別に何ってわけじゃないんですけどね

 

 京大に来るまで、自分の身の回りにいるような人間はほとんど全員が救いようのない馬鹿だと思っていた。そう信じていた。そういう黒い感情を仮面の裏に隠しながら、毎日を生きていた。バスに乗って高校へ向かっているときも、退屈な授業を聞き流しているときも、机を囲んで昼食をとっていた昼休みも、無駄に長い掃除時間中も、休日に地元の知人たちと会うときにも、家でだらだらしているときも、例外なくずっとだ。ずっとそう思っていた。あの頃は本当にずっと、いまにして振り返ってみると何かに憑かれていたんじゃないかと思ってしまうくらいに、周囲を呪いながら生きていた。何様だよ、マジで。でも、それが事実なんだよ。仕方ない。今思ったけど、これ、高校時代の知り合いとか地元の奴らに読まれたらめちゃくちゃ困るな。いや、特定の個人を嫌っていたってわけじゃないんだよ。よく分からない、在るかすら疑わしい何かを漠然と呪っていただけで。以上、言い訳。

 京大へ来てからはそういうことがほとんどなくなった。下宿を始めてからは特にだ。強いて挙げるとすれば、講義中に平気でシャッター音を鳴らす馬鹿と、周囲を確認せずに自転車で暴れる馬鹿を目の当たりにしたときくらいで、でも、それにしたって入学以前に感じていたあれこれに比べれば掠り傷ですらない。ティッシュペーパーで殴られたときくらいの感覚。めっちゃふわふわ。いたって健全な感情だと思う。何が言いたいのかって、要するに京大周辺は居心地が良すぎる。ストレスが圧倒的に少ない。わざわざ京大に限定して言っているのは、僕が他の大学について何も知らないからであり、京大が特別なんだという話をしたいからというわけではないことを一応断っておく。

 それでも、本音を言ってしまえば、大学のレベルはかなり関係していると思っている。もし京大に落ちて滑り止めの大学へ進学していたら、今頃は国際的なテロ組織の一員を志していたんじゃないかという疑いがある。まあそれは流石に過言に過言を重ね過ぎているとしても、虚虚取り交ぜて語っているとしても、自殺未遂くらいなら平気でやっていたかもしれない。そんな気がする。あるいは、もっと現実味のあるものならタバコを吸い出していたりとか、浪人のせいで限界まで精神が荒んでいたから、いよいよ退廃的な人生を送り出していたと思う。そんなものはもしもの話でしかないわけだけれど。

 京大へ来てからはそういうことがほとんどなくなった。ついさっきはたしかにそう言ったけれど、でも、あの頃の自分が消えたわけじゃないんだわ。周囲を呪いまくっていた頃の自分が、ふとした瞬間に顔を覗かせることがある。と言ってもそりゃそうだろという感じで、十数年をかけて形成された人格がそう簡単に消え去るはずがない。いまは治まっているというだけで、社会人になればきっとまた再発するだろうと思っているし、だから、それ自体はどうでもよくて、とうに諦めていて、問題はそいつに抗う意志(のようなもの)がかなり弱くなっているということだ。ここ一年ちょっとくらいがストレスフリー過ぎて、あいつのことなんて気にしなくていいくらい楽で、だから、いざあいつが目の前に現れたときに殴り返すだけの力がなくなっている。ここ最近は特にそう感じる。思い返せば、そこは耐えるべきだろ、という場面でいとも簡単に折れていたりする。それがどれだけ周りに迷惑かけると思ってんだよ。ごめん。いや、でも、どうしようもないよ、これ。どうすんねん。

 甘えなんだよな。自制心がほしい、切実に。ほしいとかじゃなくて、いや、努力しろよって話だ。まあ、原因は分かっているし、今後は何とか気をつけるようにします、という記事でした。

 

 

 突然ですが、ここで問題です。

 僕は一体何に触発されて、この記事を書いたのでしょうか。

 

 ヒント:政治垢