのだと思う、恐らくは。でも、だから、それを埋める何かを探し続けた結果、手にした答えは「それって『欠落』でも何でもないんじゃないの」みたいな、それまでの全部を根底から覆してしまうようなもので。もう何年前だろ、三年? 当時の自分がどれだけ考え抜いてその答えに至ったのかはもう忘れちゃったけれど、でも、たしかにそうだったって思った気がする。なんか、今でも覚えてるし。なんだっけ。京都芸大の敷地に勝手に入り込んで、小さな公園みたいな場所から夕焼けを眺めてたんだよな、そのとき確か。そこで色々考えて、たしかその帰り道だったような。たぶんそう。二年近く抱え続けていた諸々が、たった一瞬で全部消えちゃった感じがして。消えたっていうか、なんだ。透明になった? みたいな。嬉しいもないし、イライラもないし、悲しくも楽しくもない。ほんとうにただそこにあるだけの、空気みたいな感情。それ自体にどうこうってことはなかったけど、それを見つけられたことは嬉しくて。生きるのが楽しくなったし、間違いなく。というか、自分の作った曲はだいたい全部あの辺の感覚から生えてきてるし。大切なものではある、間違いなく。……みたいな気持ちになったのが数年前のことで、以降はずっとそのまま。だから、誤解を恐れずに言えば、本当に終わってしまってもよかった。そりゃまあ、事故だの病気だのは嫌だけど、もちろん。でも、生きてさえいるなら会えなくたっていいんじゃないのって、そんな感じの。だから、なんだろ。いや、そう。だからそうで。なんていうか、有体に言えば「今更それに気づいちゃうんだ」と思ったのだと思う、たぶん。今更なんて言葉は流石に失礼かもしれないけれど、でも今更じゃん。終わってしまってもそれはそれでいいって、いまでもそう思ってるし。本当、どうなっちゃうんだろうな。