留年しかけた話

 

 京都大学理学部では二回生から三回生へ進級する際に系登録というものが行われます。これがどのような制度かといえば、数学や物理、生物、化学、地学といった各専攻分野に対して、同年度入学者及び留年者を振り分けるというものです。各分野には定員が存在しており、その総和は同年度入学者全員を受け入れるには十分な数ですが、だからと言って全員が全員、第一志望の系に登録できるわけではありません。そして、もしも第一希望の系に登録できなかった場合、留年あるいは二次登録(一次登録終了後に余っていた系へ進級を希望できる)となります。タイトルの「留年しかけた」というのは「危うく第一志望の系に登録できないところだった」という意味です。

 僕が志望したのは数理科学系(単に数学系とも呼ばれる)でした。数理科学系では第一志望者の総数が定員数を超えた場合、系登録試験というものが実施されます。名前の通り、系登録のための試験です。要するに、合格者が第一志望に通り、不合格者は第二志望へ回されるというシステムです。それとは別に、系登録試験免除というものが存在します。名前の通り、系登録のための試験を免除されるということです。要するに、試験を受けずに第一志望を通すことができます。試験免除の対象者は「成績順」で決められるそうで、全体で何名が免除されるかは年度ごとで異なるようです*1。タイトルの「留年しかけた」というのは「系登録試験に引っかかった」という意味です。

 前述の通り、年度ごとによって免除対象者数が異なるので大した意味があるとも思えないのですが、しかし今年系登録試験に引っかかったのはたったの12名だったので、そんな間抜け野郎の成績が如何ほどのものだったのかということを後世に伝えるのは、然程無意味でもないんじゃないかなあ、とか考えながらこの記事を書くことにしました。したがって、本記事は主に数理科学系を志望する京大理学部生、特に僕みたく大して勉強しないくせにサボリがちな人を対象としています。といっても、理学部生は真面目な人が多い(偏見)ので、九割以上の人には生涯縁のない話かと思われますが、だからまあそういうわけで終始軽い気持ちで書くつもりです。よろしくお願いします。

 

 

・数学系科目の成績

 数理科学系の登録に関係していそうな科目のうち、僕が単位を取得したのは以下の通りです。

 

線形代数学A,B

微分積分学A,B

代数学の基礎A,B

集合と位相

代数学入門および演習

線形代数学続論

ベクトル解析

微分方程式

確率論基礎

代数学I,II

関数論

 

線形代数学A:A

※:演義へ真面目に出てください。

 

微分積分学A:A+

※:演義へ真面目に出てください。

 

〇現代数学の基礎A:D

※:全部で十三回か十四回くらいある講義のうち、半分は課題演習です。その課題演習での平常点(問題の出来不出来とかは多分関係ない)が六割、期末試験での点数が四割です(2019/03/22にシラバスを見た限りではそう書かれていた)。よって、講義へ真面目に出席してください。真面目に出てたらこうはなりません。

 

線形代数学B:D

※:大学数学になかなか馴染めなくて、結果再試験に引っかかった人です。演義で教授に質問するとか何とかできたよなあと、今更ながらに思っています(演義に出てください)。

 

微分積分学B:D

※:同上。演義に出てください。

 

代数学入門:A

※:少なくとも講義だけで理解するのは無茶だと思うので、何かしら自分で専門書を買って読んでください(僕は雪江整数1を読んでました)。

 

〇集合と位相:D

※:僕の年度は中間試験があったんですが、それが成績の五割に加算されるらしいので、そこは真面目にやってください(自分はそこで手を抜いた)。自分のときには積集合やら何やらの同値証明、選択公理絡みの何か(選択公理を用いずに条件を満たす写像の存在を示すみたいなやつだった気がする)、距離空間の最初の話(内点、外点、境界点辺りのやつ)が出たような気がします。

 

〇集合と位相演習:F

※:一応履修はしていましたが、多分三割程度しか出ていません。

 

代数学I:D

※:毎回出るレポートを真面目にやっていれば、お情けで単位はもらえます。期末はぶっちゃけよく分かりませんでした(これは自分の不勉強が原因)。

 

線形代数学続論:B

※:同時対角化可能の証明問題が出たことは覚えています。中間試験を真面目にやりましょう。

 

〇ベクトル解析:C

※:対策らしい対策を何もしていないので何とも。

 

〇確率論基礎:A

※:これ、数学系の登録には関係ない気がしますけどね。まあ一応数学寄りの科目ではあるので挙げておきます。期末直前に問題演習しまくればどうにでもなると思います。

 

代数学入門演習:B

※:これは多分出席して提出すれば平常点になるタイプの科目なので、ちゃんと講義へ出てください。

 

