院試問題解くやつ4

 

 そろそろ院試勉強しなきゃなあと思いながらこの夏を過ごしているのですけれど、割とだらだらしてしまっているので tex の練習(未だに tex を全く使えない)も兼ねて(主に)京大理学研(数理解析)の入試問題をブログで解いていこうと思います(不定期)。解答が公表されているわけではないので(だから困っているんだが)、誤答等も多々あると思われますが、その際はよければ僕の方まで連絡してください(マジで頼む)。

 ここまでテンプレです。これももう四回目ですね。

 

平成25年度 京都大学大学院理学研究所 数学・数理解析専攻 大問1 体 K= \mathbb{Q} \left( \sqrt{N} , \sqrt{ i+1 } \right)\mathbb{Q} 上の Galois 拡大体となるような最小の正の整数 N と,そのときの Galois 群 \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) を求めよ.ただし i= \sqrt{-1} とする.

 実際,頭のいい人たちがどんな思考回路で問題を解いているのかが自分には分からないのでアレですが,この問題は最初に答えのアタリをつけられるかどうか,つまり最小の正整数 N の値と Galois 群 \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) の構造におおよその見当をつけた状態で手を動かさないと,短い時間で解き切るのはかなり難しいように思います.まあ N のほうはあまり重要ではないかもしれませんが…….

 以下,解答.

 

 既約多項式 f \left( x \right) = x^ 4 - 2x^ 2 +2 \in \mathbb{Q} \left[ x \right] の根を \pm \alpha , \pm \beta とおくと \alpha = \sqrt{i+1} , \beta = \sqrt{i-1} とかける.f \left( x \right)\mathbb{Q} 上の最小分解体を L とする.まず \left[ L: \mathbb{Q} \right] =8 であることを示す. \left[ L : \mathbb{Q} \right] 4 または 8 であることは明らかなので,これが 4 でないことを示せばよい.

 \alpha , \beta \in L より \alpha ^ 2 - \beta ^ 2 , \alpha \beta \in L ,すなわち \sqrt{2} , i \in L であるから \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) \subset L がわかる.\mathbb{Q} \left( \sqrt{2} \right) , \mathbb{Q} \left( i \right) はともに \mathbb{Q} 上の 2 次拡大体ゆえ Galois 拡大体であるから,Galois の推進定理より \mathrm{Gal} \left( \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) / \mathbb{Q} \right) \cong \mathbb{Z} / 2 \mathbb{Z} \times \mathbb{Z} / 2 \mathbb{Z} となり,また \mathrm{Gal} \left( \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) / \mathbb{Q} \right) の元 \sigma , \tau として

\sigma \left( \sqrt{2} \right) = - \sqrt{2} , \sigma \left( i \right) = i , \tau \left( \sqrt{2} \right) = \sqrt{2} , \tau \left( i \right) = -i

を満たすものがとれる.これらは \mathrm{Gal} \left( \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) / \mathbb{Q} \right) の位数 2 の元なので,先に述べたことから \mathrm{Gal} \left( \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) / \mathbb{Q} \right) = \langle \sigma , \tau \rangle となる.\sigma , \tauL へ拡張することを考える.

 \sigma \left( \alpha \beta \right) , \sigma \left( \alpha ^ 2 + \beta ^ 2 \right) , \sigma \left( \alpha ^ 2 - \beta ^ 2 \right) をそれぞれ計算することで \sigma \left( \alpha , \beta \right) = \left( \alpha , - \beta \right) , \left( - \alpha , \beta \right) が分かり,\tau についても同様にすると \tau \left( \alpha , \beta \right) = \left( \beta , \alpha \right) , \left( - \beta , - \alpha \right) となる.\sigma \left( \alpha , \beta \right) = \left( \alpha , - \beta \right) , \tau \left( \alpha , \beta \right) = \left( - \beta , - \alpha \right) としてよい.このとき \sigma \tau \left( \alpha \right) = - \beta , \tau \sigma \left( \alpha \right) = \beta なので \sigma \tau \neq \tau \sigma ,つまり \mathrm{Gal} \left( \mathbb{Q} \left( \sqrt{2} , i \right) / \mathbb{Q} \right) は非可換群である.したがって L/ \mathbb{Q}4 次拡大ではない.ゆえに 8 次拡大である.

