言葉の裏に隠した言葉

 

 先日「一葉が何を書いてるのかが全く分からない」的なことを言われまして、「まあ、不特定多数に何かを伝えるために書いてるわけじゃないから、そりゃあな」みたいな感じで答えたのですけれど、それに際して改めて自分の綴ってきた文章やら何やらを振り返ってみて、「まーた似たようなこと言ってるよ、こいつ」なんてことを思ったわけです。好きな言い回しとか言葉とか、文字を書く人間ならそういうものが一つくらいあるだろうと思うのですが、折角なので、この機会にそれについて記しておこうと思います。別に解釈されたいわけじゃないのですが、こういう話をするのもたまにはいいだろうと思いますし、ちょっとくらい言葉の裏に隠した言葉に触れてもらえたいという気持ちもあるわけですし。こういうことはあまり書くべきではないとは一応思っているのですが(二回目)。

 

 

 「星」

 好きな言葉というやつを具体的にはどう判断するのかということだけれど、何かを吐き出そうとしたときにパッと手にとってしまうような単語や表現こそがそれに当たると僕は考えている。その基準に従えば、「星」という名詞は僕が好きな言葉の筆頭として挙げられる。僕が書いた文章で星が出てくる何かしらをざっと並べてみる。

 

・『奈緒「これって恋なんかな?」志保「は?」』(SS)

……いつか、あの星まで届けばいいな。

・『キグナス』(ブログ)

だから、あの星はいつかの憧憬ではあったけれど、だけど未来ではなかった。

・『スカイブルー・ナイトメア』(曲)

僕らは今日も迷いながら いつか見えた星を目指す

 

 僕の中で「星」という存在が獲得しているイメージはずっと一貫している。「星」という概念を僕はいくらなんでも使いすぎだろというくらいに使っていて、しかもどれにしたって似通った意味でばかり使っている。だから、自分からするとこれほど分かりやすい主張もないなあと思っていたのだけれど、どうやらそうではないらしい。

 星は遠くにあるもので、どんなに背伸びしても決して届かない。それでも人はそれに向けて手を伸ばす。その手が、たとえ指先少しででも届けばいいなんてことを考える。それは、夜空に浮かんでいる星々が何よりも眩しいからで、どこまでも真っ直ぐだからで、故に僕らは夜空の煌めきを見上げ、焦がれ、憧れる。それに、星は絶対に無くならない。いつだって其処に在る。何年も昔からの光を、いまの自分へまで届けてくれる。誰だって一度くらいは子どもの頃にその白に吸い込まれたことがあるはずだ。忘れているだけで。

 僕が言う「星」は多分「夢」だとか「憧れ」だとか、あるいはその具体的対象だとかに置き換えられる。誰だって見上げたことのあるはずの星空を、いまはもう見えなくなった星空を、何かと共通項の多い夢という対象へ僕は置き換えているのだった。まあ先に挙げた三つにしたって、上から順に「思慕の対象」「小さい頃の夢」「有り得ない未来」のことだし、こうやって答え合わせをしてみると何だか味気ないというか、僕という人間の思考の薄っぺらさが露呈した感が些か否めないけれど、まあ今日はそういう気分だからいいということにしておこう。

 

 

「夜明け」

 僕の書いたものに『夜明け色の空を探して』という作品があるのだけれど、そこでは鬱陶しいくらいに「夜明け」という言葉が出てくる。実は好きな言葉。まあ、それにしたって、これがそのまま夜明けそのものを指しているというわけではなくて、「星」と同じように別の何かへ置換できる。この作品はまだサークルの会誌としてしか世に出ていないので、ここで詳細を話すことは避けるのだけれど、というかそれが公開できるようになったらまた話すのだろうと思ってはいるのだけれど、いい流れなので思わせぶりな話だけ書いておこうと思う。

 とりあえず曲のリンクを貼るので、暇な人は聴いて。

soundcloud.com

 

途切れてく 記憶の音

遠くの声は 夜明けに消えた

閉じてゆく 氷空の下で

今は もう……

 

降りそそぐ 時の中で

キミに出会えた そんな奇跡も

いつか見た 流れ星も

此処にいた キミのことも――

 

 僕が作った曲に『キミとボクと時の箱庭』というものがあって、その歌詞の一部が上に書いたそれなのだけれど、「夜明け」という言葉を初めて使ったのはここだと思う。僕は元々夜明けという概念が、正しくは、顔を覗かせた太陽が辺り一面に広がった空や海を次第に照らしてゆく様が好きだった。

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 これは去年の九月末に家族で鹿児島へ行ったときに撮った写真(実は日没)で、上の曲のサビで使ったメロディと歌詞はこの旅行中に思いついたものだった。だから、この曲での「夜明け」は上の写真のイメージがそもそもにあって、さっきの「星」と同じく、そこから派生した色々をいまでは纏っている。『夜明け色の空を探して』のタイトルに「夜明け」が与えられたのは全くの偶然で、ルーツはBUMP OF CHICKENの『ナイフ』という楽曲にあるのだけれど、作中で使った「夜明け」の意味については、『キミとボクと時の箱庭』とそもそものイメージが原点だったりする。

 上で「いい流れ」と言っていたのは、これが「星」の話と繋がっているからだ。というのも「星」というやつがいよいよ「見えなくなる」、それが「夜明け」という時間帯の意味するところであり、つまり僕が持っている「夜明け」の印象は「星」に対して持っているそれを引き継いだようなものになっていたりするのだけれど……、まあここから先は秘密ということで。

 

 

 僕はこういうことを意識的にも無意識的にもよくやる人間で、だから、自分の言葉をあまり額面通りに受け取りすぎるときっと意味不明なんだろうなあと思います。だからといって、しっかり考えて読んでくださいね、なんて傲慢極まりないことが言いたいわけでは決してなくて、結局、最初にも書いたように、分かる人にだけ分かればいいんですよね、こんなことは。まあ、なんか今後僕がまた「星」だの「夜明け」だの言い始めたときには、「まーた似たようなこと言ってるよ、こいつ」と思ってください。