〇現代数学の基礎B:D

※:だからちゃんと講義へ出ろとあれほど。

 

代数学II:D

※:毎回出るレポートをちゃんとやっていれば、お情けで単位がもらえます。一番真面目に出席していた科目なんですけど、如何せん後期は勉強しなさ過ぎてこの有様です。悲しいね。

 

微分方程式:D

※:ちゃんと勉強してください。試験前日だけで三か月分の演習を熟すのは無理です。

 

〇関数論:D

※:同上。

 

 

・系登録試験に引っかかってからのこと

 試験免除者発表から系登録試験までは二日しかありません(少なくとも自分の年度はそうだった)。それと、系登録試験の過去問は理4かどこかの数学事務室で見せてもらえるのですが、手書きで写すことを強要される上に十年分以上あるので、「自分、試験引っ掛かりそうだなあ」と思う人は発表よりも前に過去問を入手しておくことをお勧めします(試験前日に回収しに行った自分が言うのもなんですけど)。

 過去問を見ればわかりますけれど、年度によって難易度の差があります。だいたいどの年度も「正方行列の相似判定(要するにジョルダン標準形の計算)」、「変数変換を用いる重積分(ほとんどが極座標への変換だけど、たまに違うのが出てる)」、「一様収束とか各点収束とか(オーダーを使うっぽいのもどこかの年で出てた)」、「部分ベクトル空間の共通部分の次元と基底(計算問題)」、「線形写像の表現行列」、「無限級数の収束判定」辺りから出ています(たまに「上極限・下極限」、「直和空間」辺りが出てくる)。あと2007~2009、2011~2014、2015~2018で問題の毛色が若干違うような印象を受けたので、どこか一つの年度だけを切り取って判断するのはやめた方がいいと思います。

 僕の年度の問題は、まあもしかしたらもう事務室で閲覧できるのかもしれませんが、「大問1:関数列の無限級数の広義一様収束証明」、「大問2:部分ベクトル空間の共通部分の次元と基底(複素定数aが混じっていて、aの値によって答えが変わるタイプだった)」、「大問3:A^2=Aをみたすn次C成分正方行列Aからなる線形写像φ(C^n→C^n)について、(1)v∈Im(φ)→φ(v)=v、(2)C^nがker(φ)とIm(φ)の直和になる、(3)Aが対角化可能」、「大問4:領域xx-2xy+2yy≦1でのxxの重積分」でした(当然ながら試験問題が手元にないので、もしかしたら大問3と4は細部が異なるかもしれない)。関数列の無限級数はこれまでに出題されていなかったような気がします。出来は(感覚としては)八割五分くらいでした。

 それと、これは系登録試験の問題を解いていて気が付いたことですが、数学教室の院試で出題されている基礎数学の問題に、系登録試験で出ている問題の数字を変えただけのものだったり対偶を取ったものだったりがいくつか出題されています。系登録試験がどんなものか知りたいけれど事務室に見に行くほどではないわ、って人は上のサイトで公開されている問題を参照すればいいかと思います。系登録試験に引っかかってしまったけれど過去問は全部解いてしまったという人も、ここの問題で範囲が被ってそうなのを適当にやればいいと思います(自分はそうしてました)。

 

Twitterとかを見ていて思ったこと

 単位だけ集めててもだめなんだなあ、ってことです。いや、当たり前なんですけどね。たとえば集合と位相なんか単位を持っていなくても試験免除された人はそれなりにいるらしいので、試験免除を確実にしたいなら成績もわりと頑張ったほうがいいです(ホントに)。個人的には「線形代数学A,B」、「微分積分学A,B」、「現代数学の基礎A,B」、「線形代数学続論」の成績が重視されていそうな気がしています、何となくですけれど、系登録試験の出題範囲がその辺りばかりなので(だからって他の科目をサボっていいわけではない)。数学系志望で線形微積の再試にかかる人はごく稀だと思いますが、該当する方は余裕があるのであれば再履修しておいたほうが無難かもな、と個人的には思います。

 

・今後の話

 まあ留年を回避したということで無事に数理科学系へ登録できたわけなんですが、どうなんでしょうね。来年度、果たして自分は真面目に勉強しているだろうかと考えてみても、ちょっと微妙だなあ、というのが正直なところです。留数定理を使った積分とか、あるいはジョルダン標準形辺りの話とか、その他もろもろ全般に言えることなんですけれど、試験が終わってから「あれ、これ楽しいな」となることがあまりにも多くて、いやだから真面目に講義へ出ろって話なんですが、そうですね、来年度はもう少しちゃんと大学へ行こうと思います。行けるかな。無理な気がするな。うん。そんな感じで。

 

 

 

*1:今年は全志望者71人中、53人が免除。残る18人のうち、12人が試験対象でした。