 もし N が平方数なら K = \mathbb{Q} \left( \alpha \right) となるが,これは Galois 拡大でないので不適.よって N は平方数ではなく,特に 1 ではない.ここで N=2 とすると K= \mathbb{Q} \left( \alpha , \sqrt{2} \right) であって \alpha \beta = \sqrt{2} だったから \beta \in K となり,このとき拡大 K/ \mathbb{Q} は Galois 拡大となる.以上より,求める最小の正整数 N2 である.

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 \sqrt{ 1+i } = \sqrt[ 4 ] {2} \zeta\zeta1 の原始 16 乗根)と表されることや \zeta ^ 2 + \zeta ^ {-2} = \sqrt{2} であることを思えば,いま問われている N の値が 2 になるのだろうなという大体の予想はつきます.といっても N=1 という(つまらない)結果になる可能性も当然残されているので,それを排除するために前半の長ったらしい議論を展開しています.

 以前紹介した判定法を使うと \mathbb{Q} 上既約な 4 次式 f \left( x \right) = x^ 4 - 2x^ 2 +2 について,a=-2 , b=2 であって,このとき bb \left( a^ 2 -4b \right) はそれぞれ 2,-8 となり,これらはともに \mathbb{Q} で平方数ではないので f \left( x \right) \mathbb{Q} 上の最小分解体の Galois 群の位数は 8 になります.したがって \mathbb{Q} \left( \sqrt {1+i} \right) / \mathbb{Q} が Galois 拡大になり得ないことはすぐに分かります.\beta \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) を仮定して矛盾を導くという方針も一応考えてはみたんですが,あんまり上手くいかなかったのでその方法で証明できたかたがいらっしゃれば是非教えてください(お願いします).

 

 二問目.

 

平成24年度 京都大学大学院理学研究所 数学・数理解析専攻 大問1 1 以上の整数 a に対して K= \mathbb{Q} \left( \sqrt{ 3+a \sqrt{5} } \right)\mathbb{Q} の Galois 拡大体となるものを求め,そのような a に対して Galois 群 \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) を求めよ.

  以下,解答.

 

 f \left( x \right) = x^ 4 -6x^ 2 + 9 -5a^ 2 \in \mathbb{Q} \left[ x \right] の根を \pm \alpha , \pm \beta とおくと \alpha ^ 2 = 3+a \sqrt{5} ,  \beta ^ 2 = 3-a \sqrt{5} とかける.K/ \mathbb{Q} が Galois 拡大であることと \beta \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) は同値.必要であれば \beta- \beta を入れ替えることにより \alpha ^ 2 - \beta ^ 2 = 2a \sqrt{5} , \alpha \beta = \sqrt{ 9-5a^ 2 } であることに注意すると,\beta \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) なら \sqrt{5} , \sqrt{ 9-5a^ 2 } \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) である.ここで a \geq 2 なら \sqrt{9-5a^ 2} \notin \mathbb{R} となるので \sqrt{9-5a^ 2} \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) \subset \mathbb{R} に反する.よって a=1 が必要で,逆に a=1 なら \alpha \beta = 2 より \beta \in \mathbb{Q} \left( \alpha \right) で,拡大 K/ \mathbb{Q} は Galois 拡大となり,その拡大次数は 4 である.

 このとき \sigma , \tau \in \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right)

\sigma \left( \alpha \right) = \beta , \tau \left( \alpha \right) = - \beta

を満たすものがある.\sigma \left( \alpha \right) \sigma \left( \beta \right) =  \sigma \left( \alpha \beta \right) = \sigma \left( 2 \right) = 2 = \alpha \beta より \sigma \left( \beta \right) = \alpha であって,同様に \tau \left( \beta \right) = - \alpha となる.よって \sigma , \tau の位数は 2 である.もし \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) \cong \mathbb{Z} / 4 \mathbb{Z} なら位数 4 の元が 2 つあるが,これは矛盾である.よって \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) \cong \mathbb{Z} / 2 \mathbb{Z} \times \mathbb{Z} / 2 \mathbb{Z} となる.

