さっさと死ねばいいのに

 

自分は生きている。

呼吸をしている。

吸って吐いてを繰り返している。

そんな当たり前を、ふとした瞬間に思い出す。

たとえば夢から覚めたとき。

目覚めが誘う感覚はあまりにも鈍くて、怖いくらいに鋭い。

目が覚める。

呼吸をする。

呼応するように心臓が脈を打つ。

耳元を通う血流が声高に叫ぶ。

身体は何事もなく生きている。

そんな当たり前が、酷く恐ろしく感じられる夜がある。

耳を塞ぐ。

その音は身体の内側でなおも響き続ける。

耳を塞ぐ。

何も聞こえなくていい。

耳を塞ぐ。

なにも無くていい。

 

  午前一時半に目が覚めた。何時間寝ていたのか覚えていないけれど、多分三時間くらいだと思う。それからはずっとレポートをやっていた。教科書を片手に五時間くらいかけて全部解いた。何やってんだろと思った。馬鹿らしい。

 大学をやめたい。やめたとして何をするんだろう。分からない。まあ多分死ぬと思う。ならさっさと死ねばいいのに。でも死ぬ勇気なんてない。だからレポートを書き切った。それだけ。

 浪人時代の自分は一体何に突き動かされてあれほど馬鹿真面目に勉強していたのだろうと思う。心底不思議だ。そこまでしてようやく入学した京都大学を、いまのお前はこんなにも退学したくて仕方がないと思ってるんだぜ。ウケるよな、マジで。