近況_20200318

 

 近況とはいきなり全くの関係がないんですが、目が覚めて、具体的には睡眠状態から意識が覚醒して、世界とのチャンネルがうまく合わせられないというような違和感に数分間襲われることが時たまあり(多分誰でもある)、夢の内容が幸福まさしくそのものであろうが(幸福そのものみたいな夢って、長らく見ていないような気がするけれど)、あるいは在りもしない恐怖感情を煽るようなものであろうが、その辺りに区別めいた境界線は大してなく、夢の世界に分け隔てなく引き摺られるというか、いまの自分がどういった日常の中に置かれているのかということを確認するところから行動を始めなくてはならない、みたいな状況がちょくちょく起こります。だから何だという話でもなく、今日、昼寝をしていたらそういう夢をみてそういう事態に陥ったというだけのことなのですが……。でもなんていうか、ああやって頭の中で複数の記憶(記憶?)が混線しているような奇妙な感覚が、自分は割と好きだったりもするんですよね。ついさっきまで入り組んだ美術館みたいな場所にいたはずで、そこで目測四十代ほどの大柄な男と何かしら切実な会話をして、たしか自分はその人にもう一度会わなくてはならないのではなかったっけ……、みたいな。こういうときはだいたい理性が勝つので、理性というよりは常識が勝つので、ああさっきまでのは夢だったのか、と文字通り無事に、事も無げに片づけてしまえるわけですけれど、そのために「どうして自分はベッドの上に?」という疑問を整理する時間が三分ほどあるというだけの話でした。どうなんでしょう。たとえば自分がもっと歳をとるとか、あるいは仮想と現実の境界がより曖昧になるとか、そういった場合、この「どうして」がもう少し重たくなったりもするんですかね。いや、知りませんけれど。

 

 いまの自分の立場とか、環境とか、大雑把にまとめると日々の生活のことを、自分はある種のボーナスステージみたいに捉えている節があって、だからというとたとえば彼なんかには申し訳ないとは思うのですけれど、今後の人生で成し遂げたいことの明確なビジョンみたいなものがおおよそなくてですね。こういう風に書くと曖昧なそれであれば多少はあるという読み方ができてしまいますけれど、残念ながらそれもなく。ただ何となくで前へ上へ後ろへ下へと進んでいたら、どうにもなんなくなってしまったというのが正直なところで。

 どうしてこんなことを急に言い始めたのかというと、遡ること一か月ほど前、自分はこのまま平穏無事に過ぎれば一年で卒業する身なので、今年は世間に所謂ったところの†卒論†があるんです。いや、ないんですけど。自分の所属する学科では卒論の代わりに課題研究があり、まああるんですよ、それが。自分はほとんど何も考えずに整数論分野を志望し、第一志望に据えるならより高度な内容を扱う教授のほうがいいのかなあ、くらいの気持ちで用紙を提出し、で何故か第一志望に通ってしまい。同じ教授のところに落ちたという連絡を知り合いから聞いていたので、正直通るとは露ほども思っておらず、何なら第三志望に回されるまで読んでいたので割と喜び、来期は頑張ろうという気持ちではあったのですけれど、今日、その教授と研究メンバーとの打ち合わせみたいなのがあり、そこでまあ、実際には吐いてないんですが、気分的にはそれはもう胃潰瘍かよってレベルの血反吐を撒き散らすほどのそれで。別に、何一つも成し遂げないままで学部四回生まで来てしまったとは全く思っておらず、だからといってやっていたことは何かといえば自分の場合、それは音楽ということになるのですが……。勉強面でいえば、自分は学科配属のためのボーダーを決定する試験に引っかかっていたり、一回生配当の線形微積の単位すら落としていたりと(再試験に救われた)、学科の落ちこぼれという自覚はそれなりに強くあったんですが、三回生の春におよそ初めて大学数学を楽しいと思い始め、だからもうそもそもの話スタートを切ったのが致命的に遅かったというのはあり、それもまた認識しつつ、後れを取り戻すではないですけれど去年度はそこそこに学問を頑張り、結果、卒研の第一志望に受け入れてもらえたところまではよかったんですが。

 今日の打ち合わせのときに教授から「大学院へ進学するまでには自分の研究したい分野を考えておいてください」という至極真っ当な論を直球ストレートのデッドボールみたく脳に食らい(『MAJOR』なら死んでた)、加えて同卒研の同期たちが割と研究者志望っぽいということを肌で感じ、別に研究者志望というわけでもなく、強いて挙げるなら楽しいからというだけの理由でここまで学問をやってきた自分としては、ぐえ~、みたいな気持ちになったわけです。卒研についても院試についても、なんなら大学受験でも、まあ上に行けるんならそうしたほうが後々いいんじゃない?(行けなくてもそれはそれでいいし)程度の認識だったので(冒頭の『ボーナスステージ』はそういう意味でもそう)、しかし学部四回ともなればいよいよその程度の意識ではいけないのだなあと痛感し、しかし痛感しただけで何かを変えることが出来るのなら苦労はなく、というわけで学部四回を無事に終えられるのかという不安に苛まれています、いま。

 これが近況です。三回後期も結局は何とかなったので、今回もまあ何とかはなるだろうという超楽観視をとりあえずはしているのですが……。

 

 卒研がそんな感じで早くもハードな様相を呈しており、さらに来期は避けに避けてきた幾何学などを討伐せねばならず、その上で院試もあり(なんと半年を切っている)、それはそれとして音楽は続けたいので、さてどうなるかなという感じです。いっそ他人事みたいに。まあ最悪、ここに遺書を掲載することにさえならなければそれでいいかなと思っています、いまのところ。

 

 あと、これは完全にただの報告ですが sasakure.uk の新譜『エルゴスム』がとてもよかったです。曲は言わずもがな、アルバム全体のデザインが(外装や歌詞カードも含めて)がめちゃくちゃによかった……。