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 そんなに難しくなかったですね.円分体や有限体の話が絡んでこない限り 4 次 Galois 拡大の問題はそれほど難しくならない感じがあります.8 次の場合が一問目ですが,それに比べれば二問目はかなり易しいです.

 

 このシリーズは一記事で二問解くのがテンプレになっていましたが,今回はもう一問解くことにします.理由は後述.

 

平成23年度 京都大学大学院理学研究所 数学・数理解析専攻 大問2 複素数体の部分体 KK= \mathbb{Q} \left( \sqrt{ 17+4 \sqrt{17} } i \right) によって定める.

(1)K\mathbb{Q}4 次の Galois 拡大体であることを示せ.

(2)K\mathbb{Q} 上の Galois 群 \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) を求めよ.

 ここまで来るともういいかって気がしてきますね.今回は x^ 4 +34x^ 2 + 17\mathbb{Q} 上の最小多項式となり,先の判定法から最小分解体の Galois 群は \mathbb{Z} / 4 \mathbb{Z} に同型となります.

 以下,解答.

 

(1)

 既約多項式 f \left( x \right) = x^ 4 +34x^ 2 +17 \in \mathbb{Q} \left[ x \right] の根を \pm \alpha , \pm \beta とおくと \alpha ^ 2 = -17+4 \sqrt{17} , \beta ^ 2 = -17-4 \sqrt{17} とかける.このとき K= \mathbb{Q} \left( \alpha \right) である.必要であれば \beta- \beta を入れ替えることにより \alpha ^ 2 + \beta ^ 2 = -34 , \alpha ^ 2 - \beta ^ 2 = 8 \sqrt{17} , \alpha \beta = \sqrt{ 17 } であることに注意すると,まず第一式から \beta ^ 2 \in \ K であり,これより第二式から \sqrt{17} \in K となって,第三式から \beta \in K となる.よって拡大 K/ \mathbb{Q} は Galois 拡大であって,その拡大次数は 4 である.

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(2)

 \sigma \in \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) であって \sigma \left( \alpha \right) = \beta を満たすものがある.これが位数 4 の元であることを示す.

 ふたたび \alpha ^ 2 + \beta ^ 2 = -34 , \alpha ^ 2 - \beta ^ 2 = 8 \sqrt{17} , \alpha \beta = \sqrt{ 17 } であることを用いる.まず第一式と第二式から \sigma \left( \alpha \right) ^ 2= -17+4 \sigma \left( \sqrt{17} \right) となり,\sigma \left( \alpha \right) = \beta とあわせて \sigma \left( \sqrt{17} \right) = - \sqrt{17} が分かる.これと第三式から \sigma \left( \beta \right) = - \alpha であるから \sigma の位数は 4 となる.以上より \mathrm{Gal} \left( K/ \mathbb{Q} \right) \cong \mathbb{Z} / 4 \mathbb{Z} である.

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 今回追加でこの問題を解いた理由には,これよりも一つ前の年度に同試験で出題された問題が関係しています.それがこちら.

 

平成22年度 京都大学大学院理学研究所 数学・数理解析専攻 大問1 複素数体 \mathbb{C} の部分体 KK= \mathbb{Q} \left( \sqrt{ -17-4 \sqrt{17} } \right) によって定める.このとき K/ \mathbb{Q} は Galois 拡大であることを示し,Galois 群 \mathrm{Gal} \left(K/ \mathbb{Q} \right) を求めよ.

 

 まんま同じやんけ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 はい.本当に全く同じ問題です.何,出題ミス? 分からん.

 そっくり同じ問題を二回解くのは流石にやりたくないし,奇数年度⇒偶数年度という流れを崩したくもなかったので,ここに無理やりぶち込むという措置をとったという次第でした.

 

 

 ところで,先日試聴動画が公開されたばかりであるところの『THE IDOLM@STER SHINY COLORS FR@GMENT WING 06 – Single』からストレイライトの唄う楽曲『Wandering Dream Chaser』が公開されたので全人類聴いてください.

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